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○第三歩 <その1 ぶどうの加害の行動>
ハクビシンは果実類がとっても大好物。 その果実類のほとんどは栽培されているもので 管理がしやすいように棚仕立てや低樹高で栽培され 樹園地の周囲には防風網 上部には多目的防災網や防鳥網が張られている。 また 果実を害虫や汚れから守るため袋が掛けられている。
これだけがっちりとガードされているにもかかわらず ハクビシンは 果実類を餌と認識し 罪の意識もなく食餌をしてしまう。
以下の行動は 足跡 爪跡などの痕跡 ビデオによる撮影から把握したものである。
★ 侵入方法と運動能力
防風網には 足の爪によって編み目が乱れていることから 登攀したことがわかる。 防風網を登った後に 防鳥網があれば侵入口は破れて大きな穴が空く。 その穴を針金で塞いでも すぐ横を破り侵入する。 防鳥網の破る手段は明らかではない。 食い破るのか 無理矢理顔を突っ込こむのか いずれかではないかと思う。 また 侵入は地上を歩いてきて侵入する場合もある。 その際は すき間などを探すか 防鳥網がある場合は 破って侵入する。 地上から侵入した場合は 主幹やポールに始めはジャンプして 勢いで登っていく。
棚面に達したハクビシンは 枝やワイヤーの上を ピョンピョンと飛び跳ねるようにして移動する。
★ 執着心が生んだ技と美食家
食餌をする姿勢は 棚面から顔だけを棚下にあるぶどうに向け突き出す。 その際 バランスをとるため尻尾が真上方向から真横方向の間で揺れ動いている。
ぶどうには袋が掛かっている。 破り方は 口で袋を噛んだ後に斜め横上から真横方向に引っ張り 食いちぎるようにして袋を破る。 その穴の空いた袋に 顔をつっこんで食餌をする。 始めは 上部の果実を食餌し 徐々に下方へと食餌が進む。 下方へと行くに従い 房が揺れるため その揺れを抑えるため前足1本を出して 抑えるようにして食餌をする。
食餌は 棚下に顔を出したまま行うが 時折 棚面と並行に顔を上げる。 食餌した果実をのどの奥に進めるために 犬のように顔を引きながら口を開け勢いで食べる。 2〜4粒食べるごとに 果皮を吐き出す。 種は飲み込み 糞とともに排泄されている。
食害被害の発生は 成熟期の1か月〜3週間前に始まる。 代表的な品種で 被害発生の順番は ヒムロットシードレス キャンベルアーリー 巨峰である。 特に被害が多いのは 美味いと言われる栽培面積の多い大粒系の巨峰が中心で 食害は8月上旬からで 収穫期は9月上旬である。
★ 番外編
ハクビシンの食餌風景を撮ろうと思ったら アライグマがぶどうを食べにやって来た。 ぶどう棚の上から まず最初に前足で袋を手前に寄せようとするがこないため 顔を棚下につきだして 袋に食いつき破った後に ぶどうを食べ始める。 また 破けない袋の場合は 食いついた後に4つ足で踏ん張って 力ずくで袋を引っ張る。