『武州鉢形城』 国指定史跡
〇場所 埼玉県大里郡寄居町字鉢形
〇現存遺構 石垣、空堀、土塁、水掘、井戸、本丸、二の丸、三の丸御殿下曲輪、馬出し、櫓台、
外郭、
文明8年(1476)、長尾景春の頃の鉢形城は、今の本丸の部分だけだったろうと言われています。その後、天文15年以前のこの一帯は、関東官領の上杉氏の四家老の一人、藤田重利の支配下でしたが、川越城を後北条氏に奪れると、しだいに上杉氏の勢力は衰え、藤田重利も後北条氏の配下に加わりました。北条氏康の三男氏邦を重利の養子に迎え、天神山城(秩父郡長瀞町)に入りました。(一説には、最初は根古屋城(秩父郡横瀬町)。)そして、重利の娘である大福御前を氏邦に嫁がせました。その後氏邦は、鉢形城を大改修して鉢形城主と成ります。狼煙の伝達網も発達し、秩父郡内に残る主な城は、鉢形城の支城となっています。

天正10年の豊臣秀吉による「小田原征伐」の時には、北陸軍約5万人に対して鉢形城は約3500人で籠城し、約1ヶ月間持ちこたえ開城しています。(北陸軍の中には有名な、前田利家、上杉景勝、真田昌幸、家康の家臣の本多忠勝などが鉢形城を攻めました。)秀吉軍の攻撃以前には、武田信玄や上杉謙信の攻撃もあった城です。


(鉢形城歴史館オープン) 平成16年10月16日
展示内容は、鉢形城の模型と映像で、歴史と構を詳しく解説してくれます。その他の事は、パネルと映像で説明してくれます。発掘品に関しては、2ケース展示されてますが、八王子城などと違い、開城でしたのでやはり少なかったみたいです。鉄砲の玉は只今4個発掘された様ですが、外曲輪の水田化した水堀を発掘すれば、多くの玉が発掘されると思います。現段階も発掘調査が進行中ですので、今後も楽しみに待ちましょう。

今回年二回行われる特別展が行われていて、秩父郡吉田町椋神社に奉納されている、氏邦所用の「筋兜」や、鎌倉時代の武蔵七党の中心的勢力だった秩父氏の子孫で、鉢形城の秩父曲輪に屋敷があった秩父孫次郎重国所用の「五枚胴具足」が展示されていて(いずれも本物)、直に見れた事が大変嬉かったです。



(本丸)
  
(左:本丸 後方は荒川の断崖、右:石垣)
本丸の部分は、3つの郭に分かれていて、北条氏邦が入る前の鉢形城は、本丸の部分だけだったろうと言われています。3つの郭はそれぞれ堀切により区切られ、荒川側には土塁があります。
 
(左:本丸と御殿下曲輪間の土塁、右:本丸の井戸址)

(本丸から、秩父方面を見る〉
天正18年の小田原征伐の時は、鉢形城と花園城の間に、北陸師団の中の真田昌幸軍が陣を取った。



(御殿下曲輪)
 
(左:櫓台、右:井戸)

(水堀)
本丸のすぐ横に(本丸より低位置)有るので、こう呼んだのでしょう。ここには今も水を湛える水堀が残ってます。しかし、御殿下曲輪の大部分は県の林業試験場となっています。



(二の丸、三の丸間の馬出し)現地説明会にて
 
(左:河原石の石垣、右:馬出し横の空堀)
 
(馬出し全景)
二の丸と三の丸の間には深い堀が有り、必ずこの馬出しを通らなければならなかった様です。三の丸と馬出しの間 には堀が有り、そこを木橋で繋いであった様です。図には出てませんが、馬出しの右側には櫓が有り(現在の城山 稲荷神社部分)、敵が馬出しに侵入すると、二の丸、櫓から一斉に攻撃出来る様な仕組みになっていた様です。

(2001年5月27日現在の馬出し(現在城山稲荷神社のある、櫓台より撮影。)
 
左の写真の馬出しの虎口より、三の丸へ木橋が掛けられていたと思われます。右の写真は、馬出しから二の丸の 櫓(現在城山稲荷神社)がある所まで繋がっていた、土橋。

(二の丸、三の丸間の空堀。後方は馬出し。)

(二の丸、三の丸間の馬出に、遂に橋が架かりました。平成14年3月11日現在)
 
(左:二の丸、三の丸間の空堀)
(右:二の丸秩父曲輪間の馬出しの空堀 平成15年2月12日現在)

(現在の二の丸、三の丸間の空堀)



(三の丸 通称秩父曲輪)
 
(河原石で作った石垣)
この秩父曲輪の石垣も、河原石で出来ています。3ヶ所に階段が作られていましたつまり、石垣で内側を固めた土 塁の上からも、攻撃出来た見たいです。この土塁の前にも馬出しが有り、敵に対する防御がかなり見られた様です 。(図面の右端の部分は櫓台。)

秩父曲輪の館の発掘風景 (平成12年10月1日現在)
 
(復元が進む、秩父曲輪の石垣 平成15年2月12日現在)
 
(左:秩父曲輪から前方の馬出し(諏訪神社)に通じる虎口が出来ました。)
(右:秩父曲輪馬出し間の空堀)

(鉢形城秩父曲輪に建設中の平御門。塀は、土塀の様になっています。平成16年2月28日現在)

(左;元井戸があった場所には、池が出来るらしいです。後方は休憩所を建設中。右;復元された井戸。)

(発掘調査の終了した、二の丸三の丸に解説版が付きました。平成16年10月16日現在)