隠れた郷土の遺産、石段の魅力をあなたに~SEKINEが選ぶ埼玉の石段ベスト33+α


神社仏閣の石段は、駅の階段と違って趣があり、自然に溶け込み、個性や変化に富んでいます。
長い石段を上りつめると、観音堂や御社があたたかく迎えてくれ、すばらしい眺望が待っています。
200段、300段を超える石段は達成感も得られます。神社仏閣を訪ね石段にチャレンジしてみませんか?
体には脚力・心肺機能・バランスの維持と健康増進、心には癒しと満足感をきっと得られることでしょう!
では、SEKINEが選ぶ埼玉の石段ベスト33+α(アルファ)をお楽しみください!



①ゆっくり上る  ②手すりを使う  ③踊場で一息入れる  ④バランスに注意
   ⑥下りでのヒザへの負担  ⑦石段脇の植栽にも目を  ⑧ふだんからちょっとしたトレーニングを


隠れた郷土の遺産、石段の魅力をあなたに~SEKINEが選ぶ埼玉の石段ベスト33+α

隠れた郷土の遺産、石段の魅力をあなたに!

 
 正法寺の位置  石段の地形的な位置
所在地  埼玉県東松山市岩殿1229
  •  【ご挨拶】 本ホームページ作成者の関根一昭です。埼玉県秩父市に在住し、長年高校教師の傍ら地質学の野外調査を行ってきましたが、その間さまざまな石段に巡り合い興味・関心を寄せてきました。本ホームページはその一端を紹介させていただくものです。
  •  【石段のプロフィール】 坂東札所10番正法寺の石段は139段ある。大部分は境内に至る前の石段である。境内の中には幅の広い石段が少しある。 前者の石段の途中には、りっぱな山門、または仁王門がある。後者の石段では、岩畳風に石を敷き詰めた参詣路が多くをしめる。石段の両脇にたくさん植えられたアジサイはみごとである。
  •  【石段周辺の地形】 石段は、標高77~103mの間にあり、高低差は約26mである。傾斜はそれほど強くない。上りつめると緩い傾斜地があり、そこに本堂等がある。正法寺は、岩殿丘陵の一角にある。岩殿丘陵は、北を都幾川に、南を越辺川(おっぺがわ)に境されている。正法寺のほぼ南150mの位置に、物見山(135m)がある。
  •  【石段周辺の地質】 正法寺の裏手には、りっぱな露頭(岩盤が露出している部分)がある(下部写真参照)。これは白色の凝灰岩という岩石である。これを含む地層は、将軍沢層とよばれ、1000~1200万年前に形成された。将軍沢層は不整合で南に分布する物見山礫層と接している。不整合は、両者の地層の形成年代に時間的なギャップがあることを示している。物見山礫層の方が将軍沢層より新しい(下部更新世)。
  •  【インフォメーション】 坂東札所は、関東都県にまたがって33観音があり、そのうち埼玉県には4観音がある。正法寺は、その中の一つで、岩殿観音の名で親しまれている。広い境内には、本堂のほか鐘楼、銅鐘などがある。大イチョウは、根周りが11mもあり、地表に盛り上がっているようすは豪快である。高さ25メートル。東松山市指定天然記念物。
  •  【周辺の散策・ハイキングコース】 この付近には、岩殿観音(正法寺)をはじめ、物見山、平和資料館などハイキングに適した自然や施設が多い。以下はお手頃ハイキングコースである。東武東上線高坂駅→市民の森→岩殿観音→物見山公園→平和資料館→ちご沢の森→常安寺→高坂駅。所要時間4~5時間。


正法寺の石段のさまざまなデータ
 段 数  139段[標準]  磨滅度  中程度
 長 さ 約119m[長い]
 石段部分=54m(45%)
 踊場部分=65m(55%)
方 角  南 西
 高低差  約26m[標準]  石 材   天然材(砂岩)
 人工材で補修 
 幅 員  ❶ 3.0~3.3m[広い]
 ❷ 3.9~7.5m[かなり広い]
 踏 面  ❶ 24~48㎝標準~広い]
 ❷ 25~30㎝
[標準]
 手すり  有(中央/一部なし)
 蹴上げ  ❶ 13~23㎝[低い~高い]
 ❷ 18~19㎝[標準]
 併置物  山門・灯籠・石碑
 傾 斜  ❶ 21~33°[緩い~標準~急]
 
❷ 33~37°[急]
 築年代  ?
 踊場数  5ヵ所  植 栽 アジサイ・マツ・イチョウなど
 袖 石  ❶ 有(幅13~19㎝)
 ❷ 有(幅14~15㎝)
その他   
  •  <データの注> ((1)段数・長さ・高低差・幅員・踏面・蹴上げ・傾斜については、SEKINEの独自基準による感覚的な区分を例示。 (2)長さは踊場を含む。石段部分と踊場部分の内訳と構成比を示した。長さは、上の地形図の長さとは一致しない。 (3)幅員は袖石を含む。 (4)方角は下から上に向かう方向。 (5)築年代は定かでない。
  •  <データの解説1> 段数について 139段のうち、122段は境内より下の石段、17段は境内にある石段の段数である。 なお、本堂裏手に道路への取り付け階段がある。丸太を模した人工の「木段」で、段数は104段。
  •  <データの解説2> 長さについて 119mのうち、52mは境内の中の長さである。 さらに52mのうち、47mは石畳の参詣路である。
  •  <データの解説3> 幅員について ❶は上り口から境内までの石段。下段、中段、上段に分ける。❷は境内にある石段。3ヶ所の石段がある。 以下同じである。❷の石段のうち、最初の2か所は7.5mと広く、3番目のものが3.5mとそれより狭い。
  •  <データの解説4> 踏面について ❶は境内までの石段、❷は境内にある石段。 ❶の石段は、24~48㎝とダブルスコアでバラエティーに富んでいる。
  •  <データの解説5> 蹴上げについて ❶は境内までの石段、❷は境内にある石段。。
  •  <データの解説6> 傾斜について  ❶は境内までの石段、❷は境内にある石段。❶の石段の傾斜は変化に富んでいる。下段から中段までは25~30°で標準。上段は大部分21~22°で緩く、最後の3段が32~33°で急である。
  •  <データの解説7> 踊り場について 5ヵ所のうち、3ヵ所は境内の中にある参詣路である。ここでは踊り場の一種として数えた。
  •  <データの解説8> 袖石について ❶は境内までの石段、❷は境内にある石段。
  •  <データの解説9> 手すりについて ❶の石段で、上り口から山門までの下段の石段および❷の境内の石段で、初めの2ヶ所の石段には手すりがない。
  •  <データの解説10> 併置物について 山門には、運慶作と伝えられる勇壮な金剛力士像2体が据えられている。また「巌殿山」および「施無畏(せむい)」のりっぱな額が掲げられている。
  •  <データの解説11> 植栽について 石段の両側にはたくさんのアジサイ、ガクアジサイが植えられ、正法寺はアジサイでも有名である。


  山門前の石段
 最初の石段である。二本のポールの間に、石段と山門(仁王門)がのぞいている。山門は重厚で、木製の仁王像が迎えてくれる。運慶の作品。ぜひご覧ください(下段付近)。
  境内の石段
 境内のゆるい斜面にある。3ヵ所に分かれている。段数は、下から5段、9段、3段で合計17段。幅は最大7.5mで、かなり広く風格がある。境内の風景に変化を与えている。
  アジサイ一輪
 石段の踏み面に張り出したアジサイ。両脇に美しいアジサイが多数植えられている。石段の砂岩の渋い表面と、アジサイの瑞々しい花びらのコントラストをお楽しみください(上段付近)。
  ずれた踏み面
 手前の石段が、少し下に傾いている。これでしっかり安定しているので、まったく問題なし。このような微妙な変化が、正法寺の石段の魅力でもある(中段付近)。
  たわんだ踏み面
 石段がきれいなカーブを描き、たわんでいる(黄色の破線)。これも、正法寺の石段の七変化の一つ(中段付近)。
  せりだした踏み面
 石段が前にせり出している。その隙間に泥が溜まり、その上に草が生えている。石段はしっかり固定されている。多彩で楽しい石段である(上段付近)。
  袖石がある踊り場の石畳
 踊り場には、花こう岩(御影石)が敷き詰められて、石畳となっている。幅は1.8m。下の石段から連続して、袖石も設けられている(下~中段付近)。
  露頭と石仏
 本堂の北西側には、崖とそこに安置された石仏が多数ある。崖は白っぽい岩石からできている。凝灰岩である。凝灰岩には、よく見るとこまかいスジ(葉理)がある。
  重厚な本堂
 正法寺は718年(養老2年)に開山。坂上田村麻呂が奥州に向かう際に祈願した。1871年(明治11年)に、火災で焼失し、翌年に、高麗村より移築された。
  家並みと参詣路
 境内の鐘楼付近から、正法寺表参道をのぞむ。参詣路の両側に家並みが続いている。昔の門前市のたたずまいを楽しめる。


以下の関根一昭の2つのホームページにもぜひお立ち寄りください(^_^)

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関根一昭