隠れた郷土の遺産、石段の魅力をあなたに~SEKINEが選ぶ埼玉の石段ベスト33+α


神社仏閣の石段は、駅の階段と違って趣があり、自然に溶け込み、個性や変化に富んでいます。
長い石段を上りつめると、観音堂や御社があたたかく迎えてくれ、すばらしい眺望が待っています。
200段、300段を超える石段は達成感も得られます。神社仏閣を訪ね石段にチャレンジしてみませんか?
体には脚力・心肺機能・バランスの維持と健康増進、心には癒しと満足感をきっと得られることでしょう!
では、SEKINEが選ぶ埼玉の石段ベスト33+α(アルファ)をお楽しみください!



①ゆっくり上る  ②手すりを使う  ③踊場で一息入れる  ④バランスに注意
   ⑥下りでのヒザへの負担  ⑦石段脇の植栽にも目を  ⑧ふだんからちょっとしたトレーニングを


隠れた郷土の遺産、石段の魅力をあなたに~SEKINEが選ぶ埼玉の石段ベスト33+α

隠れた郷土の遺産、石段の魅力をあなたに!

 
 秩父札所26番岩井堂の位置  石段の地形的な位置
所在地  埼玉県秩父市下影森348番地(円融寺)
  •  【ご挨拶】 本ホームページ作成者の関根一昭です。埼玉県秩父市に在住し、長年高校教師の傍ら地質学の野外調査を行ってきましたが、その間さまざまな石段に巡り合い興味・関心を寄せてきました。本ホームページはその一端を紹介させていただくものです。
  •  【石段のプロフィール】 秩父札所26番円融寺奥の院岩井堂に続く長い石段である。段数は約315段(不明瞭の部分あり)、長さは約144mである。勾配の強い石段が、天空に向かって突き刺すようにのびている様子は圧巻である。石段上部では南東から北東へと、ほぼ直角に方向が変化する。 自然の岩をそのまま刻んだ部分もあり、周囲の景観ににマッチした石段である。
  •  【石段周辺の地形】 岩井堂は標高約300~357mの間にあり、高低差は約57mである。岩井堂に続く石段は、西方に秩父盆地をのぞむ外秩父山地にある。南東方向には秩父の雄峰である武甲山がある。岩井堂からは眼前に迫るダイナミックな武甲山を楽しめる。急峻な地形の上に建立されている岩井堂は、奥の院にふさわしいたたずまいを見せている。    
  •  【石段周辺の地質】 岩井堂に向かう石段は、外秩父山地をつくる中生代の付加体の地層の上につくられている。岩井堂付近のチャートや武甲山をつくる石灰岩、緑色岩などは、付加体を構成するおもな岩石である。石段上部の大きな勾配は、風化、浸食に強いチャートの性質によるところが大きい。 チャートは珪質プランクトンの遺骸が集積してつくられた、ガラスと同じくらい硬い岩石である。
  •  【インフォメーション】 岩井堂への道は、昭和電工の広い敷地を通過している。登り口の左方には長い石段を持つ琴平神社がある(別のページで紹介)。石段のスタート地点までは、山道を200mほど進む。 札所26番の円融寺は、影森駅から500mほど離れた平地にある。本堂の戒壇には、軍身姿の勝軍地蔵菩薩立像などがある
  •  【周辺の散策・ハイキングコース】 琴平ハイキングコースの一部で、次のコースがお手頃です。岩井堂→護国観音→札所28番・橋立鍾乳洞→浦山口駅(秩父鉄道)で、所要時間は約1時間15分。護国観音は高さ15mで、関東三大観音像の一つとも。橋立鍾乳洞は美しい洞なので、時間があればぜひ入洞を。


秩父札所26番岩井堂の石段のさまざまなデータ
 段 数 315段[かなり多い]  磨滅度  中程度
 長 さ 約144m[かなり長い]
 石段部分=107m(74%)
 踊場部分=37m(26%)
方 角 南東(下部)・北東(上部)
 高低差  約57m[かなり大きい]  石 材   天然材(砂岩)
自然石(石灰岩・チャート) 
 幅 員  ❶ 1.3~1.9m[標準]
 ❷ 2.2~2.8m[標準]
 踏 面  ❶ 25~35㎝[標準]
 ❷ 60~70㎝
[かなり広い]
 手すり  中央に有
 蹴上げ   10~25㎝[標準/高い]  併置物  地 蔵
 傾 斜  ❶ 24~30°[標準]
 ❷ 35~40°
[急]
 築年代  ?
 踊場数  9ヵ所  植 栽  スギ・シダなど
 袖 石  有(幅15㎝) その他   
  •  <データの注> (1)段数・長さ・高低差・幅員・踏面・蹴上げ・傾斜については、SEKINEの独自基準による感覚的な区分を例示。 (2)長さは踊場を含む。石段部分と踊場部分の内訳と構成比を示した。長さは、上の地形図の長さとは一致しない。 (3)幅員は袖石を含む。 (4)方角は下から上に向かう方向。 (5)築年代は定かでない。
  •  <データの解説1> 段数について 段数は不明瞭な部分がある。石段の下部はしっかりしているが、上部では数えにくい場所がある。特に自然石に直接刻みを入れて石段としている部分は、段数が定かでない。
  •  <データの解説2> 幅員および踏面について 幅員および踏面は、それぞれ2タイプある。幅員の広い場所は、おもに上部において、自然石を利用した部分に多い。踏面幅の広い場所も、同様のことが言える。
  •  <データの解説3> 傾斜について 傾斜については2タイプある。❶の24~30°は標準的である。❷の35~40°の急勾配の部分は上部にあり、地形を反映していると考えられる。。
  •  <データの解説4> 方角について 石段が尾根に出ると、方角が南東から北東へと、ほぼ直角に変化する。山腹の斜面道から尾根道に出会う場所ではよくみられる。



  延々と続く石段
 写真手前の石段の先には、急勾配の石段が待っている。まるで天を突くかのようである。石段上りの醍醐味と言えよう。これらを上りつめると、石段は左にほぼ直角に折れる(下段付近)。
  ゆがんだ石段
 石段をささえる地盤が不均等に動いたのあろう。その結果、石段中央部が水平に対してゆがんでいる。注意は必要だが、上り下りには問題ない。
  踏み面が前にせりだした石段
 写真の上から2番目の石段は、左方にいくにつれ前にせり出しているのがわかる。石段中央部付近の地盤が滑ったために、石段が引きずられ、前方に少し移動したと思われる。
  岩盤に刻まれた石段
 石段の最上部、岩井堂の本堂に近くなるとチャートの岩盤が露出する。これに直接石段が刻まれている。チャートは硬いので、頑丈な石段であるが、ノミを入れるのは大変であったろう(上段付近)。
  石段と本堂
 長い石段のラストステージである。岩井堂がのぞいている。一息入れて、あせらず上ろう(上段付近)。
  ダイナミックな岩井堂の懸造り
 岩井堂はミニ清水寺のようなつくりで、懸造り(かけづくり)と言われる。小さいけれど舞台もあり、そこに立つと厳かで清々しい空気を味わえる。


以下の関根一昭の2つのホームページにもぜひお立ち寄りください(^_^)

   原爆ドーム模型製作の指南書
 世界遺産原爆ドーム。詳細な型紙を100枚以上収録。これを張り付け切り抜き組み立てれば完成。文化祭・平和展のシンボルに。旧奨励館模型も可能。
  「いのちの教育」に科学から迫る
 「九死に一生物語~シーラカンスと私を結ぶ二億のおかあさん」(関根一昭著/平和文化)のご案内。人類につながる4億年に渡る生命の歴史物語。

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関根一昭