- Footwear -

悪路を歩く時、ブーツの性能によっていかに行動エリアが広がるかしみじみ感じることがある。

一時期はブーツのコレクションに凝ってみたりもしたが、所詮は靴。 ひとりでそんなに履きこめるはずもなく、徐々に使えるブーツだけが残っていった。

下記のブーツも、かつての遍歴を映しており、すべてが現在手元にあるわけではない。

それでも、ブーツを見るだけで、それを履いて行った山の景色を思い出すことができるという楽しみもあるだろう。

10' ビーンブーツ(エルエルビーン) 10" Gore-Tex/Thinsulate Bean Boots of L.L.BEAN 1997年10月購入

25cm丈の狩猟用ブーツ。

ゴアテックスブーティー内蔵で、防水性への安心感は素晴らしいものがあります。
浸水さえしなければ、川の中でも平気です。


防寒素材シンサレートが中綿に入っているので、雪の中などでもあまり冷えないのには助かります。

幾シーズンかを経て使用してきたのですが、レザーは最上級のものを使用していると説明されていただけあって、あまりオイル塗布などもしていないのですが、ひび割れの兆しは微塵もありません。

意外に良かったこととしては、ゴム製のソールが結構柔らかめなので、じかに地面を踏みしめているような感触が味わえます。
足音があまりしないのは、元々ハンティング用の靴だからでしょう。

くるぶしあたりまでゴムなので、キズ等を気にすることなく、ガレ場や水辺もガシガシ歩けます。

とにかく、泥濘と雪のフィールドにおいては、非常に便利な靴です。

16' スネークプルーフブーツ(チペワ) 16" Chippewa Snake-proof boots of CHIPPEWA 1997年10月購入
フットウェア・メーカーの老舗・チペワの本格的な実用派ブーツです。

でも、このブーツ、丈が16インチ(cm)もあります。

一体どんな人が履くのか?

それは、この靴の名前が示すとおり。


スネーク(蛇を)プルーフ(はじく)。つまり、毒ヘビ対策用のブーツなのです。米国より個人輸入で入手したブーツですので、本来の使用者はアメリカ人が対象。使用環境も、アメリカ国内が対象のようです。

そう、猛毒のガラガラヘビから、中西部のフィールドで働く人々の身を守るためのアイテムだったのです。

決して歩きごこちのほうは良好ではないのですが、しっかりしたつくりで、アッパーも毒ヘビの牙に貫かれないよう頑丈なファブリックを使用。


ガラガラヘビのいる荒野で働く西部の人たちの苦労が、伝わってくるような一品です。


ちなみに私がこれをどこで使っていたかというと、ゴアテックスブーティー使用で完全防水なので、フィールドで川を渡るときに使っていました。
ワイルダネス(メレル) Wilderness of MERRELL 1999年3月購入
アメリカの代表的なフットウェアメーカー・メレルの製品。
 
同社のブーツの中では、世界で最も売れている機種だそうです。

全体的に、特別目に付くようなパーツもない、きわめてシンプルなデザインですが、軽くて扱いやすい優れた基本性能によって、様々なアウトドア系スポーツのインストラクターなどに愛用者が多いようです。

分厚い頑丈なレザーでできているにも関わらず、設計が優れているために足への負担がすくないです。

唯一、不便を感じたのは防水性能が低いこと。

もちろん、水も漏らさない堅固なノルヴェイジャン製法で、油分を含んだレザーとソールを縫い付けているので、非ハイテク系としてはかなり水に強い設計になってはいるのですが、どうやらベロのあたりから浸水するようです。

ゴア・ブーティーなどのハイテク素材全盛の現在のブーツには、防水性に関しては、やはりかないませんが、良いローテクのバックパッキングブーツとはどのようなものかを、充分に実感できる履き心地でした。

富士山をはじめ、さまざまなガレ場を踏破した、よき友です。

ケブラーライト(ダナー) Kevlar light of DANNER 2001年1月購入
「ダナーライト」「ダナーライトU」「ケブラーライト」とつづく、このダナーの代表的なラインナップは、タイトなスタイルがアパレル系にも大人気です。

ダナーは1932年にオレゴン州ポートランドで創業されたメーカーで、60年以上もハンドメイドで靴を作り続けています。

といっても、伝統に固執するばかりでなく、ゴアテックスをはじめてシューズに搭載したモデル「ダナーライト」など、先進の技術も積極的に取り入れる一面もあります。


ダナーならマウンテンライトという、アメリカの『バックパッカーマガジン』でベスト・ハイキングシューズに選ばれた傑作もあるのですが、今回はデザインと価格で、このケブラーライトを選びました。

外形については、人間工学的なデザインのブーツが増えてきた現在では、やや古めかしい形に見えます。

実際、基本デザインは「ダナーライト」の発売された1980年からほとんど変わっていないようで、今の最先端のブーツからするとちょっと物足りない感じもします。

もちろん機能的には充分実用に耐えるものであり、完全防水のゴアテックス・ブーティー採用や、軽くて頑強なつくりは、安心して酷使することができます。

この「ケブラーライト」は、アッパーの一部に最強の頑丈素材ケブラーを使用しているので、タフだということです。

…が、果たしてケブラーの真価が問われるまでに、このブーツを履きこむことができるのでしょうか。
アオスタ(アルモンド) Aosta of ARMOND 2002年12月購入
高所や岩の多い道を歩くときに抜群の頼もしさを発揮するのが、アルモンド社製のこの「アオスタ」です。

縫い目を極力減らした2.8oのヌバックレザーが、足をがっちりとホールドしてくれます。

この頑丈さで、片足約900gというのは、かなり軽いのではないでしょうか。

インナーは上質のカーフレザーで、履くほどに足になじんできました。

購入の決め手になったのは
「ゴアテックスを使わない良質の登山靴という点。

ARMOND社は1967年イタリア生まれのメーカーで、売りは「本物のオールレザー登山靴」ということらしいです。

流行のゴア・テックスを使わず、縫い目を減らすカッティングと革本来の防水性・通気性を生かした靴作りがいかにも本物らしく好感が持てます。

弱点は、あまりに本物志向なために、デザインやスペック的に地味だということでしょうか。そこが長所でもありますが。

「アオスタ」は無雪期の縦走用という用途なのですが、私は有雪期の低山にも使用しています。

それでも、ゴア無しにも関わらず防水性になんら支障はありませんでした。