隠れた郷土の遺産、石段の魅力をあなたに~SEKINEが選ぶ埼玉の石段ベスト33+α


神社仏閣の石段は、駅の階段と違って趣があり、自然に溶け込み、個性や変化に富んでいます。
長い石段を上りつめると、観音堂や御社があたたかく迎えてくれ、すばらしい眺望が待っています。
200段、300段を超える石段は達成感も得られます。神社仏閣を訪ね石段にチャレンジしてみませんか?
体には脚力・心肺機能・バランスの維持と健康増進、心には癒しと満足感をきっと得られることでしょう!
では、SEKINEが選ぶ埼玉の石段ベスト33+α(アルファ)をお楽しみください!



①ゆっくり上る  ②手すりを使う  ③踊場で一息入れる  ④バランスに注意
   ⑥下りでのヒザへの負担  ⑦石段脇の植栽にも目を  ⑧ふだんからちょっとしたトレーニングを


隠れた郷土の遺産、石段の魅力をあなたに~SEKINEが選ぶ埼玉の石段ベスト33+α

隠れた郷土の遺産、石段の魅力をあなたに!

 
 睦神社の位置  石段の地形的な位置
所在地  埼玉県さいたま市南区白幡1-16-13
  •  【ご挨拶】 本ホームページ作成者の関根一昭です。埼玉県秩父市に在住し、長年高校教師の傍ら地質学の野外調査を行ってきましたが、その間さまざまな石段に巡り合い興味・関心を寄せてきました。本ホームページはその一端を紹介させていただくものです。
  •  【石段のプロフィール】 睦神社の石段は91段ある。上図の地形図に示したように、2本の石段が十文字に交差している。上図に示したAの石段が正面である。Aは急で男坂、Bは緩く女坂ともよばれる。Aは一部を除き、2013年(平成25年)に改修され、真新しい花こう岩からできているピカピカの石段である。睦神社付近は、ビルや住宅が立ち並ぶ街並みが広がっている。その中で、睦神社の豊かな緑の間を縫う石段と静かで広い境内は、得がたい癒しの空間である。
  •  【石段周辺の地形】 石段は、標高7.4~14.7mの間にあり(国土地理院のWeb地図による)、高低差は約7.3mである。睦神社の解説板に、「この睦神社は、大宮台地の南縁の舌状台地上にある」(浦和市教育委員会)と述べられている。大宮台地は、川口市から鴻巣市にかけて広く分布する台地である。上の「地図はこちら」を開くと、睦神社が台地上にあり、その急崖に石段がつくられていることがわかる。台地の西側には、荒川の氾濫原による低地帯が広がっている。
  •  【石段周辺の地質】 大宮台地は、約7万年前(更新世)に形成された台地である。関東ローム層からできている。関東ローム層は、富士山等の噴火によってまき散らされた火山灰が堆積してつくられた。5500~6500年前の縄文海進の時には、海が内陸まで入り込み、大宮台地は半島状に海に突き出た地形だったと考えられている。
  •  【インフォメーション】 睦神社周辺の林は「社叢(しゃそう)」とよばれる。社叢は神社の森、神々の森、鎮守の森のことである。睦神社の社叢は、さいたま市指定の天然記念物である。参道の脇に、5mほどの小さな池がある。かつて、ここで雨乞いの行事が行われたらしい。
  •  【周辺の散策・ハイキングコース】 睦神社を含むウォーキングコースとして、以下のものが紹介されている。JR南浦和駅→大谷場氷川神社→神明神社→睦神社→醫王寺(いおうじ)→ 白幡沼→真福寺→花と緑の散歩道→別所沼公園→ JR中浦和駅。行程は約6km。


睦神社の石段のさまざまなデータ
 段 数  91段[標準]
A=37段 B=54段)
 磨滅度  A=ほとんどなし(新しい)
 B=軽微
 長 さ 約43m[標準]
 石段部分=37m(87%)
 踊場部分=5.5m(13%)

方 角  A=北東
 B=東南東~南東
 高低差  約7.3m[小さい]  石 材   A=天然材(花こう岩・砂岩)
 B=人工材
 幅 員  A=1.46m[標準]
 B=1.13~1.19m
[狭い]
 踏 面  A=27.5㎝[標準]
 B=28~121㎝[標準~広い~かなり広い]
 手すり  A=有(右側)
 B=なし
 蹴上げ  A=19.5㎝[標準]
 B=7~14㎝ 
[低い]
 併置物  A=鳥居
 B=
池(石段Bの上り口脇)
 傾 斜  A= 35°[急]
 B=8~26° 
[緩い~標準]
 築年代 A=2013年(平成25年)
B=?
 踊場数  A=2ヵ所
 B=1ヵ所
 植 栽  アオキ・シダ・シノダケ・カキツバタ・シロダモなど多数
 袖 石   A=有(幅12㎝)
 B=有
(幅12㎝)
その他   
  •  <データの注> (1)段数・長さ・高低差・幅員・踏面・蹴上げ・傾斜については、SEKINEの独自基準による感覚的な区分を例示。 (2)長さは踊場を含む。石段部分と踊場部分の内訳と構成比を示した。長さは、上の地形図の長さとは一致しない。 (3)幅員は袖石を含む。 (4)方角は下から上に向かう方向。 (5)築年代は一部定かでない。
  •  <データの解説1> 段数・長さについて Aの石段よりBの石段の方が、段数も多く、長さも長い。
  •  <データの解説2> 高低差について Aの石段もBの石段も、同じた高さの境内に到着するので、高低差は等しい。
  •  <データの解説3> 幅員について Aの石段の大部分は表の数値である。上り始めの最初の5段のみ、2.15~2.20mで、少し広い。
  •  <データの解説4> 踏面について Bの石段の踏面幅は範囲が広い。28~32㎝幅の石材を単位として、1~4枚並べて踏面が構成されていることが理由である。表の数値は4枚の石材が並べられている場合である。1枚、2枚、3枚の場合もある。
  •  <データの解説5> 蹴上げについて Aの石段の最初の5段のみ、蹴上げが約24㎝である。Bの石段は蹴上げがかなり低い。
  •  <データの解説6> 傾斜について Aの石段の傾斜は35°で急である。最初の5段はさらに大きく約40°である。Bの石段は全体的に傾斜が小さいが、変化が激しい。Aは男坂、Bが女坂とよばれ、よいコントラストをなす石段である。
  •  <データの解説7> 踊場数について Aの石段とBの石段が中段で交差しているので、踊場の一つは両者で共用している。
  •  <データの解説8> 方角について Bの石段は、交差点前の中段付近で15°東へ、交差点通過後に30°南へと、方角が微妙に変化する。
  •  <データの解説9> 築年代について 境内に、Aの石段の改修記念の石碑がある。
  •  <データの解説10> 植栽について 解説板には、「境内にはシロダモ・ヤブツバキ・ビナンカズラ・キチジョウソウなどの暖地性植物が多く生育している」との説明がある(浦和市教育委員会による)。


  石段の交差点
  上の地形図に見るように、2本の石段が交差している。石段の交差点はなかなか見られるものではない。手すりのある白い石段は新しく、手すりのない黒い石段が古い。それらの対照も魅力的だ。
  微妙に屈折
 古い方の石段は、交差点前で若干折れている。具体的な数値は上の<データの解説8>を参考のこと。Aの男坂は一気にストレートに突き上げるが、Bの女坂はゆるやかに屈曲する。この対称性も魅力的だ。
  二枚板の踏面
 B石段の上り口は、踏面に2枚板が配されている。中には3枚、4枚のものもある。もちろん1枚のものもあるので、この変化が楽しい。
  浮き出た砂利
 Bの石段は人工材で作られている。古いので表面が風化している。そのため使われている砂利(小石)が浮いている。中にはセンチメートル単位の大きさの小石も見られる。
  タワーではありません
 Aの石段の両袖には排水用の溝が通っている。下からのぞくと、まるで高層ビルのように・・。写真撮影の遊び心です。側溝の幅は約14㎝。
  正方形の穴が穿たれている
 Aの石段の両脇に四角い穴が穿たれた石がある。穴の一辺は7.5㎝。かつての柱の痕跡?
  都会の中の本社
 睦神社は武蔵浦和駅から歩いて10分程度。神社周辺は喧噪ではないが、都会の空気に満ちている。その中で緑に囲まれた高台の睦神社の境内は、とても落ち着いている。ゆったりとベンチに腰を下ろし、一息入れるのにはうってつけの場所である。
  多彩な植生
 上の<データの解説10>に述べたように、植栽が充実している。高台にあるとは言え、それほど広くはない。しかし、植物の種類は豊富である。植物にご関心のある方には、楽しい場所であろう。
  やすらぎの池
 Bの石段の上り口の脇には、池がある。約8m×5mの大きさ。暑い夏は涼をよぶ。池中央の二股の幹が印象的。かつては、太刀を池に立てて、雨乞いの神事が行われていたとか。


以下の関根一昭の2つのホームページにもぜひお立ち寄りください(^_^)

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関根一昭