隠れた郷土の遺産、石段の魅力をあなたに~SEKINEが選ぶ埼玉の石段ベスト33+α


神社仏閣の石段は、駅の階段と違って趣があり、自然に溶け込み、個性や変化に富んでいます。
長い石段を上りつめると、観音堂や御社があたたかく迎えてくれ、すばらしい眺望が待っています。
200段、300段を超える石段は達成感も得られます。神社仏閣を訪ね石段にチャレンジしてみませんか?
体には脚力・心肺機能・バランスの維持と健康増進、心には癒しと満足感をきっと得られることでしょう!
では、SEKINEが選ぶ埼玉の石段ベスト33+α(アルファ)をお楽しみください!



①ゆっくり上る  ②手すりを使う  ③踊場で一息入れる  ④バランスに注意
   ⑥下りでのヒザへの負担  ⑦石段脇の植栽にも目を  ⑧ふだんからちょっとしたトレーニングを


隠れた郷土の遺産、石段の魅力をあなたに~SEKINEが選ぶ埼玉の石段ベスト33+α

隠れた郷土の遺産、石段の魅力をあなたに!

 
 秩父札所32番法性寺の位置  石段の地形的な位置
所在地  埼玉県秩父郡小鹿野町般若2661
  •  【ご挨拶】 本ホームページ作成者の関根一昭です。埼玉県秩父市に在住し、長年高校教師の傍ら地質学の野外調査を行ってきましたが、その間さまざまな石段に巡り合い興味・関心を寄せてきました。本ホームページはその一端を紹介させていただくものです。
  •  【石段のプロフィール】 法性寺の石段は201段ある。上の地形図に示したようにAとBの2ヵ所に分かれている。Aが法性寺の本堂に向かう石段、Bが観音堂に向かう石段である。Bは上の地形図の等高線にみる通り、急な場所もある。観音堂にいたる道の分岐を経て、奥の院に行ける。奥の院までは山道を20~30分登る。頂上には「お船岩」というシンボルともいえる大きな岩がある。
  •  【石段周辺の地形】 石段は、標高278~312mの間にあり、高低差は約34mである。AとBの石段の間は、地形的に開けていて本堂が建てられている。岩船山の頂上にある奥の院に向けて、急な山道が続く。法性寺の北東側には長留川の支流である般若川が流れている。
  •  【石段周辺の地質】 法性寺の石段は、秩父盆地内に分布する秩父町層(群)の中にある。法性寺付近の地層は、砂岩および礫岩からなる新第三紀層の一部である。岩船山の頂上にある「お船岩」は厚い砂岩層からできている。砂岩層は北北東-南南西方向にのび、東側に約30°傾いている(N30°E 32°E)。砂岩は泥岩などに比べると硬いので風化に強い。しばしば岩壁にタフォニとよばれる特徴的な穴が見られる(下の石段点描を参照)。
  •  【インフォメーション】 法性寺は秩父の札所32番である。札所31番(本サイトでも紹介)と32番は、小鹿野地域にあり、両者ともに険しい地形を生かした立地を備えている。そのために段数も多く、高低差も大きい特徴的な石段となっている。Aのエリアは「花浄土」とうたわれ、季節には花に彩られた石段が楽しめる。また奥の院に続く山道の秋の紅葉は美しい。
  •  【周辺の散策・ハイキングコース】 法性寺付近のハイキングコースとして、「秩父般若山・釜ノ沢トレッキングコース」が紹介されている。登山口→ 雨乞岩洞穴→ 亀ヶ岳展望台→ お船岩の大日如来→ 同岩船観音→ 奥の院→ 観音堂→ 法性寺。途中にはクサリ場、ハシゴ場などがあり変化に富んでいる。行程は約2.5㎞。所要時間は2~3時間。

秩父札所32番法性寺の石段のさまざまなデータ
 段 数  201段[多い]
A:78段
B:123段
 磨滅度  軽 微
 長 さ 約88m[長い]
A:石段部分=24m(66%)
A:踊場部分=13m(34%)

B:石段部分=38m(75%)
B:踊場部分=13m(25%)
方 角 A:西北西
B:西南西~北~北西
 高低差 約34m[大きい]
A:約7m
[小さい]
B:約27m[標準]
 石 材  A:天然材(砂岩)
B:天然材(砂岩・花こう岩)
 幅 員 A:1.7~2.8m[標準~広い]
B:0.5~2.1m[狭い~標準]
 踏 面 A:16~37㎝[狭い~標準]
B:21~35㎝[標準]
 手すり A:有(左側)/一部なし
B:なし/一部有(右側)
 蹴上げ A:12~18㎝[低い~標準]
B:2~26㎝[低い~標準~高い]
 併置物 A:鐘楼門・仁王・石垣・地蔵・庭園・灯篭
B:石碑・墓石・納札所
 傾 斜 A:20~32°[低い~標準]
B:14~42°[ゆるい~標準~急~かなり急]
 築年代  ?
 踊場数  12ヵ所  植 栽 ツツジ・アオキ・ナンテン・マツ・サルスベリ・ツバキ・ササなど
 袖 石 A:有(幅12~16㎝)/一部なし
B:有(幅12~18㎝)/一部なし
その他  オプションルートあり(<データの解説>その他についてを参照) 
  •  <データの注> (1)段数・長さ・高低差・幅員・踏面・蹴上げ・傾斜については、SEKINEの独自基準による感覚的な区分を例示。 (2)長さは踊場を含む。石段部分と踊場部分の内訳と構成比を示した。長さは、上の地形図の長さとは一致しない。 (3)幅員は袖石を含む。 (4)方角は下から上に向かう方向。 (5)築年代は定かでない。
  •  <データの解説1> 蹴上げ・傾斜について Bの石段の蹴上げは2~26㎝、傾斜は14~42°と幅が広い。自然の岩盤(露頭)に直接刻まれた石段などによりバリエーションが広いことによる。
  •  <データの解説2> 踊場について Aの石段の踊場には飛び石風の敷石がある。
  •  <データの解説3> 摩滅度・石材について Bの石段の観音堂の西側にある短い石段は 、新しくて整っている。石材は花こう岩で、ピンク色のカリ長石を含んでいる。
  •  <データの解説4> 植栽について Aの石段の周囲には多くの花が咲く植栽が整えられていて、季節には「花浄土」の名がふさわしい。
  •  <データの解説5> その他について Bの石段の下部には、納経所に続く12段の石段がある。またBの石段の中~上部にかけて、奥の院の入口を経て観音堂に続く約23段の石段がある。これは観音堂に至るメインの石段が狭く急なので、回り道としての役割もある。


  風格のある鐘楼門
 札所32番を示す標柱の先には、りっぱな鐘楼門がある。左右には仁王様が立ち、寺を守る。入口に立つと、門越しに石段がのぞく。
  苔むした袖石
 石段の両側は手入れの行き届いた庭園である。ツツジやサルスベリなどの花に彩られる。袖石や石段の隅を覆う苔は、花と対照がよい(Aの下段付近)。
  右手には石積みが迫る
 一見お城の石垣風である。上には本堂と庫裡が立つ。石段・石積みの色と花のカラーの対比が妙である(Aの中~上段)。
  岩盤に刻まれた石段
 法性寺の石段は、上の解説(石段周辺の地質)にも示したように、砂岩の多い地域に作られている。むき出しの砂岩の岩盤(露頭)に、ダイレクトに石段が刻まれている(Bの下段付近)。
  木立の中の舞台づくり
 観音堂はBの石段の最上部に近いところにある。懸崖造りの観音堂は、周囲の木立とマッチした舞台づくりの足を持つ。舞台に座ると、木立を抜ける風の音が心地よい。
  タフォニの成因は?
 観音堂の裏手の崖には奇妙な穴が多数みられる。タフォニといわれる。岩の表面から水分が蒸発すると、残された塩類が結晶する。結晶が成長するときに岩の表面を破壊する。風化がすすみ連続的な穴が形成される。
  奥の院へは鎖場もあり
 奥の院への道は険しいところが多い。中段から上段にかけてはクサリ場が連続する。硬い砂岩からなる地形の特徴である。
  絶景のお船岩
 お船岩は岩船山のシンボル。岩全体が船のへさきの形をしている。岩の下をのぞき込むと、思わず足がすくむ。それだけに絶景に飽きることがない。
  青空に立つお船観音
 「船のへさき」に岩船観音が立っている。観音様の背側には手すりがまわされているので、安心して景色を楽しめる。
  ”恐怖の”大日如来
 お船岩の岩船観音の反対側の先に大日如来が祀られている。クサリ場の急登、手すりが一本!絶対に下を見てはいけない。「アイガー北壁」かと思うような怖さである。こんな姿勢でしか写真は撮れない。それほど狭くて危険!


以下の関根一昭の2つのホームページにもぜひお立ち寄りください(^_^)

   原爆ドーム模型製作の指南書
 世界遺産原爆ドーム。詳細な型紙を100枚以上収録。これを張り付け切り抜き組み立てれば完成。文化祭・平和展のシンボルに。旧奨励館模型も可能。
  「いのちの教育」に科学から迫る
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関根一昭