礼拝勧話 イロハシリーズ33 聖書と科学のイロハ 悳 昭彦   2007年 5月20日

目次

テキスト  

はじめに

 テーマ「聖書と科学」について

信仰と科学の調和

聖書の年代と生物進化論や宇宙科学の年代の違い

年代に違いが出るのは創造を認めるか認めないかの立場の違いによる

生物進化論や宇宙科学の年代が大昔に遡るわけ

信仰と科学を両立させる考え方

  創造の教理の重要性 

 

創造の教理

問1 創造の教理にはどのようなものがありますか?

 バイブル・バプテスト信仰箇条  六 創造について

 ウェストミンスター信仰告白  第四章 創造について

 

聖書講解と教理

創世記1:1

問2 創世記1:1は、何を述べていますか。

創造の定義

問3 創造を内容によって分けるとどうなりますか。

問4 創世記1:2は、何を述べていますか。

 創造の歴史に関係した諸問題

創世記1:2に伴う重要な諸問題

問5 創世記1:2に伴う重要な諸問題は何ですか。

第一

第二

第二節の問題

第三

再建説

創造科学

歴史の装いを凝らした創造

第四

創造の6日間

第五

有神論的進化論

六日間の日の長さ

問6 創世記1章の創造記事で、六日間の日の長さは、聖書の釈義として、一日は二十四時間と解釈すべきでしょうか、または、別の解釈の可能性もありますか?

創世記1:3ー5

問7 創世記1:3ー5は何を述べていますか。

(創造について記されている聖書のほかの部分)

問8 聖書は創造について、創世記1章と2章のほかにも記されていますか。

創造の六日間

問9 創世記1章の創造の記事で、第1日目に関する聖句とその内容は何ですか?

問10 創世記1章の創造の記事で、第2日目に関する聖句とその内容は何ですか?

問11 創世記1章の創造の記事で、第3日目に関する聖句とその内容は何ですか?

問12 創世記1章の創造の記事で、第4日目に関する聖句とその内容は何ですか?

創造の順番の意味

問13 聖書に、神は第1日目に光を創造され、第4日目に太陽やほかの天体を造られたと記されていますが、この創造の順番は不自然に思われますが、この記された順番には何か意味がありまか?

問14 第一日目から第三日目までは地球に関することが記され、第四日目には、太陽、月、星の順に記されています。

この順序にはどのような意味がありますか?

問15 創世記1章の創造の記事で、第5日目に関する聖句とその内容は何ですか?

問16 創世記1章の創造の記事で、第6日目に関する聖句とその内容は何ですか?

 

六日間の創造の順番は、生起順か

問17 六日間の創造の順番は、生起順・年代順(Chronological)と考えるべきでしょうか?

問18 「創造主が全能者なら、なぜ六日もかけて天地を創造する必要があったのか」6)

創造の順序の適切さ

問19 天地創造は一日を約二十四時間とする六日間で行われ、七日目は創造を休まれたと聖書に書かれています。

果たしてその創造の順序は適切でしょうか。6)

科学的に評価される地球や宇宙の年齢

問20 科学的に評価される地球や宇宙の年齢はどのくらいですか?

創世記一章と科学との調和

問21 聖書の記述と科学的知識が矛盾するか、矛盾するようにみえる場合、聖書解釈上の大原則は、科学的知識と聖書の記述が調和するように解釈することでしょうか、あるいは創世記の著者が伝えようとした意味を見いだすことでしょうか?

聖書に基づく創造論と創造を考えない無創造科学の共存は可能か?)

問22 聖書に基づく創造を奉ずるクリスチャンは、地球の起源は46億年前にさかのぼるなどと主張する無創造科学の典型的な科学分野である生物進化論や宇宙科学を奉ずる人たちの立場に寛容であるべきでしょうか?

問23 創造論者は無創造論者を有効に論駁することは、容易でしょうか?

問24 クリスチャンとしては、聖書と科学についてどのような立場を取れば良いのでしょうか?

創世記で確かなこと

問25 創世記で確かなことは何ですか?

創世記1:1ー2:3は時間順に起こった

問26 創世記1:1ー2:3のパターンは、時間順に起こったことと理解すべきでしょうか?

創世記1章の歴史性

問27 創世記1章に記されていることは、実際に起こったこととして解釈すべきでしょうか?

無創造科学の年代と聖書の年代

問28 宇宙科学や進化論が主張する地球や人間の起源に関する年代と聖書を率直に解釈したときの年代はどのように異なるのですか?

主イエスや使徒達の創造に関する聖書解釈

問29 主イエスや使徒達の創造に関する聖書解釈は創造論的ですか?

若い地球を示す科学的証拠

問30 若い地球を示す科学的証拠はありますか?

老いた地球を示す根拠の問題点

問31 老いた地球を示す根拠に問題はありますか?

引用資料

 

本文

テキスト  

創世1:1「 初めに、神が天と地を創造した。

 出20:11「20:11 それは主が六日のうちに、天と地と海、またそれらの中にいるすべてのものを造り、七日目に休まれたからである。それゆえ、主は安息日を祝福し、これを聖なるものと宣言された。

 ヘブ11:3「11:3 信仰によって、私たちは、この世界が神のことばで造られたことを悟り、したがって、見えるものが目に見えるものからできたのではないことを悟るのです。

 ロマ1:20「1:20 神の、目に見えない本性、すなわち神の永遠の力と神性は、世界の創造された時からこのかた、被造物によって知られ、はっきりと認められるのであって、彼らに弁解の余地はないのです。

 創世1:26、27「1:26 そして神は、「われわれに似るように、われわれのかたちに、人を造ろう。そして彼らに、海の魚、空の鳥、家畜、地のすべてのもの、地をはうすべてのものを支配させよう。」と仰せられた。

 1:27 神はこのように、人をご自身のかたちに創造された。神のかたちに彼を創造し、男と女とに彼らを創造された。

 創世1:11、24「1:11 神が、「地は植物、種を生じる草、種類にしたがって、その中に種のある実を結ぶ果樹を地の上に芽生えさせよ。」と仰せられると、そのようになった。

1:24 ついで神は、「地は、その種類にしたがって、生き物、家畜や、はうもの、その種類にしたがって野の獣を生ぜよ。」と仰せられた。するとそのようになった。

 

はじめに

 テーマ「聖書と科学」について

表題のテーマ「聖書と科学」は「聖書と科学は両立するか」とか「信仰と科学」とか「聖書と無神論科学」とか「創造論と無創造論科学」などと言い換えても差し支えないかと思います。本勧話はそう言う内容です。

 昨年1月22日、関連したテーマ、礼拝勧話 イロハシリーズ32「創造のイロハ」を話しました。

信仰と科学の調和

 今朝は前回と重複するところもありますが、今回は、聖書と対立すると考えられている科学分野、主に、生物進化論や宇宙科学などの成果と創造を明記している聖書に対する信仰とをどのように調和させればよいかと言うこについて考えたいと思います。

聖書の年代と生物進化論や宇宙科学の年代の違い

 生物進化論は、後で詳しく述べるように、生物や人間の起源の時期を大昔に遡ります。

宇宙科学も宇宙や地球の起源を億年単位の大昔に遡ります。これは、後で詳しく説明しますが、聖書を率直に解釈した場合の地球や生物、人間の創造の時は、高々BC1万8千年から10万年未満です。10)

 年代の違いも問題ですが、創造があったかどうかと言うことは、もっと重要ですが、とりあえず、今回、この違いは”信仰の問題である。”ということで、片づけておきたいと思います。クリスチャンなら、当然同意されるでしょう。

年代に違いが出るのは創造を認めるか認めないかの立場の違いによる)

 実は年代の違いは、創造があったかどうかと言う問題と密接な関係があります。

生物進化論や宇宙科学は、神による創造が無かったと言う立場で理論を構築するため、現在見るような高等生物や秩序立った宇宙の起源を自然発生あるいは偶然性に求めることになります。

生物進化論や宇宙科学の年代が大昔に遡るわけ

偶然に生物の芽になる物や宇宙の芽になる物が発生する確率は甚だ小さいので、これらの起源となる芽が実現するためには甚だ長い時間を必要とするという事情によって、億万年単位の古い年代が出てくると言う事情があります(たとえば、15)ポール・デイヴィス著 神と新しい物理学 戸田盛和 訳 岩波書店発行(1994)参照)。勿論甚だ長い時間を働かせれば何でも起こりうるという考え方には問題があります。折角誕生した新しい芽が自然消滅しないで生き残った上、更に高度な形態に進む確率は、甚だ小さいのではないかという心配もありますが、一応、大きく譲ってそう言う心配は無く、進化は起こるとしておきましょう。

ここでは、年代の違いに着目しているわけですから。

信仰と科学を両立させる考え方

 結論を先に言えば、”クリスチャンは聖書の創造に関する記述をそのまま信じて受け入れるべし、生物進化論や宇宙科学の成果も受け入れるべし”、但し、起源については、”創造は無かったという立場で説明すればそうなる。”ということです。 ”無創造論者は間違っている。”と言ってはいけない。 ”通常の科学では、当然そうなる。”と言うべきでしょう。 勿論、自然法則については、創造論者も正しいと認めています。通常、実験したり、観測したりする時間のスケールは、数学的にはマイナス、あるいはプラス無限大であっても、実際には、秒単位であったりします。年単位というのは、気象学ぐらいでしょうか。 

 

  創造の教理の重要性 

 創造の教理は、全聖書の基礎である。人間の起源・生きる目的・死後の行き先に関係する6)

  人間の起源  

   進化論 人は下等な生物から進化した。

   創造論 人は神によって創造された。

  生きる目的 

   進化論 人は、偶然の結果存在する。 人の存在の目的は動物と同じで遺伝子を次世代に伝えることである。

   創造論 どの人にも神の愛がそそがれ、神のご計画がある。人は神と共に生きてこそ幸せ。

  死後の行き先 

   進化論 死ねば人は無に帰する。

   創造論 信者は死後天国に行く。

 

創造の教理

問1 創造の教理にはどのようなものがありますか?

答  創造の教理は、たとえば、以下の教理問答、信仰箇条、信仰告白に色々述べられています。

バプテスト教理問答、ウェストミンスター大教理問答、バイブル・バプテスト信仰箇条。その中から、二つを紹介します。

 

バイブル・バプテスト信仰箇条 六 創造について4)

 「わたしたちはこう信じる。はじめに神は天と地とそれに満ちるものを直接に創造され、御自身のかたちにしたがい神に似た者として人を創造された。創世記にある創造の記事は寓意的あるいは比喩的にではなく、字義的に受けとるべきものであり、生物進化論を拒否する。

   創世1:1 出20:11 使徒4:24 コロ1:16、17

   ヘブ11:3 ヨハ1:3 黙示10:6 ロマ1:20 使徒17:23ー26

   エレ10:12 ネヘ9:6 創世1:26、27 創世2:21ー23 

   創世1:11、24

聖句

 創世1:1「 初めに、神が天と地を創造した。

 出20:11「20:11 それは主が六日のうちに、天と地と海、またそれらの中にいるすべてのものを造り、七日目に休まれたからである。それゆえ、主は安息日を祝福し、これを聖なるものと宣言された。

 ヘブ11:3「11:3 信仰によって、私たちは、この世界が神のことばで造られたことを悟り、したがって、見えるものが目に見えるものからできたのではないことを悟るのです。

 ロマ1:20「1:20 神の、目に見えない本性、すなわち神の永遠の力と神性は、世界の創造された時からこのかた、被造物によって知られ、はっきりと認められるのであって、彼らに弁解の余地はないのです。

 創世1:26、27「1:26 そして神は、「われわれに似るように、われわれのかたちに、人を造ろう。そして彼らに、海の魚、空の鳥、家畜、地のすべてのもの、地をはうすべてのものを支配させよう。」と仰せられた。

 1:27 神はこのように、人をご自身のかたちに創造された。神のかたちに彼を創造し、男と女とに彼らを創造された。

 創世1:11、24「1:11 神が、「地は植物、種を生じる草、種類にしたがって、その中に種のある実を結ぶ果樹を地の上に芽生えさせよ。」と仰せられると、そのようになった。

1:24 ついで神は、「地は、その種類にしたがって、生き物、家畜や、はうもの、その種類にしたがって野の獣を生ぜよ。」と仰せられた。するとそのようになった。

 

ウェストミンスター信仰告白 第四章 創造について5)

「一 父・子・聖霊なる神は1、ご自身の永遠のみ力、知恵、および善の栄光の現れるために2、初めに、世界とその中にあるすべてのものを、見えるものであれみえないものであれ、六日の間に、すべてはなはだ良く創造すること、すなわち無から作ることをよしとされた3。

  1 へブル1:2、ヨハネ1:2、3、創世1:2、ヨブ26:13、33:4。

  2 ロマ1:20、エレミヤ10:12、詩104:24、33:5、6。

  3 創世一章、へブル11:3、コロサイ1:16。」

 

聖書講解と教理

創世記1:1

問2 創世記1:1は、何を述べていますか。

答  創世記1:1の内容は、以下の通りです。

創世記1:1 1:1 初めに、神が天と地を創造した。」

 初めに : 人間の時間の初め

 天と地 : 諸天と地球

 「創造した: 無からの創造 以前にはなかったものを産み出す意」(カイルとデリッチの注解による)1)p269

「創世記1:1は、絶対的創造の単純な宣言である。わたしたちが宇宙を思うと、これらのものを誰が造ったのか心に問が起こる。これら宇宙の起源は何か。創世記1:1が答えを与える。その答えとは神が天と地を創造したという単純な宣言である。

創世記1:1は文法的には独立節である。

創世記1:1創造の事実に関する広い、すべてを包含する声明である。」1)

9)pp1ー14

創造の定義

創造の定義1)pp266ー267

問3 創造を内容によって分けるとどうなりますか。

答  創造を内容によって分けると以下に述べる直接的創造と間接的創造に分けることができます。

 「直接的創造

  直接的創造は、無からの創造であって、すでに存在している物質または二次的原因を用いるこkとなく、見えるものも見えないものもみな含めた全宇宙を、直接的、即時的に産み出した三位一体の神の自由な行為を意味する。

 例 創世1:1

 間接的創造

  間接的創造は、やはり「創造」と呼ばれてはいるが、無から造り出すみ業ではなく、すでに存在している材料を神が自ら直接に形づくり、作りかえ、組み合わせ、変化させる神の行為を意味する。

 例 創世2:22

創世記1:2」

問4 創世記1:2は、何を述べていますか。

答  創世記1:2の内容は、以下の通りです。

創世記1:2 「地は形がなく、何もなかった。やみが大いなる水の上にあり、神の霊は水の上を動いていた。」

(参考 2ペテロ3:8)

「 創造の歴史に関係した諸問題

創世記1:2に伴う重要な諸問題

問5 創世記1:2に伴う重要な諸問題は何ですか。

答  創世記1:2に伴う重要な諸問題は以下に述べる創造の歴史に関係した諸問題です。

創造の歴史に関係した諸問題1)pp270ー274

 第一に、

神の直接的創造にはどういうものが含まれるのであろうか。

 天はもちろんのこと天に住む天使たちも含まれ(ヨブ38:7)、地はいうまでもなく地にある水やガスがみな含まれる。

 第二に、

第二節の問題

第二節は地の本来の状態を表すものであろうか。それとも、ある非常な変動によって起こされた状態を描いているのであろうか。

これに関して、二つの立場がある

 本来の状態ととる立場

  昔の学者たちの大部分は、これを本来の状態ととった。なぜなら、その反対であることを示す明確な陳述がないから  

  である。

 ある非常な変動によって起こされた状態ととる立場(再建説)

  しかし、第二節にある状態は、明らかに不完全な状態である。一体、神は不完全なわざをなされるであろうか。

  創世記一生には、神がその創造されたものを「良し」とされた、と七回も出てくる。スコフィールド11)p3

   は次のように述べている。

    エレミヤ4:23ー26、イザヤ24:1、45:18は神のさばきの結果として、地が大変動を経たことをはっきりと示している。地の表面には至るところにそのような変動のあとが見られる。天使たちの試みと堕落がそれ以前にあったことと、この変動との関連を暗示している箇所が全くないというわけでもない。たとえば、エゼ28:12ー15、イザヤ14:9ー14を見れば、これらはたしかにツロ バビロンの王たちのことだけを語っているのではない。

第三に、

第一節にある最初の創造と、一章の残りの部分に出てくる六日間の創造との間にあった期間は、長いものであっったのかそれとも短いものであったのか。

再建説

 われわれ(シーセンら)は、たぶん長い間隔があったと信じる。シェッドは「六日間の創造の日に先立って、非常に長い期間があったという教えは、、教父やスコラ神学者たちの間では一般的な見解であった」と言っている。最初の創造の御業は、年代のわからないほどの大昔に起こったのであるが、それと六日間の活動との間には、すべての地質時代を入れるに十分な期間があったわけである。(再建説)

 しかし、最初の創造の活動は、一章の残りの部分に描かれているいろいろなものの創造の、直前にあったのだと考える人々もいる。

創造科学

宇宙・地球・地質年代の古さを説明するための、再建説に替わる「創造科学」の説明

7)第2章 洪水地質学の立場をとる「創造科学」が主張する地球の年齢(若地球説)

二 一日二十四時間説―六日間創造説(三つの立場) (3)洪水地質学をとる「創造科学」pp51ー54

本章で紹介するのは、おもにこのグループの人たちの主張である。

歴史の装いを凝らした創造

この説を主張する学者たちは、神の創造は「成人創造」または「歴史の装いを凝らした創造」であると主張する。そしてその理由を二つあげる。

 1 もしそうでなかったら、神による最初の創造はありえなかった。たとえば、神が木なり動物なりを創造された場合、神はその木や動物を、すでに何年何十年も経過したものの姿で創造されたはずである。ヘンリー・M・モリスはこの点について次のように述べている。「最も簡単な原子か何かを神がお造りになる場合、そうした原子や他の被造物は、必ず何かの時間的経過を示すような外見を装っている。そのものに固有の時間的経過の装いをもたないような真の創造といったものはありえない。それでも、新たに創造されたものを、ある種の進化の歴史から解釈することは可能であろう。そして、神が時間的経過を装わせて原子物質を創造できるなら、換言すれば神が存在するなら、ご自分の真実の特質に従って、神が十分に成長した姿の全宇宙を創造できない理由があろうか」。

 2 (省略)

第四に、

創造の6日間

 六日というのは長い期間ととるべきか、それとも文字どおりの六日間と考えるべきか。

シェッドは、一般的に言って「教父および中世の釈義では、これを二十四時間の日ではなく、長期間としている。二十四時間という解釈は、近代の教会において広まったものであるにすぎない」と述べている。この「日」という言葉は、聖書ではいろいろに使われているので、この言葉自体からは解釈の助けをうることはできない。

 

 しかし、この六日というのは文字通りの、二四時間の日であると考えている人々も多くいる。キリスト者ではなくユダヤ教徒であったヨセフスは、キリストガ死なれたころに生まれたが、かれはモーセが「世界とその中にあるすべてのものは、ちょうど六日間で造られた」と述べたように解釈している。

カイルとデリッチは次のように述べている。「もし創造の日は、光とやみとがくり返し交替することによってきめられていたのなら、この日というのは測り知れない長さをもった期間であるとか、数年あるいは数千年とみなされるべきではなく、単純にこの地上の一日ととらなければならない

創造の期間を六日間(出20:11、31:17)であるとしている聖句から考えると、これは自然な解釈のようである。

聖句(出20:11、31:17)

  「20:11 それは主が六日のうちに、天と地と海、またそれらの中にいるすべてのものを造り、七日目に休まれたからである。それゆえ、主は安息日を祝福し、これを聖なるものと宣言された。

31:17 これは、永遠に、わたしとイスラエル人との間のしるしである。それは主が六日間に天と地とを造り、七日目に休み、いこわれたからである。」」

第五に、

有神論的進化論

媒介をとおして創造される際に、神が用いられた方法はどんなものであったか。

 聖書は、神の霊がこんとんとした地の上をおおい、また、神が語りかけたと表現している。

一方、有神論的進化論の立場をとるものは、神が創造の方法として進化論を用いられたと主張する。

この説は機械論論的な世界観の土台に立っている。」1)

六日間の日の長さ

問6 創世記1章の創造記事で、六日間の日の長さは、聖書の釈義として、一日は二十四時間と解釈すべきでしょうか、または、別の解釈の可能性もありますか?

答 聖書釈義については、聖書が記されているヘブル語文法や聖書解釈の伝統的見解にウェイトをおいて決定すべきもので、科学的研究が示す地球や宇宙の年齢と調和するように決定すべきものではありません。

 聖書釈義の結果が複数ある場合、どれを選択したら良いか、その選択の基準は、聖書解釈をする人が最も適切な人であるということでしょう。この観点から、以下、いくつかの創世記一章の日についての見解を引用してみます。(上述の第二ー第五参照)

 

創世記1:3ー5

問7 創世記1:3ー5は何を述べていますか。

答  創世記1:3ー5の聖句は以下の通りです。

創世記1:3 「そのとき、神が「光よ。あれ。」と仰せられた。すると光ができた。」

創世記1:4 「神はその光をよしと見られた。そして神はこの光とやみとを区別された。」

創世記1:5 「神は、この光を昼と名づけ、このやみを夜と名づけられた。こうして夕があり、朝があった。第一日。」

これらは、第一日目に光、昼と夜が神のみ言葉によって創造されたことを述べています。日は一日24時間の文字通りの日であると考えるのが自然です。

創造について記されている聖書のほかの部分

問8 聖書は創造について、創世記1章と2章のほかにも記されていますか。

答  聖書は創造について、創世記1章と2章のほかにも記されています。記されている箇所は、以下の通りです。

 創造について記されている聖書のほかの部分1)p275

 天と地の最初の創造について語っている(イザヤ40:26、45:18)。

創造の六日間

問9 創世記1章の創造の記事で、第1日目に関する聖句とその内容は何ですか?

答  第1日目に関する聖句は、1ー5節です。

(聖句)

創世記 1:1 初めに、神が天と地を創造した。

 1:2 地は形がなく、何もなかった。やみが大いなる水の上にあり、神の霊は水の上を動いていた。

 1:3 そのとき、神が「光よ。あれ。」と仰せられた。すると光ができた。

 1:4 神はその光をよしと見られた。そして神はこの光とやみとを区別された。

 1:5 神は、この光を昼と名づけ、このやみを夜と名づけられた。こうして夕があり、朝があった。第一日。

聖句の内容は次の通りです。

  世界の初め、天と地の創造(1節)

  地の状態、かたちがない、やみ、神の霊(2節)

  光の創造、命令と結果(3節)

  神の評価と区別、よし、光とやみ(4節)

  神による命名、光を昼、やみを夜、夕と朝、第1日(5節)

  

問10 創世記1章の創造の記事で、第2日目に関する聖句とその内容は何ですか?

答  第2日目に関する聖句は、6ー8節です。

(聖句)

創世記 1:6 ついで神は「大空よ。水の間にあれ。水と水との間に区別があるように。」と仰せられた。

 1:7 こうして神は、大空を造り、大空の下にある水と、大空の上にある水とを区別された。するとそのようになった。

 1:8 神は、その大空を天と名づけられた。こうして夕があり、朝があった。第二日。

 

聖句の内容は次の通りです。

  神の命令(6節)

  大空の創造、区別、大空の下にある水と大空の上にある水(7節)

  神による命名、大空を天、夕と朝、第2日(8節)

1:6 ついで神は「大空よ。水の間にあれ。水と水との間に区別があるように。」と仰せられた。

 1:7 こうして神は、大空を造り、大空の下にある水と、大空の上にある水とを区別された。するとそのようになった。

 1:8 神は、その大空を天と名づけられた。こうして夕があり、朝があった。第二日。

問11 創世記1章の創造の記事で、第3日目に関する聖句とその内容は何ですか?

答  第3日目に関する聖句は、9ー13節です。

(聖句)

創世記 1:9 神は「天の下の水は一所に集まれ。かわいた所が現われよ。」と仰せられた。するとそのようになった。

 1:10 神は、かわいた所を地と名づけ、水の集まった所を海と名づけられた。神は見て、それをよしとされた。

 1:11 神が、「地は植物、種を生じる草、種類にしたがって、その中に種のある実を結ぶ果樹を地の上に芽生えさせよ。」と仰せられると、そのようになった。

 1:12 それで、地は植物、おのおのその種類にしたがって種を生じる草、おのおのその種類にしたがって、その中に種のある実を結ぶ木を生じた。神は見て、それをよしとされた。

 1:13 こうして夕があり、朝があった。第三日。

 

聖句の内容は次の通りです。

  神の命令と結果、天の下に対する命令(9節)

  神による命名と評価、地と海、よし(10節)

  命令と結果、地に対する命令(11節)

  植物の創造と評価、種類に従って、種を生じる草、種のある実を結ぶ木、よし(12節)

  夕と朝、第3日(13節)

問12 創世記1章の創造の記事で、第4日目に関する聖句とその内容は何ですか?

答  第4日目に関する聖句は、14ー19節です。

(聖句)

創世記 1:14 ついで神は、「光る物は天の大空にあって、昼と夜とを区別せよ。しるしのため、季節のため、日のため、年のために、役立て。

 1:15 天の大空で光る物となり、地上を照らせ。」と仰せられた。するとそのようになった。

 1:16 それで神は二つの大きな光る物を造られた。大きいほうの光る物には昼をつかさどらせ、小さいほうの光る物には夜をつかさどらせた。また星を造られた。

 1:17 神はそれらを天の大空に置き、地上を照らさせ、

 1:18 また昼と夜とをつかさどり、光とやみとを区別するようにされた。神は見て、それをよしとされた。

 1:19 こうして夕があり、朝があった。第四日。

 

聖句の内容は次の通りです。

  神の命令と結果、光る物に対する命令とそれらの役目(14、15節)

  二つの大きな光る物と星の創造、それらの役割分担(16節)

  光る物の配置と役割、天体による光とやみの区別、よしとの評価(17、18節)

  夕と朝、第4日(19節)

コメント

16節の創造は、無からの創造ではなく、第一日目に創造された物を、現在見られるような宇宙の配置、構成の形成、調整の仕事であります。

創造の順番の意味

問13 聖書に、神は第1日目に光を創造され、第4日目に太陽やほかの天体を造られたと記されていますが、この創造の順番は不自然に思われますが、この記された順番には何か意味がありまか?

答 光が太陽等の前に創造さたと記されているのは、偶然ではなく、意図的なものです。創世記の著者モーセは、光が太陽から出ていることは、百も承知のことです。わざわざ光源である太陽に先だって光の創造を記したのには、それなりの訳があったと考えるべきです。その訳とは、以下のようです。9)

 「1 創世記が太陽の前に光について述べている一つの理由は、多分、われわれの心を、光は太陽に依存しているという考えから解放し、創造者であられる神にわれわれの目を向けさせることです。

2 この創造の順序には第二の理由があります。光は、次に来るすべての物に必要であり、モーセはこの光に強調点を置いており、神が是認された特別な対象として言及しています。

3 地球に関するかぎり、次にくるすべての仕事の存在にとって、光は必要な条件です。地上の生命にとっては、光は必要であるから、光の創造が最初に言及されているわけです。」

光が、光源である太陽に依存することなく、単独に存在し得ることは、科学と矛盾するものではありません。

問14 第一日目から第三日目までは地球に関することが記され、第四日目には、太陽、月、星の順に記されています。

この順序にはどのような意味がありますか?

答 「この創世記1章は地球中心(Geocentric)の立場で記されています。但し、地球が物理的に宇宙の中心であると主張しているわけではありません。人間にとっては、地球の次に、太陽、月、星の順に重要であるということです。」9)

問15 創世記1章の創造の記事で、第5日目に関する聖句とその内容は何ですか?

答  第5日目に関する聖句は、20ー23節です。

(聖句)

創世記 1:20 ついで神は、「水は生き物の群れが、群がるようになれ。また鳥は地の上、天の大空を飛べ。」と仰せられた。

 1:21 それで神は、海の巨獣と、その種類にしたがって、水に群がりうごめくすべての生き物と、その種類にしたがって、翼のあるすべての鳥を創造された。神は見て、それをよしとされた。

 1:22 神はまた、それらを祝福して仰せられた。「生めよ。ふえよ。海の水に満ちよ。また鳥は、地にふえよ。」

 1:23 こうして、夕があり、朝があった。第五日。

聖句の内容は次の通りです。

 神の命令、「水は生き物の群れが、群がるようになれ。また鳥は地の上、天の大空を飛べ。」(20節)

 海の巨獣と種類に従って、水に群がりうごめくすべての生き物と、翼のあるすべての鳥の創造とよしとの評価。(21節)

 祝福と命令、「生めよ。ふえよ。海の水に満ちよ。また鳥は、地にふえよ。」(22節)

 夕と朝、第5日(23節)

コメント

21節の創造のヘブル語原語は、バーラー。

問16 創世記1章の創造の記事で、第6日目に関する聖句とその内容は何ですか?

答  第6日目に関する聖句は、24ー31節です。

(聖句)

創世記 1:24 ついで神は、「地は、その種類にしたがって、生き物、家畜や、はうもの、その種類にしたがって野の獣を生ぜよ。」と仰せられた。するとそのようになった。

 1:25 神は、その種類にしたがって野の獣、その種類にしたがって家畜、その種類にしたがって地のすべてのはうものを造られた。神は見て、それをよしとされた。

 1:26 そして神は、「われわれに似るように、われわれのかたちに、人を造ろう。そして彼らに、海の魚、空の鳥、家畜、地のすべてのもの、地をはうすべてのものを支配させよう。」と仰せられた。

 1:27 神はこのように、人をご自身のかたちに創造された。神のかたちに彼を創造し、男と女とに彼らを創造された。

 1:28 神はまた、彼らを祝福し、このように神は彼らに仰せられた。「生めよ。ふえよ。地を満たせ。地を従えよ。海の魚、空の鳥、地をはうすべての生き物を支配せよ。」

 1:29 ついで神は仰せられた。「見よ。わたしは、全地の上にあって、種を持つすべての草と、種を持って実を結ぶすべての木をあなたがたに与えた。それがあなたがたの食物となる。

 1:30 また、地のすべての獣、空のすべての鳥、地をはうすべてのもので、いのちの息のあるもののために、食物として、すべての緑の草を与える。」すると、そのようになった。

 1:31 そのようにして神はお造りになったすべてのものをご覧になった。見よ。それは非常によかった。こうして夕があり、朝があった。第六日。

 

聖句の内容は次の通りです。

 神の命令と結果、「地は、その種類にしたがって、生き物、家畜や、はうもの、・・・・野の獣を生ぜよ。」(24節)

 種類に従って、野の獣、家畜、地のすべてのはうものを造られた。(25節)

 人の創造に先立つ協議(26節)

 人の創造、神のかたちに、男と女とに(27節)

 祝福と命令、「生めよ。ふえよ。地を満たせ。地を従えよ。海の魚、空の鳥、地をはうすべての生き物を支配せよ。」(28節)

 神の言葉とその結果、神は人の食物として、「種を持つすべての草と、種を持って実を結ぶすべての木」を与えられた。 又、 

 地のすべての獣、空のすべての鳥、地をはうすべてのものの食物としてすべての緑の草を与えられた。(29、30節)

 お造りになったすべてのものの評価、「それは非常によかった。」、夕と朝、第六日。(31節)

コメント

25節の「造られた」のへブル語原語は「アーサー」。

24節は「地は・・・生ぜよ」、25節は「造られた」とわざわざ記されているのは、古代神話では、「母なる大地」という概念があるためです。9)

27節の「創造」のへブル語原語は、「バーラー」。

第一日目から五日目までの創造は、第六日目の人の創造のための入念な準備として行われました。

生物の生存領域は、三日目に造られた海と地上であります。

28節の人に対する命令「生めよ。ふえよ。地を満たせ。地を従えよ。海の魚、空の鳥、地をはうすべての生き物を支配せよ。」との命令は、24ー25節の野の獣、家畜、地のすべてのはうもの創造と第五日目の水生動物や鳥類の創造が前提となっています。

六日間の創造の順番は、生起順か

問17 六日間の創造の順番は、生起順・年代順(Chronological)と考えるべきでしょうか?

答   明らかに、生起順・年代順と考えるべきです。その根拠は以下の通りです。9)

「第一日、第二日、・・・、第六日とあり、第六日は定冠詞付です。

 年代順ではないと考えると、以下の不都合が生じます。

(1)創世記は殆ど内容の無いものとなります。

(2)沢山の矛盾が生じます。

(3)第二節の未形成の宇宙と31節の完成した世界との対照を強調することが出来ません。

(4)モーセが、何か、枠組説(Framework Theory)のようなものを意図していたとすると、何故そのことに関して何も示唆してないのか、理解に苦しむところです。」

問18 「創造主が全能者なら、なぜ六日もかけて天地を創造する必要があったのか」6)

答 「当然一瞬で創造することもできたはずです。その答は聖書の十戒に書かれています。創造主が六日かけて天地を創造し、一日休んだのは、人が六日働いて一日休むという一週間のサイクルで生活するように模範を示したからです。」6)

十戒 出 20:11

20:11 それは主が六日のうちに、天と地と海、またそれらの中にいるすべてのものを造り、七日目に休まれたからである。それゆえ、主は安息日を祝福し、これを聖なるものと宣言された。」

創造の順序の適切さ

問19 天地創造は一日を約二十四時間とする六日間で行われ、七日目は創造を休まれたと聖書に書かれています。

果たしてその創造の順序は適切でしょうか。6)

答 記されているその創造の順は、以下に詳しく示すように、科学的に見ても理にかなっています。6)

「創造の第一日は、「創造主が宇宙と地球を創造した」ことが書かれています。・・・

 第二日には、大気が造られました。これは現在とほぼ同じ酸素と窒素を主成分とした大気だと考えられます。このときはまだ、太陽・月・星などは創られていませんでしたが、これは最初から必要というわけではありません。むしろ太陽・月・星などより先に大気圏が創られ磁場があったことで、太陽や宇宙からの有害な宇宙線(紫外線を含む)を含むバリアが完成しました。・・・

 第三日は、まず陸地がわずかの時間で完成しました。花崗岩に見られるポロニウムハローという球状痕は、進化論で先

カンブリア層とされる地面が短期間で固まったことを示しています。これは聖書の記述を裏付けています。次に陸地の植物が創られます。これも短時間で創造され、すでに果樹が生った状態で創られていたことが聖書に書かれています。こうして食用に適する植物が、数日後に創られる動物や人のためにすでに準備されました。

 第四日は、太陽・月・星が「しるしのため・季節のため・日のため・年のため」と目的をもって創られました。ですから、太陽は地球の地軸の向きに対して適切な場所と距離に置かれ、地球は太陽の周りを公転すようにるされました。ところで、太陽が地球より後に創られるのはおかしくはないでしょうか。たとえば、太陽系の模型を創るとしましょう。先に地球を自転するように創っておいて、それから太陽や惑星を置き、地球を含む全ての惑星が太陽の周りを公転するようにつくることはもちろん可能です。そうすると、地球が先に創られ、後で太陽・惑星・星が創られても創るという視点からみれば問題はないことがわかります。 ところで、太陽と月と地球は驚くような独特の関係にあります。太陽は月の四百倍の大きさがあります。しかも、地球と月の距離の四百倍の位置に太陽があるので、地球から見ると太陽と月が同じ大きさに見えます。さらに、太陽と月の引力で地球では潮の満ち引きが起こります。もし月がもっと地球に近ければ、潮汐力

が強すぎて海岸沿いに生物が住むのは難しくなるでしょう。逆に月がもっと地球から遠ければ、潮汐力が弱くなって海岸沿いの水が淀んで腐ってしまうでしょう。月はまさにちょうどよい位置に置かれています。

 また、月が常に同じ面を地球に向けているのは不思議だと思いませんか。これは、月の自転周期(月が一自転するのに要する時間)と公転周期(月が地球の周りを一巡りするのにかかる時間)が全く同じだからです。これは、何か意味があるでしょうか。隕石が飛んでくると月の裏側にはよく衝突しますが、表側は衝突しません。ですから、月の裏側はクレーターだらけででこぼこですが、表側は凹凸が少なくそのために光の反射率が高いのです。ですから、太陽の光を反射する月の明るさがだんだん暗くなることを避けられるのです。月は夜の光として創られたことが聖書に書かれています。その目的で創造すれば、月の自転周期と公転周期を一致させる必要があります。実際に月はその役割を全うしています。

 人によっては、植物が太陽より先に創られては植物が枯れてしまうのではと心配するでしょう。しかし、植物が呼吸するための酸素は既に第二日目に創られていました。太陽光がなくても一日くらいは植物は枯れません。ですからこれも全く問題がありません。また、太陽光で光合成が始まり、五日目以降に動物が創られても酸素と二酸化炭素の循環の準備はすでに整っていることになります。もし植物が創られてから何年も太陽が創られなければ、それこそ植物は枯れてしまうでしょう。

 第五日は海の生物と鳥類の創造です。すでに、潮汐がありましたから、海洋生物に必要な環境も整っていたでしょう。

 第六日は、まず陸上の動物が創造されました。家畜は最初から家畜として人の役に立つことを意図して創られました。また、大きい動物から小さい動物まで、地をはう動物や虫も創られました。こうして人が住むために必要なすべての環境が整った地球という家が完成しました。

 そしてアダムが創造され、次にイブが創られ、彼らはエデンの園の管理を任されました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 さて、もし、天地創造の順序が違っていたとしたらどうでしょう。たとえば、大気が創られる前に動物がつくられても生きられません。動物が創られた後で植物が創られると食べ物がなく、二酸化炭素が増加して温暖化が進むでしょう。聖書に書いてある天地創造の順序は、決してでたらめではなく、論理的にも科学的にも適切な順序だということがわかりました。」6)

科学的に評価される地球や宇宙の年齢

問20 科学的に評価される地球や宇宙の年齢はどのくらいですか?

答   科学的に評価される地球や宇宙の年齢は40億年から200億年くらいとされています。

もう少し詳しくいうと、次の通りです。7)

 

 7)西 満 著 天地創造の六日間  ― 創世記一章の「日」に関する諸解釈 ―

                      いのちのことば社発売(1995)

「第一章 現代科学からみた地球の年齢(古地球説) (pp17ー44)

     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 二 二十世紀

  (1)放射性元素による測定(絶対年代)

      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「このようなウラニウムと鉛による方法や、もっと新しい放射性元素を使う方法で、数多くの岩石の年齢が計られている。

なかでも最も古い岩石は、南極大陸、南アフリカ、オーストラリア、ロシア、カナダ楯状地で発見された片麻岩状花崗岩で、放射性元素の分析によれば、これら最古の岩石は、三十億年前のものと推定されている。さらに、空から落ちてきた隕石をこの方法で分析すると、だいたい四十六億年前のものであることがわかる。

       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 こうした方法によって計算された地球のいわゆる「絶対年代」を、化石をもとにした相対年代と対応させたのが、今日一般に用いられている地質年代表である(表1)。この表によれば、古生代の始まるカンブリア紀の始まりは六億年前である。これに対してそれ以前の原生代の年数は四十億年という途方もなく長い時代である。」

 三 宇宙物理学による年代測定

さて、以上記したような地球物理学のほかに、宇宙の年齢を知る方法もいくつか考えられている。その代表的なものを三つあげてみよう。

 その第一は宇宙の膨張を測定する方法、第二は銀河系の中にある球状星団の星を観察する方法、第三は放射性原子核を使って宇宙の年齢を測定する方法である。

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 さて、これら三つの年代測定法で決められた宇宙の年代は、一方では大幅な差がありながら、他方では一致している面もある。シュラムはそれを図3のように表している。もし三つの方法全部に共通する年齢をとるならば、宇宙の年齢は、百億年から百五十億年ということになる(9)。

       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 以上、簡単ではあるが、現代の科学、地質学、天文学が考える宇宙および地球の年齢を記してみた。これらの方法をとおして考えさせられるのは、次の点である。

 1 宇宙および地球の年齢を探る方法は、決して確立された学問の方法ではなく、多くの試行錯誤を経ながら、現代科学が到達したいくつかの方法の一つであり、それらは仮説にしかすぎない。これらの説は宇宙が斉一的に膨張、進化してきた(たとえ重力によって膨張の速度が多少鈍化したとしても)という仮定の上に立っている。また、放射性物質の崩壊のプロセスが過去も現在も一定であるという考えを利用した学説なのである。将来、新しい発見がなされた場合、これらの説が書き直されることも十分あり得る。

 2 しかし他方、現在の段階では、いくつかの方法による年代測定が五十億年から二百億年もの大きな数を示していることは聖書を学ぶ者にとって見過ごしにできないことである。」7)

創世記一章と科学との調和

問21 聖書の記述と科学的知識が矛盾するか、矛盾するようにみえる場合、聖書解釈上の大原則は、科学的知識と聖書の記述が調和するように解釈することでしょうか、あるいは創世記の著者が伝えようとした意味を見いだすことでしょうか?

答 創世記一章を科学の教えるところと調和させることが我々の主目的ではなく、創世記の著者が伝えようとした意味を見いだすことです。9)

聖書に基づく創造論と創造を考えない無創造科学の共存は可能か?)

問22 聖書に基づく創造を奉ずるクリスチャンは、地球の起源は46億年前にさかのぼるなどと主張する無創造科学の典型的な科学分野である生物進化論や宇宙科学を奉ずる人たちの立場に寛容であるべきでしょうか?

答 結論を先に述べると、これはあくまでも私見ですが、生物進化論や宇宙科学を奉ずる人たちの立場に寛容であっても一向に差し支えないと考えます。その訳は、こと起源の古さに関しては、創造論と無創造論という立場の違いから、必然的に相反する結果になるわけで、相手が間違っていると言う証拠がお互いに無いためです。自然法則に関しては、万物の創造以後は、現在あるような両者が認める同じ一つの自然法則があるわけです。従って、自然の記述については、何の不都合も無く、両者共通の基盤に立って、科学の発展に寄与出来るからです。

 

問23 創造論者は無創造論者を有効に論駁することは、容易でしょうか?

答 これも私見ですが、創造論者は無創造論者を有効に論駁することは、容易ではないと感じています。

たとえば、創造の根拠として、”人間はとても複雑であるから、こういう物が偶然に出来たとは考えられない。”と言う

議論は必ずしも説得力はありません。どちらかというと複雑さよりはむしろ自然法則の単純さのほうが、創造者の存在をより有効に暗示するようです14)。どのように論駁しようとも、無創造論者はすごく手強いのです。無創造論者の立場に理解と寛容さを示して、論駁することはあきらめて、共存を計るほうが賢明であると考えます。

問24 クリスチャンとしては、聖書と科学についてどのような立場を取れば良いのでしょうか?

答   それは一見単純な立場です。一言で言うと、聖書を文字通り信じる(ヘブル11:3)と共に科学もそれなりに正しいと認める事です。これには説明が必要です。普通科学と呼ばれているものは、創造が無かったことを前提とした無神論科学です。しかし聖書が創造があったと明言している以上、クリスチャンにとっては、万物や人間の起源について言及される場合には、創造があったことを前提とした考え方をせざるを得ません。無神論者にとっては、無神論の立場で科学を構築せざるを得ませんしこれは容認すべきことです。、創造神を信じるクリスチャンは創造論科学の立場で自然を解釈すれば何ら支障はありません。

 クリスチャンは、神は始めに自然界を人間も含めて今私たちが見る姿に創造されたと信じます。私達が見る宇宙はあたかも億年単位の大昔から存在し膨張しているように見えますがこれは現在の観測結果から過去に向かって外挿したもので

自然を若い宇宙が創造されたようには考えない立場の説明方法をとった結果です。従って、無神論宇宙科学については、宇宙は大昔にビッグバンによって自然発生したように見える。と解釈し直すことになり、生物進化論については、高等生物は、大昔に、簡単な蛋白質の形で発生し、進化の過程を経て今の姿になったと説明されている。と考えるわけです。

聖書には科学の全分野や自然法則の詳細まで記述されているわけではありません。聖書にはおのずとその守備範囲があります。しかし一方聖書は自然界は創造主について啓示していると述べています。(ローマ1:19ー20)

14)A.E.マクグラス 著 科学と宗教 稲垣久和・倉沢政則・小林高徳 訳 教文館発行 (2004)には、

「カルヴァン主義の信仰告白である『ベルギー信条』(1961)は、自然は「われわれの目に、最も美しい書物であり、そこには、大小にかかわらず、すべての被造物が文字として、神の、目に見えないものをわれわれに示している」と謳っている。自然科学による、創造の詳細な研究を通して、神を知ることができるとしたのである。」とありますが、神による被造物である自然界は聖書を補完する書物であって、科学者によって解読するように与えられたものであるとも考えることもできます。神は自然法則を定められ、科学者は自然の研究によって、自然法則を発見するわけです、地動説を説明するニュートンの古典力学、アインシュタインの特殊相対性理論、一般相対性理論、マックスウェルの電磁気学、量子力学、等々良く知られた自然法則です。クリスチャンも当然これらの自然法則を正しいものと認めています。

 [この事実からわれわれは、神の栄光を感知するために自然を研究すべきであると結論する。この宇宙は神のみ手のわざであり、神の栄光を現すためにある。それゆえ、神の栄光を拝するために自然を研究するのは、正しいことなのである、そしてまた、神の栄光をいよいよ増し、現すためにわれわれにできるかぎりのことをすべきである。

パウロが勧めているように、「10:31 こういうわけで、あなたがたは、食べるにも、飲むにも、何をするにも、ただ神の栄光を現わすためにしなさい」(1コリント10:31)。」1)

このことから、創造の教理は、人が何を目的として生きるべきかという問題とも深く係わっていることが解ります。

 

創世記で確かなこと

問25 創世記で確かなことは何ですか?

答 「聖書は地球の年齢については述べていないが、世界が神の言葉で創造されたことをはっきりと教えています。9)

詩編33:9,第2ペテロ3:5,ヘブル11:3,出20:11a」

(引用聖句)

詩編33:9 「 まことに、主が仰せられると、そのようになり、主が命じられると、それは堅く立つ。」

第2ペテロ3:5 「こう言い張る彼らは、次のことを見落としています。すなわち、天は古い昔からあり、地は神のことばによって水から出て、水によって成ったのであって、」

ヘブル11:3 「信仰によって、私たちは、この世界が神のことばで造られたことを悟り、したがって、見えるものが目に見えるものからできたのではないことを悟るのです。」

出20:11a 「それは主が六日のうちに、天と地と海、またそれらの中にいるすべてのものを造り、七日目に休まれたからである。それゆえ、主は安息日を祝福し、これを聖なるものと宣言された。」

 

創世記1:1ー2:3は時間順に起こった

問26 創世記1:1ー2:3のパターンは、時間順に起こったことと理解すべきでしょうか?

答 「創世記1:1ー2:3のパターンは、時間順に起こったことと理解すべきでしす。」9)

「1 創世記1:1ー2:3のパターンは、6日の後の7日目です。

2 6日は時間の意味に理解されるべきであり、或る日に続いて次の日がきます。

3 日は1、2、3等のように明示されています。」

 

創世記1章の歴史性

問27 創世記1章に記されていることは、実際に起こったこととして解釈すべきでしょうか?

答 「創世記1章は、詩でも英雄伝でも神話でもなく、直接の信頼に足る歴史であります。それは聖なる啓示でありますが、それが語っている事柄を正確に記録しています。創世記1章が歴史的であることは、次の点を考えれば理解できるでしょう。」9)

「1 それは、この書の残りの部分との密接な関係を支持しています。 この書の残りの部分(即ち同世代の人々)は創造の記述を前提としており、創造の記述はこれに続く事柄に備えたものです。創世記のこの二つに分けたときの各部分は、この書の不可欠な部分であり、お互いに補完しています。

2 創世記1章にはヘブライ詩の特徴はありません。ヘブライ詩には、創造の詩的説明があって、これらは創世記1章とは決定的な対照をなしています。

3 新約聖書は創世記1章に述べられているある出来事について、実際に起こったと見なしています。私たちは新約聖書を、この力強い聖書の最初の章に関する私たちの解釈者であると安心して認めることができます。」9)

無創造科学の年代と聖書の年代

問28 宇宙科学や進化論が主張する地球や人間の起源に関する年代と聖書を率直に解釈したときの年代はどのように異なるのですか?

答 「宇宙科学や進化論が主張する地球や人間の起源に関する年代について言えば、たとえば宇宙の年齢は百億年から百五十億年7)、46億年前に地球誕生、36億年前に生命誕生、3億5千年前蛙、3ー6万年前ネアンデルタール人出現と言っている。

一方、聖書からは、たとえば、アッシャーの聖書年代表ではBC4004年に天地創造となっている。

 もう少し、譲っても、聖書を率直に解釈すれば地球誕生の年はアダム誕生の年と同じであって、BC18000年から十万年未満である。更に的を絞れば、BC4115年から18000年である可能性が高い。10万年に近ければ聖書の系図を無意味にする。この年代の根拠は、創世記の1日は文字通りの1日である事と創世記五章と十一章の系図であり、セツとテラに至る系図に14のギャップがあり得る事、そのギャップは千年で無理がない。そして6850年(出エジプトから現代までの時間の二倍)未満である事から来る。天地創造の時=BC(4115+ギャップの14倍)」10)=BC18115ーBC100015=BC18000ーBC100000年。

(主イエスや使徒達の創造に関する聖書解釈)

問29 主イエスや使徒達の創造に関する聖書解釈は創造論的ですか?

答 主イエスや使徒達の創造に関する聖書解釈は以下の聖句から、創造論的です。

マタイ19:4ー5、ヨハネ1:3、使徒14:14ー15、ローマ1:19ー20。

(聖句)

マタイ19:4ー5、19:4 イエスは答えて言われた。「創造者は、初めから人を男と女に造って、」

ヨハネ1:3、1:3 すべてのものは、この方によって造られた。造られたもので、この方によらずにできたものは一つもない。

使徒14:14ー15、「天と地と海とその中にあるすべてのものをお造りになった生ける神」

ローマ1:19ー20。1:19 「なぜなら、神について知りうることは、彼らに明らかであるからです。それは神が明らかにされたのです。 1:20 神の、目に見えない本性、すなわち神の永遠の力と神性は、世界の創造された時からこのかた、被造物によって知られ、はっきりと認められるのであって、彼らに弁解の余地はないのです。」

若い地球を示す科学的証拠

問30 若い地球を示す科学的証拠はありますか?

答 若い地球を示す科学的証拠は少なくありません。以下にその例を示します。

1 彗星の寿命から1万年以下。2 地球に降り注ぐ宇宙の塵の量から9千年。3 大気中のヘリウムの量から1万1千年。4 その他1万年ー2万年。他。

老いた地球を示す根拠の問題点

問31 老いた地球を示す根拠に問題はありますか?

答   無創造論の年代評価の方法や評価結果に問題があります。

1 放射性元素による年代決定法は、保証の無い3つの仮説に立っています。間違った評価結果の例を挙げると、数百年才の火山岩がU238−Pb206法で1億から105億年と決定された。

2 創造の様な非定常な出来事が無いとすると地球の年齢は長くなり得る。

 

引用資料

   1)ヘンリー・シーセン著 島田 福安 訳 

          組織神学 聖書図書刊行会発行 (1964)

   2)鈴木 昌 訳編 バプテスト教理問答書 聖書図書刊行会発行(1971)

   3)日本基督改革派教会訳 ウェストミンスター大教理日問答 新教出版社発行(1970)

   4)バイブル・バプテスト信仰箇条

   5)日本基督改革派教会信条翻訳委員会訳 ウェストミンスター信仰告白

     新教出版社発行(1964)

   6)宇佐海 正海 著 起源→近代科学と私たち  創造科学研究会発行(2004)

    7)西 満 著 天地創造の六日間 

     ― 創世記一章の「日」に関する諸解釈 ―  いのちのことば社発売(1995)        

      8)D. リンドバーグ/R. L. ナンバーズ編 

      国際基督大学科学史研究センター 渡辺正生雄 監訳 

     神と自然  歴史における科学とキリスト教  みすず書房発行(1994)

   9)Edward J.  Young  "STUDIES  IN  GENESIS  ONE "

          PRESBYTERIAN  AND  REFORMED  PUBLISHING  CO.

          PHILLIPSBURG,  NEW  JERSEY (1964)

   10)A . J . Monty  White  " How  Old  is  the  Earth  ?  "  Evangelical  Press  (1985)

   11)C. I. Scofield, ed. The Scofield Reference Bible NewYork:Oxford University Press, (1917)

   12)新聖書辞典 いのちのことば社発行(1985)

   13)新キリスト教辞典 いのちのことば社発行

   14)A.E.マクグラス 著 科学と宗教 稲垣久和・倉沢政則・小林高徳 訳

      教文館発行 (2004)

   15)ポール・デイヴィス著 神と新しい物理学 戸田盛和 訳 岩波書店発行(1994)

   16)J.チャーファス編/松永俊男・野田晴彦・岸由二共訳 生物の進化 最近の話題

      培風館 (1989)

 

目次
 

テキスト 

はじめに

 (テーマ「聖書と科学」について)

(信仰と科学の調和)

(聖書の年代と生物進化論や宇宙科学の年代の違い)

(年代に違いが出るのは創造を認めるか認めないかの立場の違いによる)

(生物進化論や宇宙科学の年代が大昔に遡るわけ)

(信仰と科学を両立させる考え方)

  創造の教理の重要性 

 

(創造の教理)

問1 創造の教理にはどのようなものがありますか?

 バイブル・バプテスト信仰箇条  六 創造について

 ウェストミンスター信仰告白  第四章 創造について

 

聖書講解と教理

創世記1:1

問2 創世記1:1は、何を述べていますか。

創造の定義

問3 創造を内容によって分けるとどうなりますか。

問4 創世記1:2は、何を述べていますか。

 創造の歴史に関係した諸問題

(創世記1:2に伴う重要な諸問題)

問5 創世記1:2に伴う重要な諸問題は何ですか。

第一

第二

(第二節の問題)

第三

(再建説)

(創造科学)

(歴史の装いを凝らした創造)

第四

(創造の6日間)

第五

(有神論的進化論)

(六日間の日の長さ)

問6 創世記1章の創造記事で、六日間の日の長さは、聖書の釈義として、一日は二十四時間と解釈すべきでしょうか、または、別の解釈の可能性もありますか?

創世記1:3ー5

問7 創世記1:3ー5は何を述べていますか。

(創造について記されている聖書のほかの部分)

問8 聖書は創造について、創世記1章と2章のほかにも記されていますか。

創造の六日間

問9 創世記1章の創造の記事で、第1日目に関する聖句とその内容は何ですか?

問10 創世記1章の創造の記事で、第2日目に関する聖句とその内容は何ですか?

問11 創世記1章の創造の記事で、第3日目に関する聖句とその内容は何ですか?

問12 創世記1章の創造の記事で、第4日目に関する聖句とその内容は何ですか?

(創造の順番の意味)

問13 聖書に、神は第1日目に光を創造され、第4日目に太陽やほかの天体を造られたと記されていますが、この創造の順番は不自然に思われますが、この記された順番には何か意味がありまか?

問14 第一日目から第三日目までは地球に関することが記され、第四日目には、太陽、月、星の順に記されています。

この順序にはどのような意味がありますか?

問15 創世記1章の創造の記事で、第5日目に関する聖句とその内容は何ですか?

問16 創世記1章の創造の記事で、第6日目に関する聖句とその内容は何ですか?

 

六日間の創造の順番は、生起順か)

問17 六日間の創造の順番は、生起順・年代順(Chronological)と考えるべきでしょうか?

問18 「創造主が全能者なら、なぜ六日もかけて天地を創造する必要があったのか」6)

創造の順序の適切さ)

問19 天地創造は一日を約二十四時間とする六日間で行われ、七日目は創造を休まれたと聖書に書かれています。

果たしてその創造の順序は適切でしょうか。6)

(科学的に評価される地球や宇宙の年齢)

問20 科学的に評価される地球や宇宙の年齢はどのくらいですか?

(創世記一章と科学との調和)

問21 聖書の記述と科学的知識が矛盾するか、矛盾するようにみえる場合、聖書解釈上の大原則は、科学的知識と聖書の記述が調和するように解釈することでしょうか、あるいは創世記の著者が伝えようとした意味を見いだすことでしょうか?

(聖書に基づく創造論と創造を考えない無創造科学の共存は可能か?)

問22 聖書に基づく創造を奉ずるクリスチャンは、地球の起源は46億年前にさかのぼるなどと主張する無創造科学の典型的な科学分野である生物進化論や宇宙科学を奉ずる人たちの立場に寛容であるべきでしょうか?

問23 創造論者は無創造論者を有効に論駁することは、容易でしょうか?

問24 クリスチャンとしては、聖書と科学についてどのような立場を取れば良いのでしょうか?

(創世記で確かなこと)

問25 創世記で確かなことは何ですか?

(創世記1:1ー2:3は時間順に起こった)

問26 創世記1:1ー2:3のパターンは、時間順に起こったことと理解すべきでしょうか?

(創世記1章の歴史性)

問27 創世記1章に記されていることは、実際に起こったこととして解釈すべきでしょうか?

(無創造科学の年代と聖書の年代)

問28 宇宙科学や進化論が主張する地球や人間の起源に関する年代と聖書を率直に解釈したときの年代はどのように異なるのですか?

(主イエスや使徒達の創造に関する聖書解釈)

問29 主イエスや使徒達の創造に関する聖書解釈は創造論的ですか?

(若い地球を示す科学的証拠)

問30 若い地球を示す科学的証拠はありますか?

(老いた地球を示す根拠の問題点)

問31 老いた地球を示す根拠に問題はありますか?

引用資料

 

本文

テキスト  

創世1:1「 初めに、神が天と地を創造した。

 出20:11「20:11 それは主が六日のうちに、天と地と海、またそれらの中にいるすべてのものを造り、七日目に休まれたからである。それゆえ、主は安息日を祝福し、これを聖なるものと宣言された。

 ヘブ11:3「11:3 信仰によって、私たちは、この世界が神のことばで造られたことを悟り、したがって、見えるものが目に見えるものからできたのではないことを悟るのです。

 ロマ1:20「1:20 神の、目に見えない本性、すなわち神の永遠の力と神性は、世界の創造された時からこのかた、被造物によって知られ、はっきりと認められるのであって、彼らに弁解の余地はないのです。

 創世1:26、27「1:26 そして神は、「われわれに似るように、われわれのかたちに、人を造ろう。そして彼らに、海の魚、空の鳥、家畜、地のすべてのもの、地をはうすべてのものを支配させよう。」と仰せられた。

 1:27 神はこのように、人をご自身のかたちに創造された。神のかたちに彼を創造し、男と女とに彼らを創造された。

 創世1:11、24「1:11 神が、「地は植物、種を生じる草、種類にしたがって、その中に種のある実を結ぶ果樹を地の上に芽生えさせよ。」と仰せられると、そのようになった。

1:24 ついで神は、「地は、その種類にしたがって、生き物、家畜や、はうもの、その種類にしたがって野の獣を生ぜよ。」と仰せられた。するとそのようになった。

 

はじめに

 (テーマ「聖書と科学」について)

表題のテーマ「聖書と科学」は「聖書と科学は両立するか」とか「信仰と科学」とか「聖書と無神論科学」とか「創造論と無創造論科学」などと言い換えても差し支えないかと思います。本勧話はそう言う内容です。

 昨年1月22日、関連したテーマ、礼拝勧話 イロハシリーズ32「創造のイロハ」を話しました。

(信仰と科学の調和)

 今朝は前回と重複するところもありますが、今回は、聖書と対立すると考えられている科学分野、主に、生物進化論や宇宙科学などの成果と創造を明記している聖書に対する信仰とをどのように調和させればよいかと言うこについて考えたいと思います。

(聖書の年代と生物進化論や宇宙科学の年代の違い)

 生物進化論は、後で詳しく述べるように、生物や人間の起源の時期を大昔に遡ります。

宇宙科学も宇宙や地球の起源を億年単位の大昔に遡ります。これは、後で詳しく説明しますが、聖書を率直に解釈した場合の地球や生物、人間の創造の時は、高々BC1万8千年から10万年未満です。10)

 年代の違いも問題ですが、創造があったかどうかと言うことは、もっと重要ですが、とりあえず、今回、この違いは”信仰の問題である。”ということで、片づけておきたいと思います。クリスチャンなら、当然同意されるでしょう。

(年代に違いが出るのは創造を認めるか認めないかの立場の違いによる)

 実は年代の違いは、創造があったかどうかと言う問題と密接な関係があります。

生物進化論や宇宙科学は、神による創造が無かったと言う立場で理論を構築するため、現在見るような高等生物や秩序立った宇宙の起源を自然発生あるいは偶然性に求めることになります。

(生物進化論や宇宙科学の年代が大昔に遡るわけ)

偶然に生物の芽になる物や宇宙の芽になる物が発生する確率は甚だ小さいので、これらの起源となる芽が実現するためには甚だ長い時間を必要とするという事情によって、億万年単位の古い年代が出てくると言う事情があります(たとえば、15)ポール・デイヴィス著 神と新しい物理学 戸田盛和 訳 岩波書店発行(1994)参照)。勿論甚だ長い時間を働かせれば何でも起こりうるという考え方には問題があります。折角誕生した新しい芽が自然消滅しないで生き残った上、更に高度な形態に進む確率は、甚だ小さいのではないかという心配もありますが、一応、大きく譲ってそう言う心配は無く、進化は起こるとしておきましょう。

ここでは、年代の違いに着目しているわけですから。

(信仰と科学を両立させる考え方)

 結論を先に言えば、”クリスチャンは聖書の創造に関する記述をそのまま信じて受け入れるべし、生物進化論や宇宙科学の成果も受け入れるべし”、但し、起源については、”創造は無かったという立場で説明すればそうなる。”ということです。 ”無創造論者は間違っている。”と言ってはいけない。 ”通常の科学では、当然そうなる。”と言うべきでしょう。 勿論、自然法則については、創造論者も正しいと認めています。通常、実験したり、観測したりする時間のスケールは、数学的にはマイナス、あるいはプラス無限大であっても、実際には、秒単位であったりします。年単位というのは、気象学ぐらいでしょうか。 

 

  創造の教理の重要性 

 創造の教理は、全聖書の基礎である。人間の起源・生きる目的・死後の行き先に関係する6)

  人間の起源  

   進化論 人は下等な生物から進化した。

   創造論 人は神によって創造された。

  生きる目的 

   進化論 人は、偶然の結果存在する。 人の存在の目的は動物と同じで遺伝子を次世代に伝えることである。

   創造論 どの人にも神の愛がそそがれ、神のご計画がある。人は神と共に生きてこそ幸せ。

  死後の行き先 

   進化論 死ねば人は無に帰する。

   創造論 信者は死後天国に行く。

 

(創造の教理)

問1 創造の教理にはどのようなものがありますか?

答  創造の教理は、たとえば、以下の教理問答、信仰箇条、信仰告白に色々述べられています。

バプテスト教理問答、ウェストミンスター大教理問答、バイブル・バプテスト信仰箇条。その中から、二つを紹介します。

 

バイブル・バプテスト信仰箇条 六 創造について4)

 「わたしたちはこう信じる。はじめに神は天と地とそれに満ちるものを直接に創造され、御自身のかたちにしたがい神に似た者として人を創造された。創世記にある創造の記事は寓意的あるいは比喩的にではなく、字義的に受けとるべきものであり、生物進化論を拒否する。

   創世1:1 出20:11 使徒4:24 コロ1:16、17

   ヘブ11:3 ヨハ1:3 黙示10:6 ロマ1:20 使徒17:23ー26

   エレ10:12 ネヘ9:6 創世1:26、27 創世2:21ー23 

   創世1:11、24

聖句

 創世1:1「 初めに、神が天と地を創造した。

 出20:11「20:11 それは主が六日のうちに、天と地と海、またそれらの中にいるすべてのものを造り、七日目に休まれたからである。それゆえ、主は安息日を祝福し、これを聖なるものと宣言された。

 ヘブ11:3「11:3 信仰によって、私たちは、この世界が神のことばで造られたことを悟り、したがって、見えるものが目に見えるものからできたのではないことを悟るのです。

 ロマ1:20「1:20 神の、目に見えない本性、すなわち神の永遠の力と神性は、世界の創造された時からこのかた、被造物によって知られ、はっきりと認められるのであって、彼らに弁解の余地はないのです。

 創世1:26、27「1:26 そして神は、「われわれに似るように、われわれのかたちに、人を造ろう。そして彼らに、海の魚、空の鳥、家畜、地のすべてのもの、地をはうすべてのものを支配させよう。」と仰せられた。

 1:27 神はこのように、人をご自身のかたちに創造された。神のかたちに彼を創造し、男と女とに彼らを創造された。

 創世1:11、24「1:11 神が、「地は植物、種を生じる草、種類にしたがって、その中に種のある実を結ぶ果樹を地の上に芽生えさせよ。」と仰せられると、そのようになった。

1:24 ついで神は、「地は、その種類にしたがって、生き物、家畜や、はうもの、その種類にしたがって野の獣を生ぜよ。」と仰せられた。するとそのようになった。

 

ウェストミンスター信仰告白 第四章 創造について5)

「一 父・子・聖霊なる神は1、ご自身の永遠のみ力、知恵、および善の栄光の現れるために2、初めに、世界とその中にあるすべてのものを、見えるものであれみえないものであれ、六日の間に、すべてはなはだ良く創造すること、すなわち無から作ることをよしとされた3。

  1 へブル1:2、ヨハネ1:2、3、創世1:2、ヨブ26:13、33:4。

  2 ロマ1:20、エレミヤ10:12、詩104:24、33:5、6。

  3 創世一章、へブル11:3、コロサイ1:16。」

 

聖書講解と教理

創世記1:1

問2 創世記1:1は、何を述べていますか。

答  創世記1:1の内容は、以下の通りです。

創世記1:1 1:1 初めに、神が天と地を創造した。」

 初めに : 人間の時間の初め

 天と地 : 諸天と地球

 「創造した: 無からの創造 以前にはなかったものを産み出す意」(カイルとデリッチの注解による)1)p269

「創世記1:1は、絶対的創造の単純な宣言である。わたしたちが宇宙を思うと、これらのものを誰が造ったのか心に問が起こる。これら宇宙の起源は何か。創世記1:1が答えを与える。その答えとは神が天と地を創造したという単純な宣言である。

創世記1:1は文法的には独立節である。

創世記1:1創造の事実に関する広い、すべてを包含する声明である。」1)

9)pp1ー14

創造の定義

創造の定義1)pp266ー267

問3 創造を内容によって分けるとどうなりますか。

答  創造を内容によって分けると以下に述べる直接的創造と間接的創造に分けることができます。

 「直接的創造

  直接的創造は、無からの創造であって、すでに存在している物質または二次的原因を用いるこkとなく、見えるものも見えないものもみな含めた全宇宙を、直接的、即時的に産み出した三位一体の神の自由な行為を意味する。

 例 創世1:1

 間接的創造

  間接的創造は、やはり「創造」と呼ばれてはいるが、無から造り出すみ業ではなく、すでに存在している材料を神が自ら直接に形づくり、作りかえ、組み合わせ、変化させる神の行為を意味する。

 例 創世2:22

創世記1:2」

問4 創世記1:2は、何を述べていますか。

答  創世記1:2の内容は、以下の通りです。

創世記1:2 「地は形がなく、何もなかった。やみが大いなる水の上にあり、神の霊は水の上を動いていた。」

(参考 2ペテロ3:8)

「 創造の歴史に関係した諸問題

(創世記1:2に伴う重要な諸問題)

問5 創世記1:2に伴う重要な諸問題は何ですか。

答  創世記1:2に伴う重要な諸問題は以下に述べる創造の歴史に関係した諸問題です。

創造の歴史に関係した諸問題1)pp270ー274

 第一に、

神の直接的創造にはどういうものが含まれるのであろうか。

 天はもちろんのこと天に住む天使たちも含まれ(ヨブ38:7)、地はいうまでもなく地にある水やガスがみな含まれる。

 第二に、

(第二節の問題)

第二節は地の本来の状態を表すものであろうか。それとも、ある非常な変動によって起こされた状態を描いているのであろうか。

これに関して、二つの立場がある

 本来の状態ととる立場

  昔の学者たちの大部分は、これを本来の状態ととった。なぜなら、その反対であることを示す明確な陳述がないから  

  である。

 ある非常な変動によって起こされた状態ととる立場(再建説)

  しかし、第二節にある状態は、明らかに不完全な状態である。一体、神は不完全なわざをなされるであろうか。

  創世記一生には、神がその創造されたものを「良し」とされた、と七回も出てくる。スコフィールド11)p3

   は次のように述べている。

    エレミヤ4:23ー26、イザヤ24:1、45:18は神のさばきの結果として、地が大変動を経たことをはっきりと示している。地の表面には至るところにそのような変動のあとが見られる。天使たちの試みと堕落がそれ以前にあったことと、この変動との関連を暗示している箇所が全くないというわけでもない。たとえば、エゼ28:12ー15、イザヤ14:9ー14を見れば、これらはたしかにツロ バビロンの王たちのことだけを語っているのではない。

第三に、

第一節にある最初の創造と、一章の残りの部分に出てくる六日間の創造との間にあった期間は、長いものであっったのかそれとも短いものであったのか。

(再建説)

 われわれ(シーセンら)は、たぶん長い間隔があったと信じる。シェッドは「六日間の創造の日に先立って、非常に長い期間があったという教えは、、教父やスコラ神学者たちの間では一般的な見解であった」と言っている。最初の創造の御業は、年代のわからないほどの大昔に起こったのであるが、それと六日間の活動との間には、すべての地質時代を入れるに十分な期間があったわけである。(再建説)

 しかし、最初の創造の活動は、一章の残りの部分に描かれているいろいろなものの創造の、直前にあったのだと考える人々もいる。

(創造科学)

宇宙・地球・地質年代の古さを説明するための、再建説に替わる「創造科学」の説明

7)第2章 洪水地質学の立場をとる「創造科学」が主張する地球の年齢(若地球説)

二 一日二十四時間説―六日間創造説(三つの立場) (3)洪水地質学をとる「創造科学」pp51ー54

本章で紹介するのは、おもにこのグループの人たちの主張である。

(歴史の装いを凝らした創造)

この説を主張する学者たちは、神の創造は「成人創造」または「歴史の装いを凝らした創造」であると主張する。そしてその理由を二つあげる。

 1 もしそうでなかったら、神による最初の創造はありえなかった。たとえば、神が木なり動物なりを創造された場合、神はその木や動物を、すでに何年何十年も経過したものの姿で創造されたはずである。ヘンリー・M・モリスはこの点について次のように述べている。「最も簡単な原子か何かを神がお造りになる場合、そうした原子や他の被造物は、必ず何かの時間的経過を示すような外見を装っている。そのものに固有の時間的経過の装いをもたないような真の創造といったものはありえない。それでも、新たに創造されたものを、ある種の進化の歴史から解釈することは可能であろう。そして、神が時間的経過を装わせて原子物質を創造できるなら、換言すれば神が存在するなら、ご自分の真実の特質に従って、神が十分に成長した姿の全宇宙を創造できない理由があろうか」。

 2 (省略)

第四に、

(創造の6日間)

 六日というのは長い期間ととるべきか、それとも文字どおりの六日間と考えるべきか。

シェッドは、一般的に言って「教父および中世の釈義では、これを二十四時間の日ではなく、長期間としている。二十四時間という解釈は、近代の教会において広まったものであるにすぎない」と述べている。この「日」という言葉は、聖書ではいろいろに使われているので、この言葉自体からは解釈の助けをうることはできない。

 

 しかし、この六日というのは文字通りの、二四時間の日であると考えている人々も多くいる。キリスト者ではなくユダヤ教徒であったヨセフスは、キリストガ死なれたころに生まれたが、かれはモーセが「世界とその中にあるすべてのものは、ちょうど六日間で造られた」と述べたように解釈している。

カイルとデリッチは次のように述べている。「もし創造の日は、光とやみとがくり返し交替することによってきめられていたのなら、この日というのは測り知れない長さをもった期間であるとか、数年あるいは数千年とみなされるべきではなく、単純にこの地上の一日ととらなければならない

創造の期間を六日間(出20:11、31:17)であるとしている聖句から考えると、これは自然な解釈のようである。

聖句(出20:11、31:17)

  「20:11 それは主が六日のうちに、天と地と海、またそれらの中にいるすべてのものを造り、七日目に休まれたからである。それゆえ、主は安息日を祝福し、これを聖なるものと宣言された。

31:17 これは、永遠に、わたしとイスラエル人との間のしるしである。それは主が六日間に天と地とを造り、七日目に休み、いこわれたからである。」」

第五に、

(有神論的進化論)

媒介をとおして創造される際に、神が用いられた方法はどんなものであったか。

 聖書は、神の霊がこんとんとした地の上をおおい、また、神が語りかけたと表現している。

一方、有神論的進化論の立場をとるものは、神が創造の方法として進化論を用いられたと主張する。

この説は機械論論的な世界観の土台に立っている。」1)

(六日間の日の長さ)

問6 創世記1章の創造記事で、六日間の日の長さは、聖書の釈義として、一日は二十四時間と解釈すべきでしょうか、または、別の解釈の可能性もありますか?

答 聖書釈義については、聖書が記されているヘブル語文法や聖書解釈の伝統的見解にウェイトをおいて決定すべきもので、科学的研究が示す地球や宇宙の年齢と調和するように決定すべきものではありません。

 聖書釈義の結果が複数ある場合、どれを選択したら良いか、その選択の基準は、聖書解釈をする人が最も適切な人であるということでしょう。この観点から、以下、いくつかの創世記一章の日についての見解を引用してみます。(上述の第二ー第五参照)

 

創世記1:3ー5

問7 創世記1:3ー5は何を述べていますか。

答  創世記1:3ー5の聖句は以下の通りです。

創世記1:3 「そのとき、神が「光よ。あれ。」と仰せられた。すると光ができた。」

創世記1:4 「神はその光をよしと見られた。そして神はこの光とやみとを区別された。」

創世記1:5 「神は、この光を昼と名づけ、このやみを夜と名づけられた。こうして夕があり、朝があった。第一日。」

これらは、第一日目に光、昼と夜が神のみ言葉によって創造されたことを述べています。日は一日24時間の文字通りの日であると考えるのが自然です。

(創造について記されている聖書のほかの部分)

問8 聖書は創造について、創世記1章と2章のほかにも記されていますか。

答  聖書は創造について、創世記1章と2章のほかにも記されています。記されている箇所は、以下の通りです。

 創造について記されている聖書のほかの部分1)p275

 天と地の最初の創造について語っている(イザヤ40:26、45:18)。

創造の六日間

問9 創世記1章の創造の記事で、第1日目に関する聖句とその内容は何ですか?

答  第1日目に関する聖句は、1ー5節です。

(聖句)

創世記 1:1 初めに、神が天と地を創造した。

 1:2 地は形がなく、何もなかった。やみが大いなる水の上にあり、神の霊は水の上を動いていた。

 1:3 そのとき、神が「光よ。あれ。」と仰せられた。すると光ができた。

 1:4 神はその光をよしと見られた。そして神はこの光とやみとを区別された。

 1:5 神は、この光を昼と名づけ、このやみを夜と名づけられた。こうして夕があり、朝があった。第一日。

聖句の内容は次の通りです。

  世界の初め、天と地の創造(1節)

  地の状態、かたちがない、やみ、神の霊(2節)

  光の創造、命令と結果(3節)

  神の評価と区別、よし、光とやみ(4節)

  神による命名、光を昼、やみを夜、夕と朝、第1日(5節)

  

問10 創世記1章の創造の記事で、第2日目に関する聖句とその内容は何ですか?

答  第2日目に関する聖句は、6ー8節です。

(聖句)

創世記 1:6 ついで神は「大空よ。水の間にあれ。水と水との間に区別があるように。」と仰せられた。

 1:7 こうして神は、大空を造り、大空の下にある水と、大空の上にある水とを区別された。するとそのようになった。

 1:8 神は、その大空を天と名づけられた。こうして夕があり、朝があった。第二日。

 

聖句の内容は次の通りです。

  神の命令(6節)

  大空の創造、区別、大空の下にある水と大空の上にある水(7節)

  神による命名、大空を天、夕と朝、第2日(8節)

1:6 ついで神は「大空よ。水の間にあれ。水と水との間に区別があるように。」と仰せられた。

 1:7 こうして神は、大空を造り、大空の下にある水と、大空の上にある水とを区別された。するとそのようになった。

 1:8 神は、その大空を天と名づけられた。こうして夕があり、朝があった。第二日。

問11 創世記1章の創造の記事で、第3日目に関する聖句とその内容は何ですか?

答  第3日目に関する聖句は、9ー13節です。

(聖句)

創世記 1:9 神は「天の下の水は一所に集まれ。かわいた所が現われよ。」と仰せられた。するとそのようになった。

 1:10 神は、かわいた所を地と名づけ、水の集まった所を海と名づけられた。神は見て、それをよしとされた。

 1:11 神が、「地は植物、種を生じる草、種類にしたがって、その中に種のある実を結ぶ果樹を地の上に芽生えさせよ。」と仰せられると、そのようになった。

 1:12 それで、地は植物、おのおのその種類にしたがって種を生じる草、おのおのその種類にしたがって、その中に種のある実を結ぶ木を生じた。神は見て、それをよしとされた。

 1:13 こうして夕があり、朝があった。第三日。

 

聖句の内容は次の通りです。

  神の命令と結果、天の下に対する命令(9節)

  神による命名と評価、地と海、よし(10節)

  命令と結果、地に対する命令(11節)

  植物の創造と評価、種類に従って、種を生じる草、種のある実を結ぶ木、よし(12節)

  夕と朝、第3日(13節)

問12 創世記1章の創造の記事で、第4日目に関する聖句とその内容は何ですか?

答  第4日目に関する聖句は、14ー19節です。

(聖句)

創世記 1:14 ついで神は、「光る物は天の大空にあって、昼と夜とを区別せよ。しるしのため、季節のため、日のため、年のために、役立て。

 1:15 天の大空で光る物となり、地上を照らせ。」と仰せられた。するとそのようになった。

 1:16 それで神は二つの大きな光る物を造られた。大きいほうの光る物には昼をつかさどらせ、小さいほうの光る物には夜をつかさどらせた。また星を造られた。

 1:17 神はそれらを天の大空に置き、地上を照らさせ、

 1:18 また昼と夜とをつかさどり、光とやみとを区別するようにされた。神は見て、それをよしとされた。

 1:19 こうして夕があり、朝があった。第四日。

 

聖句の内容は次の通りです。

  神の命令と結果、光る物に対する命令とそれらの役目(14、15節)

  二つの大きな光る物と星の創造、それらの役割分担(16節)

  光る物の配置と役割、天体による光とやみの区別、よしとの評価(17、18節)

  夕と朝、第4日(19節)

コメント

16節の創造は、無からの創造ではなく、第一日目に創造された物を、現在見られるような宇宙の配置、構成の形成、調整の仕事であります。

(創造の順番の意味)

問13 聖書に、神は第1日目に光を創造され、第4日目に太陽やほかの天体を造られたと記されていますが、この創造の順番は不自然に思われますが、この記された順番には何か意味がありまか?

答 光が太陽等の前に創造さたと記されているのは、偶然ではなく、意図的なものです。創世記の著者モーセは、光が太陽から出ていることは、百も承知のことです。わざわざ光源である太陽に先だって光の創造を記したのには、それなりの訳があったと考えるべきです。その訳とは、以下のようです。9)

 「1 創世記が太陽の前に光について述べている一つの理由は、多分、われわれの心を、光は太陽に依存しているという考えから解放し、創造者であられる神にわれわれの目を向けさせることです。

2 この創造の順序には第二の理由があります。光は、次に来るすべての物に必要であり、モーセはこの光に強調点を置いており、神が是認された特別な対象として言及しています。

3 地球に関するかぎり、次にくるすべての仕事の存在にとって、光は必要な条件です。地上の生命にとっては、光は必要であるから、光の創造が最初に言及されているわけです。」

光が、光源である太陽に依存することなく、単独に存在し得ることは、科学と矛盾するものではありません。

問14 第一日目から第三日目までは地球に関することが記され、第四日目には、太陽、月、星の順に記されています。

この順序にはどのような意味がありますか?

答 「この創世記1章は地球中心(Geocentric)の立場で記されています。但し、地球が物理的に宇宙の中心であると主張しているわけではありません。人間にとっては、地球の次に、太陽、月、星の順に重要であるということです。」9)

問15 創世記1章の創造の記事で、第5日目に関する聖句とその内容は何ですか?

答  第5日目に関する聖句は、20ー23節です。

(聖句)

創世記 1:20 ついで神は、「水は生き物の群れが、群がるようになれ。また鳥は地の上、天の大空を飛べ。」と仰せられた。

 1:21 それで神は、海の巨獣と、その種類にしたがって、水に群がりうごめくすべての生き物と、その種類にしたがって、翼のあるすべての鳥を創造された。神は見て、それをよしとされた。

 1:22 神はまた、それらを祝福して仰せられた。「生めよ。ふえよ。海の水に満ちよ。また鳥は、地にふえよ。」

 1:23 こうして、夕があり、朝があった。第五日。

聖句の内容は次の通りです。

 神の命令、「水は生き物の群れが、群がるようになれ。また鳥は地の上、天の大空を飛べ。」(20節)

 海の巨獣と種類に従って、水に群がりうごめくすべての生き物と、翼のあるすべての鳥の創造とよしとの評価。(21節)

 祝福と命令、「生めよ。ふえよ。海の水に満ちよ。また鳥は、地にふえよ。」(22節)

 夕と朝、第5日(23節)

コメント

21節の創造のヘブル語原語は、バーラー。

問16 創世記1章の創造の記事で、第6日目に関する聖句とその内容は何ですか?

答  第6日目に関する聖句は、24ー31節です。

(聖句)

創世記 1:24 ついで神は、「地は、その種類にしたがって、生き物、家畜や、はうもの、その種類にしたがって野の獣を生ぜよ。」と仰せられた。するとそのようになった。

 1:25 神は、その種類にしたがって野の獣、その種類にしたがって家畜、その種類にしたがって地のすべてのはうものを造られた。神は見て、それをよしとされた。

 1:26 そして神は、「われわれに似るように、われわれのかたちに、人を造ろう。そして彼らに、海の魚、空の鳥、家畜、地のすべてのもの、地をはうすべてのものを支配させよう。」と仰せられた。

 1:27 神はこのように、人をご自身のかたちに創造された。神のかたちに彼を創造し、男と女とに彼らを創造された。

 1:28 神はまた、彼らを祝福し、このように神は彼らに仰せられた。「生めよ。ふえよ。地を満たせ。地を従えよ。海の魚、空の鳥、地をはうすべての生き物を支配せよ。」

 1:29 ついで神は仰せられた。「見よ。わたしは、全地の上にあって、種を持つすべての草と、種を持って実を結ぶすべての木をあなたがたに与えた。それがあなたがたの食物となる。

 1:30 また、地のすべての獣、空のすべての鳥、地をはうすべてのもので、いのちの息のあるもののために、食物として、すべての緑の草を与える。」すると、そのようになった。

 1:31 そのようにして神はお造りになったすべてのものをご覧になった。見よ。それは非常によかった。こうして夕があり、朝があった。第六日。

 

聖句の内容は次の通りです。

 神の命令と結果、「地は、その種類にしたがって、生き物、家畜や、はうもの、・・・・野の獣を生ぜよ。」(24節)

 種類に従って、野の獣、家畜、地のすべてのはうものを造られた。(25節)

 人の創造に先立つ協議(26節)

 人の創造、神のかたちに、男と女とに(27節)

 祝福と命令、「生めよ。ふえよ。地を満たせ。地を従えよ。海の魚、空の鳥、地をはうすべての生き物を支配せよ。」(28節)

 神の言葉とその結果、神は人の食物として、「種を持つすべての草と、種を持って実を結ぶすべての木」を与えられた。 又、 

 地のすべての獣、空のすべての鳥、地をはうすべてのものの食物としてすべての緑の草を与えられた。(29、30節)

 お造りになったすべてのものの評価、「それは非常によかった。」、夕と朝、第六日。(31節)

コメント

25節の「造られた」のへブル語原語は「アーサー」。

24節は「地は・・・生ぜよ」、25節は「造られた」とわざわざ記されているのは、古代神話では、「母なる大地」という概念があるためです。9)

27節の「創造」のへブル語原語は、「バーラー」。

第一日目から五日目までの創造は、第六日目の人の創造のための入念な準備として行われました。

生物の生存領域は、三日目に造られた海と地上であります。

28節の人に対する命令「生めよ。ふえよ。地を満たせ。地を従えよ。海の魚、空の鳥、地をはうすべての生き物を支配せよ。」との命令は、24ー25節の野の獣、家畜、地のすべてのはうもの創造と第五日目の水生動物や鳥類の創造が前提となっています。

六日間の創造の順番は、生起順か)

問17 六日間の創造の順番は、生起順・年代順(Chronological)と考えるべきでしょうか?

答   明らかに、生起順・年代順と考えるべきです。その根拠は以下の通りです。9)

「第一日、第二日、・・・、第六日とあり、第六日は定冠詞付です。

 年代順ではないと考えると、以下の不都合が生じます。

(1)創世記は殆ど内容の無いものとなります。

(2)沢山の矛盾が生じます。

(3)第二節の未形成の宇宙と31節の完成した世界との対照を強調することが出来ません。

(4)モーセが、何か、枠組説(Framework Theory)のようなものを意図していたとすると、何故そのことに関して何も示唆してないのか、理解に苦しむところです。」

問18 「創造主が全能者なら、なぜ六日もかけて天地を創造する必要があったのか」6)

答 「当然一瞬で創造することもできたはずです。その答は聖書の十戒に書かれています。創造主が六日かけて天地を創造し、一日休んだのは、人が六日働いて一日休むという一週間のサイクルで生活するように模範を示したからです。」6)

十戒 出 20:11

20:11 それは主が六日のうちに、天と地と海、またそれらの中にいるすべてのものを造り、七日目に休まれたからである。それゆえ、主は安息日を祝福し、これを聖なるものと宣言された。」

創造の順序の適切さ)

問19 天地創造は一日を約二十四時間とする六日間で行われ、七日目は創造を休まれたと聖書に書かれています。

果たしてその創造の順序は適切でしょうか。6)

答 記されているその創造の順は、以下に詳しく示すように、科学的に見ても理にかなっています。6)

「創造の第一日は、「創造主が宇宙と地球を創造した」ことが書かれています。・・・

 第二日には、大気が造られました。これは現在とほぼ同じ酸素と窒素を主成分とした大気だと考えられます。このときはまだ、太陽・月・星などは創られていませんでしたが、これは最初から必要というわけではありません。むしろ太陽・月・星などより先に大気圏が創られ磁場があったことで、太陽や宇宙からの有害な宇宙線(紫外線を含む)を含むバリアが完成しました。・・・

 第三日は、まず陸地がわずかの時間で完成しました。花崗岩に見られるポロニウムハローという球状痕は、進化論で先

カンブリア層とされる地面が短期間で固まったことを示しています。これは聖書の記述を裏付けています。次に陸地の植物が創られます。これも短時間で創造され、すでに果樹が生った状態で創られていたことが聖書に書かれています。こうして食用に適する植物が、数日後に創られる動物や人のためにすでに準備されました。

 第四日は、太陽・月・星が「しるしのため・季節のため・日のため・年のため」と目的をもって創られました。ですから、太陽は地球の地軸の向きに対して適切な場所と距離に置かれ、地球は太陽の周りを公転すようにるされました。ところで、太陽が地球より後に創られるのはおかしくはないでしょうか。たとえば、太陽系の模型を創るとしましょう。先に地球を自転するように創っておいて、それから太陽や惑星を置き、地球を含む全ての惑星が太陽の周りを公転するようにつくることはもちろん可能です。そうすると、地球が先に創られ、後で太陽・惑星・星が創られても創るという視点からみれば問題はないことがわかります。 ところで、太陽と月と地球は驚くような独特の関係にあります。太陽は月の四百倍の大きさがあります。しかも、地球と月の距離の四百倍の位置に太陽があるので、地球から見ると太陽と月が同じ大きさに見えます。さらに、太陽と月の引力で地球では潮の満ち引きが起こります。もし月がもっと地球に近ければ、潮汐力

が強すぎて海岸沿いに生物が住むのは難しくなるでしょう。逆に月がもっと地球から遠ければ、潮汐力が弱くなって海岸沿いの水が淀んで腐ってしまうでしょう。月はまさにちょうどよい位置に置かれています。

 また、月が常に同じ面を地球に向けているのは不思議だと思いませんか。これは、月の自転周期(月が一自転するのに要する時間)と公転周期(月が地球の周りを一巡りするのにかかる時間)が全く同じだからです。これは、何か意味があるでしょうか。隕石が飛んでくると月の裏側にはよく衝突しますが、表側は衝突しません。ですから、月の裏側はクレーターだらけででこぼこですが、表側は凹凸が少なくそのために光の反射率が高いのです。ですから、太陽の光を反射する月の明るさがだんだん暗くなることを避けられるのです。月は夜の光として創られたことが聖書に書かれています。その目的で創造すれば、月の自転周期と公転周期を一致させる必要があります。実際に月はその役割を全うしています。

 人によっては、植物が太陽より先に創られては植物が枯れてしまうのではと心配するでしょう。しかし、植物が呼吸するための酸素は既に第二日目に創られていました。太陽光がなくても一日くらいは植物は枯れません。ですからこれも全く問題がありません。また、太陽光で光合成が始まり、五日目以降に動物が創られても酸素と二酸化炭素の循環の準備はすでに整っていることになります。もし植物が創られてから何年も太陽が創られなければ、それこそ植物は枯れてしまうでしょう。

 第五日は海の生物と鳥類の創造です。すでに、潮汐がありましたから、海洋生物に必要な環境も整っていたでしょう。

 第六日は、まず陸上の動物が創造されました。家畜は最初から家畜として人の役に立つことを意図して創られました。また、大きい動物から小さい動物まで、地をはう動物や虫も創られました。こうして人が住むために必要なすべての環境が整った地球という家が完成しました。

 そしてアダムが創造され、次にイブが創られ、彼らはエデンの園の管理を任されました。

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 さて、もし、天地創造の順序が違っていたとしたらどうでしょう。たとえば、大気が創られる前に動物がつくられても生きられません。動物が創られた後で植物が創られると食べ物がなく、二酸化炭素が増加して温暖化が進むでしょう。聖書に書いてある天地創造の順序は、決してでたらめではなく、論理的にも科学的にも適切な順序だということがわかりました。」6)

(科学的に評価される地球や宇宙の年齢)

問20 科学的に評価される地球や宇宙の年齢はどのくらいですか?

答   科学的に評価される地球や宇宙の年齢は40億年から200億年くらいとされています。

もう少し詳しくいうと、次の通りです。7)

 

 7)西 満 著 天地創造の六日間  ― 創世記一章の「日」に関する諸解釈 ―

                      いのちのことば社発売(1995)

「第一章 現代科学からみた地球の年齢(古地球説) (pp17ー44)

     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 二 二十世紀

  (1)放射性元素による測定(絶対年代)

      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「このようなウラニウムと鉛による方法や、もっと新しい放射性元素を使う方法で、数多くの岩石の年齢が計られている。

なかでも最も古い岩石は、南極大陸、南アフリカ、オーストラリア、ロシア、カナダ楯状地で発見された片麻岩状花崗岩で、放射性元素の分析によれば、これら最古の岩石は、三十億年前のものと推定されている。さらに、空から落ちてきた隕石をこの方法で分析すると、だいたい四十六億年前のものであることがわかる。

       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 こうした方法によって計算された地球のいわゆる「絶対年代」を、化石をもとにした相対年代と対応させたのが、今日一般に用いられている地質年代表である(表1)。この表によれば、古生代の始まるカンブリア紀の始まりは六億年前である。これに対してそれ以前の原生代の年数は四十億年という途方もなく長い時代である。」

 三 宇宙物理学による年代測定

さて、以上記したような地球物理学のほかに、宇宙の年齢を知る方法もいくつか考えられている。その代表的なものを三つあげてみよう。

 その第一は宇宙の膨張を測定する方法、第二は銀河系の中にある球状星団の星を観察する方法、第三は放射性原子核を使って宇宙の年齢を測定する方法である。

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 さて、これら三つの年代測定法で決められた宇宙の年代は、一方では大幅な差がありながら、他方では一致している面もある。シュラムはそれを図3のように表している。もし三つの方法全部に共通する年齢をとるならば、宇宙の年齢は、百億年から百五十億年ということになる(9)。

       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 以上、簡単ではあるが、現代の科学、地質学、天文学が考える宇宙および地球の年齢を記してみた。これらの方法をとおして考えさせられるのは、次の点である。

 1 宇宙および地球の年齢を探る方法は、決して確立された学問の方法ではなく、多くの試行錯誤を経ながら、現代科学が到達したいくつかの方法の一つであり、それらは仮説にしかすぎない。これらの説は宇宙が斉一的に膨張、進化してきた(たとえ重力によって膨張の速度が多少鈍化したとしても)という仮定の上に立っている。また、放射性物質の崩壊のプロセスが過去も現在も一定であるという考えを利用した学説なのである。将来、新しい発見がなされた場合、これらの説が書き直されることも十分あり得る。

 2 しかし他方、現在の段階では、いくつかの方法による年代測定が五十億年から二百億年もの大きな数を示していることは聖書を学ぶ者にとって見過ごしにできないことである。」7)

(創世記一章と科学との調和)

問21 聖書の記述と科学的知識が矛盾するか、矛盾するようにみえる場合、聖書解釈上の大原則は、科学的知識と聖書の記述が調和するように解釈することでしょうか、あるいは創世記の著者が伝えようとした意味を見いだすことでしょうか?

答 創世記一章を科学の教えるところと調和させることが我々の主目的ではなく、創世記の著者が伝えようとした意味を見いだすことです。9)

(聖書に基づく創造論と創造を考えない無創造科学の共存は可能か?)

問22 聖書に基づく創造を奉ずるクリスチャンは、地球の起源は46億年前にさかのぼるなどと主張する無創造科学の典型的な科学分野である生物進化論や宇宙科学を奉ずる人たちの立場に寛容であるべきでしょうか?

答 結論を先に述べると、これはあくまでも私見ですが、生物進化論や宇宙科学を奉ずる人たちの立場に寛容であっても一向に差し支えないと考えます。その訳は、こと起源の古さに関しては、創造論と無創造論という立場の違いから、必然的に相反する結果になるわけで、相手が間違っていると言う証拠がお互いに無いためです。自然法則に関しては、万物の創造以後は、現在あるような両者が認める同じ一つの自然法則があるわけです。従って、自然の記述については、何の不都合も無く、両者共通の基盤に立って、科学の発展に寄与出来るからです。

 

問23 創造論者は無創造論者を有効に論駁することは、容易でしょうか?

答 これも私見ですが、創造論者は無創造論者を有効に論駁することは、容易ではないと感じています。

たとえば、創造の根拠として、”人間はとても複雑であるから、こういう物が偶然に出来たとは考えられない。”と言う

議論は必ずしも説得力はありません。どちらかというと複雑さよりはむしろ自然法則の単純さのほうが、創造者の存在をより有効に暗示するようです。どのように論駁しようとも、無創造論者はすごく手強いのです。無創造論者の立場に理解と寛容さを示して、論駁することはあきらめて、共存を計るほうが賢明であると考えます。

問24 クリスチャンとしては、聖書と科学についてどのような立場を取れば良いのでしょうか?

答   それは一見単純な立場です。一言で言うと、聖書を文字通り信じる(ヘブル11:3)と共に科学もそれなりに正しいと認める事です。これには説明が必要です。普通科学と呼ばれているものは、創造が無かったことを前提とした無神論科学です。しかし聖書が創造があったと明言している以上、クリスチャンにとっては、万物や人間の起源について言及される場合には、創造があったことを前提とした考え方をせざるを得ません。無神論者にとっては、無神論の立場で科学を構築せざるを得ませんしこれは容認すべきことです。、創造神を信じるクリスチャンは創造論科学の立場で自然を解釈すれば何ら支障はありません。

 クリスチャンは、神は始めに自然界を人間も含めて今私たちが見る姿に創造されたと信じます。私達が見る宇宙はあたかも億年単位の大昔から存在し膨張しているように見えますがこれは現在の観測結果から過去に向かって外挿したもので

自然を若い宇宙が創造されたようには考えない立場の説明方法をとった結果です。従って、無神論宇宙科学については、宇宙は大昔にビッグバンによって自然発生したように見える。と解釈し直すことになり、生物進化論については、高等生物は、大昔に、簡単な蛋白質の形で発生し、進化の過程を経て今の姿になったと説明されている。と考えるわけです。

聖書には科学の全分野や自然法則の詳細まで記述されているわけではありません。聖書にはおのずとその守備範囲があります。しかし一方聖書は自然界は創造主について啓示していると述べています。(ローマ1:19ー20)

14)A.E.マクグラス 著 科学と宗教 稲垣久和・倉沢政則・小林高徳 訳 教文館発行 (2004)には、

「カルヴァン主義の信仰告白である『ベルギー信条』(1961)は、自然は「われわれの目に、最も美しい書物であり、そこには、大小にかかわらず、すべての被造物が文字として、神の、目に見えないものをわれわれに示している」と謳っている。自然科学に、創造の詳細な研究を通して、神を知ることができるとしたのである。」とありますが、神による被造物である自然界は聖書を補完する書物であって、科学者によって解読するように与えられたものであるとも考えることもできます。神は自然法則を定められ、科学者は自然の研究によって、自然法則を発見するわけです、地動説を説明するニュートンの古典力学、アインシュタインの特殊相対性理論、一般相対性理論、マックスウェルの電磁気学、量子力学、等々良く知られた自然法則です。クリスチャンも当然これらの自然法則を正しいものと認めています。

 [この事実からわれわれは、神の栄光を感知するために自然を研究すべきであると結論する。この宇宙は神のみ手のわざであり、神の栄光を現すためにある。それゆえ、神の栄光を拝するために自然を研究するのは、正しいことなのである、そしてまた、神の栄光をいよいよ増し、現すためにわれわれにできるかぎりのことをすべきである。

パウロが勧めているように、「10:31 こういうわけで、あなたがたは、食べるにも、飲むにも、何をするにも、ただ神の栄光を現わすためにしなさい」(1コリント10:31)。」1)

このことから、創造の教理は、人が何を目的として生きるべきかという問題とも深く係わっていることが解ります。

 

(創世記で確かなこと)

問25 創世記で確かなことは何ですか?

答 「聖書は地球の年齢については述べていないが、世界が神の言葉で創造されたことをはっきりと教えています。9)

詩編33:9,第2ペテロ3:5,ヘブル11:3,出20:11a」

(引用聖句)

詩編33:9 「 まことに、主が仰せられると、そのようになり、主が命じられると、それは堅く立つ。」

第2ペテロ3:5 「こう言い張る彼らは、次のことを見落としています。すなわち、天は古い昔からあり、地は神のことばによって水から出て、水によって成ったのであって、」

ヘブル11:3 「信仰によって、私たちは、この世界が神のことばで造られたことを悟り、したがって、見えるものが目に見えるものからできたのではないことを悟るのです。」

出20:11a 「それは主が六日のうちに、天と地と海、またそれらの中にいるすべてのものを造り、七日目に休まれたからである。それゆえ、主は安息日を祝福し、これを聖なるものと宣言された。」

 

(創世記1:1ー2:3は時間順に起こった)

問26 創世記1:1ー2:3のパターンは、時間順に起こったことと理解すべきでしょうか?

答 「創世記1:1ー2:3のパターンは、時間順に起こったことと理解すべきでしす。」9)

「1 創世記1:1ー2:3のパターンは、6日の後の7日目です。

2 6日は時間の意味に理解されるべきであり、或る日に続いて次の日がきます。

3 日は1、2、3等のように明示されています。」

 

(創世記1章の歴史性)

問27 創世記1章に記されていることは、実際に起こったこととして解釈すべきでしょうか?

答 「創世記1章は、詩でも英雄伝でも神話でもなく、直接の信頼に足る歴史であります。それは聖なる啓示でありますが、それが語っている事柄を正確に記録しています。創世記1章が歴史的であることは、次の点を考えれば理解できるでしょう。」9)

「1 それは、この書の残りの部分との密接な関係を支持しています。 この書の残りの部分(即ち同世代の人々)は創造の記述を前提としており、創造の記述はこれに続く事柄に備えたものです。創世記のこの二つに分けたときの各部分は、この書の不可欠な部分であり、お互いに補完しています。

2 創世記1章にはヘブライ詩の特徴はありません。ヘブライ詩には、創造の詩的説明があって、これらは創世記1章とは決定的な対照をなしています。

3 新約聖書は創世記1章に述べられているある出来事について、実際に起こったと見なしています。私たちは新約聖書を、この力強い聖書の最初の章に関する私たちの解釈者であると安心して認めることができます。」9)

(無創造科学の年代と聖書の年代)

問28 宇宙科学や進化論が主張する地球や人間の起源に関する年代と聖書を率直に解釈したときの年代はどのように異なるのですか?

答 「宇宙科学や進化論が主張する地球や人間の起源に関する年代について言えば、たとえば宇宙の年齢は百億年から百五十億年7)、46億年前に地球誕生、36億年前に生命誕生、3億5千年前蛙、3ー6万年前ネアンデルタール人出現と言っている。

一方、聖書からは、たとえば、アッシャーの聖書年代表ではBC4004年に天地創造となっている。

 もう少し、譲っても、聖書を率直に解釈すれば地球誕生の年はアダム誕生の年と同じであって、BC18000年から十万年未満である。更に的を絞れば、BC4115年から18000年である可能性が高い。10万年に近ければ聖書の系図を無意味にする。この年代の根拠は、創世記の1日は文字通りの1日である事と創世記五章と十一章の系図であり、セツとテラに至る系図に14のギャップがあり得る事、そのギャップは千年で無理がない。そして6850年(出エジプトから現代までの時間の二倍)未満である事から来る。天地創造の時=BC(4115+ギャップの14倍)」10)=BC18115ーBC100015=BC18000ーBC100000年。

主イエスや使徒達の創造に関する聖書解釈

問29 主イエスや使徒達の創造に関する聖書解釈は創造論的ですか?

答 主イエスや使徒達の創造に関する聖書解釈は以下の聖句から、創造論的です。

マタイ19:4ー5、ヨハネ1:3、使徒14:14ー15、ローマ1:19ー20。

(聖句)

マタイ19:4ー5、19:4 イエスは答えて言われた。「創造者は、初めから人を男と女に造って、」

ヨハネ1:3、1:3 すべてのものは、この方によって造られた。造られたもので、この方によらずにできたものは一つもない。

使徒14:14ー15、「天と地と海とその中にあるすべてのものをお造りになった生ける神」

ローマ1:19ー20。1:19 「なぜなら、神について知りうることは、彼らに明らかであるからです。それは神が明らかにされたのです。 1:20 神の、目に見えない本性、すなわち神の永遠の力と神性は、世界の創造された時からこのかた、被造物によって知られ、はっきりと認められるのであって、彼らに弁解の余地はないのです。」

(若い地球を示す科学的証拠)

問30 若い地球を示す科学的証拠はありますか?

答 若い地球を示す科学的証拠は少なくありません。以下にその例を示します。

1 彗星の寿命から1万年以下。2 地球に降り注ぐ宇宙の塵の量から9千年。3 大気中のヘリウムの量から1万1千年。4 その他1万年ー2万年。他。

(老いた地球を示す根拠の問題点)

問31 老いた地球を示す根拠に問題はありますか?

答   無創造論の年代評価の方法や評価結果に問題があります。

1 放射性元素による年代決定法は、保証の無い3つの仮説に立っています。間違った評価結果の例を挙げると、数百年才の火山岩がU238−Pb206法で1億から105億年と決定された。

2 創造の様な非定常な出来事が無いとすると地球の年齢は長くなり得る。

 

引用資料

   1)ヘンリー・シーセン著 島田 福安 訳 

          組織神学 聖書図書刊行会発行 (1964)

   2)鈴木 昌 訳編 バプテスト教理問答書 聖書図書刊行会発行(1971)

   3)日本基督改革派教会訳 ウェストミンスター大教理日問答 新教出版社発行(1970)

   4)バイブル・バプテスト信仰箇条

   5)日本基督改革派教会信条翻訳委員会訳 ウェストミンスター信仰告白

     新教出版社発行(1964)

   6)宇佐海 正海 著 起源→近代科学と私たち  創造科学研究会発行(2004)

    7)西 満 著 天地創造の六日間 

     ― 創世記一章の「日」に関する諸解釈 ―  いのちのことば社発売(1995)        

      8)D. リンドバーグ/R. L. ナンバーズ編 

      国際基督大学科学史研究センター 渡辺正生雄 監訳 

     神と自然  歴史における科学とキリスト教  みすず書房発行(1994)

   9)Edward J.  Young  "STUDIES  IN  GENESIS  ONE "

          PRESBYTERIAN  AND  REFORMED  PUBLISHING  CO.

          PHILLIPSBURG,  NEW  JERSEY (1964)

   10)A . J . Monty  White  " How  Old  is  the  Earth  ?  "  Evangelical  Press  (1985)

   11)C. I. Scofield, ed. The Scofield Reference Bible NewYork:Oxford University Press, (1917)

   12)新聖書辞典 いのちのことば社発行(1985)

   13)新キリスト教辞典 いのちのことば社発行

   14)A.E.マクグラス 著 科学と宗教 稲垣久和・倉沢政則・小林高徳 訳

      教文館発行 (2004)

   15)ポール・デイヴィス著 神と新しい物理学 戸田盛和 訳 岩波書店発行(1994)

   16)J.チャーファス編/松永俊男・野田晴彦・岸由二共訳 生物の進化 最近の話題

      培風館 (1989)