隠れた郷土の遺産、石段の魅力をあなたに~SEKINEが選ぶ埼玉の石段ベスト33+α


神社仏閣の石段は、駅の階段と違って趣があり、自然に溶け込み、個性や変化に富んでいます。
長い石段を上りつめると、観音堂や御社があたたかく迎えてくれ、すばらしい眺望が待っています。
200段、300段を超える石段は達成感も得られます。神社仏閣を訪ね石段にチャレンジしてみませんか?
体には脚力・心肺機能・バランスの維持と健康増進、心には癒しと満足感をきっと得られることでしょう!
では、SEKINEが選ぶ埼玉の石段ベスト33+α(アルファ)をお楽しみください!



①ゆっくり上る  ②手すりを使う  ③踊場で一息入れる  ④バランスに注意
   ⑥下りでのヒザへの負担  ⑦石段脇の植栽にも目を  ⑧ふだんからちょっとしたトレーニングを


隠れた郷土の遺産、石段の魅力をあなたに~SEKINEが選ぶ埼玉の石段ベスト33+α

隠れた郷土の遺産、石段の魅力をあなたに!

 
 蓑山神社の位置  石段の地形的な位置
所在地  埼玉県秩父郡皆野町皆野4138-3付近
  •  【ご挨拶】 本ホームページ作成者の関根一昭です。埼玉県秩父市に在住し、長年高校教師の傍ら地質学の野外調査を行ってきましたが、その間さまざまな石段に巡り合い興味・関心を寄せてきました。本ホームページはその一端を紹介させていただくものです。
  •  【石段のプロフィール】 蓑山(みのやま)神社の石段は114段ある。蓑山(582m)の緑に囲まれた、ひっそりとした石段である。蓑山の上につくられた県立美の山公園の北の端に、榛名神社と展望台がある。 展望台の北側の細い道を300mほど下る。途中に分岐があるが、下に続く道をすすむ。全体で、約10分ほど歩くと、蓑山神社の本堂の境内に出る。本来は、下の【周辺の散策・ハイキングコース】にも掲げたように、蓑山のふもとから登り、鳥居をくぐって訪れるのが正式である。下から眺めた石段は、杉木立の中を突き上げるような凛々しさがある。思わずスキーのジャンプ台を思い出した。
  •  【石段周辺の地形】 石段は、標高485~503mの間にあり、高低差は約18mである。蓑山神社は、蓑山(582m)の頂上ではなく、少し下った山の中にある。蓑山は秩父盆地の北東縁の外側にあり、展望がよい。荒川の流路、尾田蒔丘陵(通称長尾根)の段丘、武甲山や両神山などの山々を一望のもとに眺めることができる。秩父の地形を楽しむにはよい場所である。
  •  【石段周辺の地質】 蓑山神社の石段を含む蓑山は、三波川(さんばがわ)帯という地質帯に属する。蓑山は、結晶片岩からできている。これは長瀞の岩畳をつくる岩石と同種である。秩父盆地と三波川帯の境界線は断層である。蓑山西方を走る断層は出牛-黒谷(じゅうし-くろや)断層とよばれる。この断層沿いに和銅遺跡があり、奈良時代につくられた和同開珎(わどうかいちん)の銅を提供したことで有名である。
  •  【インフォメーション】 蓑山神社の「見もの」の一つは狛犬で、ちょっと変わっている。 とても痩せている、あばら骨が浮いている、首をかしげている、鼻が長い、耳がたれている・・・などの姿。ニホンオオカミを彫ったものとの説もある。ぜひご一瞥を。
  •  【周辺の散策・ハイキングコース】 蓑山(美の山)周辺は、ハイキングコースが充実している。蓑山神社を訪ねるコースは、「蓑山神社表参道コース」や関東ふれあいの道の「美の山公園を訪ねるみち」などがおすすめ。サクラやツツジなどを楽しみながらの、美の山公園内の散策コースもよく整備されている。


蓑山神社の石段のさまざまなデータ
 段 数  114段[標準]  磨滅度  大きい
 長 さ 約42m[標準]
 石段部分=38m(90%)
 踊場部分= 4m(10%)
方 角  南東
 高低差  約18m[標準]  石 材  天然材(砂岩・砂質片岩・泥質片岩・緑色片岩)
人工材(一部)

 幅 員  ❶ 2.0m[標準] 
 ❷ 2.8m[広い]
 踏 面  ❶ 24~32㎝[標準]
 ❷ 72㎝[かなり広い]
 手すり  有(中央)
 蹴上げ  ❶ 15~21㎝[標準]
 ❷ 18~32㎝[標準~かなり高い]
 併置物  灯籠・鳥居
 傾 斜  ❶ 28~35°[標準~急]
 ❷ 35~36°[急]
 ❸ 16°  [緩い]
 築年代  ?
 踊場数  2ヵ所  植 栽  スギ・シダなど
 袖 石  有(幅14~16㎝/一部なし) その他   
  •  <データの注> (1)段数・長さ・高低差・幅員・踏面・蹴上げ・傾斜については、SEKINEの独自基準による感覚的な区分を例示。 (2)長さは踊場を含む。石段部分と踊場部分の内訳と構成比を示した。長さは、上の地形図の長さとは一致しない。 (3)幅員は袖石を含む。 (4)方角は下から上に向かう方向。 (5)築年代は定かでない。
  •  <データの解説1> 幅員・踏面・蹴上げについて いずれも❶が大部分をしめて、❷は最初の3段のみである。最初の3段は、幅員、踏面幅ともに広く、かつ蹴上げも高いものを含む。
  •  <データの解説2> 蹴上げについて ❶が大部分をしめる。❸は最初の3段、❷は上下の踊り場にはさまれた6段の石段である。❶は28°→ 33°(29m地点)→ 38°(34m地点)→ 35°(37m地点)と、傾斜がめまぐるしく変化する。地点は傾斜の変化点である。1回目と2回目の変化点で、傾斜が5°ずつ増える。3回目の変化点で3°減る。傾斜の変化は、手すりの角度の違いによく表れている(下の写真を参照)。
  •  <データの解説3> 袖石について 袖石の一部には、埋もれて隠れてしまったもの、崩れて流されてしまったもの、植栽に覆われて見えないもの、天然石のブロックを配列したものなどがある(下の写真を参照)。


  石段と夏草のコラボ
  夏の終わりに訪ねた。したたる緑が、石段を覆い、まるで石段が緑に溶け込んでいるようだ。石段の向かって左側を、植物を踏みつけないようにして進んだ(下段付近)。
  石段と苔のコラボ
 石段の表面には苔がはりつき、街中の階段では味わえない、自然の息吹とマッチした石段である。ゴツゴツした石段の表面も、苔と調和している(下段付近)。
  傾斜の変化が隠し味
 上の<データの解説2>に述べたように、石段の傾斜が微妙に変化している。手すりの角度の変化が示している。石段歩きの楽しみのひとつだ(上段付近)。
  角度の違いは何度?
 角度の変化点付近の手すりを真横から見る。赤線で示したように、上の石段の傾斜が急になっている。その角度は約5°。5°は実感できる角度である(上段付近)。
  消えた袖石
 袖石が消えている。まわりの状況からして最初は存在していた。崩れて、流されたのかもしれない。赤線はスケールの左端から20㎝の位置である。元の袖石は、14~16㎝幅と思われる(中段付近)。
  さまざまな幅の石材
 さまざまなサイズに切り出された石材が配置されている。変化に富んでいて、足取りも軽くなる。石材は砂岩(上段付近)。
  痩せ狛犬に守られるお堂
 周囲の緑にマッチした素朴なお社である。扁額には、蓑山神社ではなく、「蓑神社」とある。痩せた二頭の狛犬が対面している。
  独特な姿の狛犬
 体躯、容貌、表情など、味のある狛犬である。写真の狛犬は向かって左側にいらっしゃる。反対側の狛犬の姿もお楽しみください。


以下の関根一昭の2つのホームページにもぜひお立ち寄りください(^_^)

   原爆ドーム模型製作の指南書
 世界遺産原爆ドーム。詳細な型紙を100枚以上収録。これを張り付け切り抜き組み立てれば完成。文化祭・平和展のシンボルに。旧奨励館模型も可能。
  「いのちの教育」に科学から迫る
 「九死に一生物語~シーラカンスと私を結ぶ二億のおかあさん」(関根一昭著/平和文化)のご案内。人類につながる4億年に渡る生命の歴史物語。

ホームページ代表者
関根一昭