Diary2001.11

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11月30日(金)晴れ. 木枯らしが吹く
久々にブルーベリー園の手入れを行った。 なんのことはない 除草だ。 草の実がたくさんなり 落ちる寸前。 来年のために 丁寧に時間をかけ1本1本手で抜き取った。
確実な 明日への一歩を記すための助言をいただいた。 口は悪いが 本音で仕事をする 兄貴的な存在の人。 感情論ではだめだと言うが 感情抜きでは 今の仕事は語れない。

11月29日(木)晴れ.
いい仕事を見つけたと思う。 農家からは喜ばれるし 事務所には居なくてすむし 体も動かせる。 しかも楽しい。 毎日 歩くことが仕事と言っていい。 きょうも 5時間30分くらい歩いた。 無線機とアンテナを持っているため 肩が凝ることと腱鞘炎になりそうなことがちょっと・・・。 行く先々の地元住民や畑で仕事をしている人たちと 親しくうち解け あいさつが「きょうはいたかい?」 「・・・にいましたよ」と こんな具合。 明日も 歩き続ける。

11月28日(水)晴れ..
bluを読み終えた。 読み進むにつれ その先が読みたくて 毎日うずうずしながら 読書の時間がとれない多忙さと 睡魔を恨みつつ きょう一気に読み上げた。 映画で見たフィレンツェの町並みが鮮明に蘇ってきた。 忘れられない過去がある。 忘れられない出逢いがあった。 後悔と苦悩の日々を過ごした。 作者の意のままに こころを揺さぶられた。 過去は決して 取り戻せない 取り返しのつかないもの。 だから これからの100年に向かって・・・未来に向けて・・・と こころが熱くなった。 今 この時を共有する不思議と 必然性に感謝をするとともに 1日1日を大切にしていきたい。

11月27日(火)晴れ.
昨夜は テレメ始まって以来 日没から夜明けまで 2頭とも全く受信できなかった。 寒さと 疲れと 眠さと 脱力感で 疲れ果てた。 その屈辱を晴らすため 何としても寝屋だけは突き止めようと 徹底した捜索を行った。 金太はすぐに見つかったが ななは手こずった。 発信器からの電波は 複雑な地形になるほど 跳ね返りが多く 近くにはいるのだが なかなか寝屋が特定できない。 きょうのななの寝屋は 深さ10m位のS字に曲がった小川の縁にいた。 およその場所はわかったが 寝屋を絞り込む時に 跳ね返ってくる電波に翻弄され 特定に2時間程度かかってしまった。 でも ほっ!

11月26日(月)晴れ.
朝から 日中 夜中 朝方まで 歩きっぱなし。 今02:45 ちょっと休憩中。 金太とななが まったく音信不通。 こんなことは初めて。 また 活動エリアが変わったのだろうか。 そう思い捜索範囲を広げてみたが・・・。 人間の考えることと ハクビシンの行動が見事にずれている。 金太とななの気持ちになって もっと考えなくちゃ。 もしかしたら 手と手を取り合って 愛の逃避行をしたのかな・・・。

11月25日()晴れ
腹の底に響くようなバイクの排気音。 その音は 山と川の間を縫うように走る道沿いに 響き渡っていた。 数件の民家が点在する街から離れた場所。 1983年の年代物のハーレーダビットソンの直管パイプから出ていた。 その持ち主は 以前 夜中のテレメ中に 不審人物と間違えられて声をかけてきた 酔っぱらい親父だった。 しばらくすると イノシシを飼っている八百屋の親父も 真新しいハーレーに乗って出てきた。 60歳をとっくに過ぎたただの親父ではなかった。 その姿は 黒の革ジャンと ズボン。 走り去る姿を見ると いままでの鈍くさい親父のイメージからかけ離れる。 人は見かけに寄らないもの。 寝屋捜索中の出来事。
寒桜のたもとで 花見をしながらの昼食。 マクドナルドのバリューセットでも 小春日和には贅沢すぎる。 蜂たちが この時期には珍しく咲き誇っている桜に集まってくる。 春の桜はにぎやかで 暖かくなる陽気を 楽しむように咲くが 花数が少なく 淡すぎる色の桜は 寒さに向かう切なさを想わせる。 満ち足りた短い時間を 惜しむように働く蜂たちと 斜めに差す冬の陽で 背を暖めながら 短い冬春の空間を共有した。

11月24日()晴れ。<184>
お見舞いに行った帰り 地方都市の県庁所在地を歩いた。 連休中だというのに シャッターを下ろした店が目立つ。 ある商店街は 高齢者にターゲットを絞ったような商品構成。 またある商店街は 若者相手としているが 歩く若者は少ない。 人を引きつける何かが足りない。 マーケティングとニーズが噛み合っていないようだ。 古き伝統と 現代人の求める新しさによって あふれるばかりの盛況を博している店もあった。 歩くこと 見ること 考えること 触れることが大事。

11月23日(金)晴れ
ぽかぽか陽気。 木々の葉が紅葉している。 まわりの景色を見なければ 春と勘違いしそうな 穏やかな秋の一日。 あすも きっと きょう以上に暖かいぞ!

11月22日()晴れ.
ん〜 今日も疲れた。 一日中 歩きっぱなし。 何キロぐらい歩いただろうか。 半年間酷使し続けた右手は 腱鞘炎になりそうだ。 
狂牛病 もう牛肉離れは止まりそうもない。 しかし 何か方法はないものだろうか。 泣くのはやっぱり農家。 感染は肉骨粉だけではなさそう。 では どこから?

11月21日()晴れ。
若いハクビンが捕まった。 これで3匹目。 発信器を付けて 放獣した。 逃げていく後ろ姿を見ていると 尾の先が白い。 捕まえるまでは心待ちにしているが 明日からは厳しい現実が待っている。 毎日 アンテナと受信機を持って 山の中 住宅街 山里を彷徨うように ただひたすらに歩く。 救いは 近隣の住民の人たちの協力。 夜昼となく探し歩き 畑の中 庭先 住宅の裏を遠慮なく立ち入ることができる。 

11月20日(火)晴れ.
明日のために 明日になったらまた明日のためにと 毎日 毎日少しずつ築き積み上げていく作業が今の仕事。 きょうは山逢いの集落の土地利用状況を調査した。 格好良く言うと「 野生動物との生活域同化による人間と社会が受ける影響 」とでも言おうか。 木戸がサッシに変化 古来からの風物である干し物が消滅 畑仕事等の生き甲斐活動の減少 人口の流出 耕作放棄地の増大 畑地への植林 被害防止対策による美的景観の喪失 定住化阻害・・・不活性化要因が今後さらに増幅され 集落機能を失い 行く末を誰もが想い描く最悪の事態になると・・・。
ブルーベリーの葉が落ち始めた。 早生系ほど葉が赤く染まり 落葉が早いように見える。 来年結実するであろう花芽がいっぱいある。 

11月19日(月)晴れ.
環境に支配されている自分が情けない。 見るもの聞くものすべてが情けなく このままでは自分が破壊されそうになる。 顔を見るのも声を聞くのも まして同じ空気を吸うことさえ嫌である。 自分の良さが失われ慈悲のこころもなくなっている。 抑制する力は すでにない。
Rossoを読み終えた。 待ち遠しいBlu。 すべてに Erik Satie をBGMとして 想像力を豊かに そして 安息のときとなるよう心静かに読みふけった。 この時空が ほんのりとした微かな香が満ちたように やわらかな気持ちでいられるように。 

11月18日()晴れ。
手に汗をかきながら 映画を見た。 「冷静と情熱のあいだ」 自分の想いを問いながら 駆け引きではない 一歩引いた愛が描かれていた。 すべてにわたって きれいなタッチで描かれ 醜いこころの部分はなく 生臭い人間臭さを感じないものとなっていた。 しかし 割り切れない 踏ん切りがつかない こころの迷いが誰にでもあるように その想いを引きずり 疲れ果て 仕事に打ち込み 盤石な基盤を見つける作業を続ける・・・。 誰もが経験したであろう 成就しなかった恋物語。 遠い過去に想い巡らせてみた。 そんな思いにさせられた映画だった。 江國ワールドに 見事にはまってしまった。

11月17日()晴れ.
ボジョレーヌーボーが解禁され 飲んでみたいと思ったが 高いかなと思い我慢した。 BBの弟子 定年帰農である家へBB苗が届いたため 確認と管理について話をしに行った。 わりといい6品種の苗が届いた。 その苗が1品種をのぞくと800円/本。 いい苗が安く買えた。 確認後 上がり込んでコーヒーを飲んで なんとワインが出てきた。 ボジョレーではなかったが 最高の一本であった。

11月16日(金)晴れ.
一日バスに揺られたため ちょっと調子が悪い。 もともと乗り物には弱いたち。 山間の集落へ行くのに 曲がりくねった山道を往復 まいった。 目的は 猿害防止対策の視察。 事例は 集落全体を囲った電気ネットだった。 対策自体は何ら変哲もないものだかったが 自家用野菜程度の生産のために対策を講じていること。 地域対策といったところだった。

11月15日(木)晴れ. バケツの中に氷が張る
頭部は白色 体は金色 足は黒色 冬毛のテンの装い。 ハクビシンの2匹目「なな」の発信器が脱落して以来 ずっと次のハクビシンをねらっている。 捕獲檻を設置して約2ヶ月の間 どんな動物かわからないが2回檻から逃げられている。 今度捕まったのは 先ほどのテン。 おそらく体重は1kgもないだろう。 写真を撮って逃がしたが 逃げ足はとっても早かった。 しっかりと生きていけよと こころに思った。

11月14日(水)晴れ..
早朝 アナグマのビデオ撮影でお世話になっている家の玄関を入った瞬間 香のいい香りがした。 香で迎えを受けたのは 生まれて初めての経験。 その家の品位を感じるとともに 暖かさと安らぎで包み込まれるような そんな雰囲気であった。
今日は徹夜のテレメ。 澄みきった夜空に 所々に雲があるが 星がとてもきれいだ。 早々に流れ星が尾を引いて落ちていくのが見えた。 

11月13日(火)晴れ.
ちょっと 不安な一日を過ごした。 なにか目に見えない力が働いているよう。 明日には 吹っ切れることを祈るばかり。
直径が2cmもある 大きな 大きな いも虫が100匹。 明日の体験学習の準備をした。 カブトムシの飼育をしてもらうため 袋に腐葉土と いも虫2匹を入れたものを 50袋作った。 いも虫を火であぶったものは すごいごちそうなんだろうなと 以前見たテレビを思い出した。

11月12日()晴れ..
夜空が澄んでいるのだろう 星たちがものすごくきれいに見えた。 木々の葉が落ち 枯れ葉が積もっている。 これから寒くなる一方だ。 ちょっと寂しい季節。 山にはいると 人恋しさが一段と・・・。 毎日 早朝に山を歩く。 こんな寂しいところに 野生の動物たちは 暗闇の中を彷徨っている。 以前の自分は まるで野生動物だったが 今は違う。 灯台の一筋の光が導くように 吸い寄せられる 確かなものがある。

11月11日()晴れ。
ここ数日 とっても充実した楽しい時を過ごした。 朝晩通うその家との親交がますます深く 長くなりそう。 ブルーベリーが取り持ち 野生動物に波及し その輪がだんだん大きくなっていく。 明日からもずっと朝晩通いが続くことになるだろう。 しかし 心配もある。 BB栽培における技術的な責任。 趣味程度なら責任は発生しないが 営利栽培となると話は別。 その経営者に ある程度の知識と技術力 ビジョンがないと 頓挫する恐れがある。 常に 思考する人であってほしい。

11月10日()雨.
でか〜い! まるでトドを短く小さくした感じの 冬ごもりまえの超肥満体のアナグマ。 20kgはありそうだ。 ビデオを仕掛けて 40分後の23:10に姿を見せ およそ17分間にわたって 犬の餌を一粒ずつカリカリと大きな音を立てて食べ続けた。 バナナはくわえて縁の下へ。 また 一回り小さいアナグマも写っていたので つがいのようだ。

11月9日()曇り雨.
フリースのリバーシブルジャケットを 一升の酒とともにいただいた。 縁の下に何か住んでいるという。 その何かをビデオに収めるため 22:30にビデオをセットしてきた。 帰ろうとして車に乗り込んだら何か積んである。 袋の中を見たらジャケットが・・・。 なんでもおそろいで買ってきたらしい。 その気持ちがなんともうれしい。 ブルーベリーもすごく意欲的な家で 地域でも草分け的な存在。 この家族に どっぷりと浸かりそう。 もう 浸かってるか。

11月8日()晴れ。
九龍城 5万人が住んだ闇の世界 超過密集合住宅に潜入した。 世界が一変したように薄暗い路地。 あちこちに ネズミが駆け回る・・・。 あっという間に5時間が過ぎ 名残惜しかったが何とか脱出できた。 当時の住人は 麻薬 賭博 売春・・・に溺れていたという。 渦巻く欲望と権力。 時は変われど その欲望は 脈々と受け継がれている。

11月7日(水)晴れ..
すでに1ヶ月以上 金太の寝屋が見つからない。 そこで 今までに踏み込んだことのない山々を切り開きながら 捜索した。 稜線をいくつも越えた。 沢には いろんな動物の足跡がいっぱい。 改めて野生の生命力の強さを感じた。 

11月6日(火)晴れ.
冷たい小雨が降る午前3時20分 金太を偶然にも目撃した。 街灯の光が 雨に濡れた路面を映し出している。 その光に映し出された尻尾が長く黒く見える動物が ゆっくりと道路を横切った。 アンテナを向けると 金太の声がする。 この4ヶ月間 声だけは聞いていたが 姿は見かけなかった。 懐かしさとともに 元気でよかったと 恋しい愛する人との再会のような 熱い気持ちが湧きあがった。
電話を待ちわびて 鳴った瞬間って にやけた顔なんだろうなと 自分でも思う。 夢うつつに脳裏の底で聞いた呼び出し音。 寝顔でもニヤッと・・・。 そして現実の世界で鳴る電話。 いつの時も ハクション大魔王のように 呼ばれて飛び出て ジャジャジャジャ〜ン。

11月5日(月)曇り 夜雨.
13日ぶりに 金太の声を聞いた。 元気そうで何よりだ。 また活動範囲を広げたようで あるホテルの近くにいた。 季節とともに 餌とともに また 繁殖の時期が近づいているのだろうか。 このまま追い続け 金太の愛する相手に逢ってみたい。
普段の疲れか 声に元気がない。 ちょっと遊び疲れたのだろうか。 かける言葉が見つからない。 

11月4日()晴れ。
さっぱりした〜。 3か月ぶりに髪の毛を切った。 ガラス張りで 中が丸見えの とってもおしゃれで今風の店。 きっと 次回もこの店になるだろう。 
この2日間 普段 一生懸命に仕事をしているご褒美のような 楽しい日々を過ごした。 自分の時間を切り崩すように 朝も 昼も 夜も区別なく 歩みを止めることなく 歩き続けている。 

11月3日()曇りのち雨。 <文化の日>
文化の香りが ただよう一日を過ごした。 まずは芸術の文化。 ベルナール ビュッフェと棟方志功の版画及び絵画鑑賞。 ビュッフェの絵は 線が強調され力強さが なぜかこころを引かれる。 次に食文化。 お好み焼きを食べながら 子供の頃を振り返る。 昔は”やきてん”といった。 ”たらしやき”とも。 その名残は ミックス天 たこ天と現在に引き継がれている。 ”天”とは 天ぷらのかすだという人がいるが 正解だと思う。 そして珈琲文化。 香りを楽しみ 苦みと酸味を楽しむ。 あの独特の風味は家では楽しめない。 茶店の自由帳に足跡を残す。
人間だけが持つ文化。 それは 楽しむこと。 ほんとに今日一日楽しかった。 こんな日が毎日続くと 麻痺してしまうかもしれないが 限りない欲望が 止めどもなくふつふつと湧いてくる。 価値も創造も その人の文化。 欲がなければ 老い先短いと 悟るしかない。 明日も 楽しい日々が 薔薇色の時間を過ごすぞ。

11月2日(金)晴れ.
午前中 視察の案内。 楽しい人たちと 楽しいひとときを過ごした。 目的が 同じ方向を向いているだけで 気持ちが通じ合うようで ほっとすると同時に安らぎの空間となった。 それぞれ 無事帰宅しただろうか。 また いつの日か再会したい。 
午後 いつものとおり 悪夢が始まった。 部下のことを考えるなんて ひとかけらもない。 常にバック しかも アクセル前回。 呆れて 口も聞かなかった。 明るい未来を 展望したい・・・。

11月1日(木)晴れ..
想像以上に楽しめた。 青森から鹿児島までの人たちが集まり 野生動物についての情報交換。 講師といっても名ばかりで ただ普段やっていることを発表しただけ。 参加者に受けたのは やはり映像があったからだと思う。 視覚に訴えることは 相乗効果が働き 内容以上のものになるようだ。
ひぇ〜 大きな大きな失敗をしてしまった。 大きな不安を与えてしまった。 心を落ち着かせて考えてみたが やはり悪いのは自分。 非は明らか。 両手をついて 額を床に押しつけて ごめんなさい。 以後 最大注意を払い 気配りをしていきます。 反省! これからも・・・。