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 礼拝勧話 イロハシリーズ29 聖書のイロハ7b  悳 昭彦 
 2005年 6月 26日
目次
5)ウェストミンスター信仰告白 第一章 聖書について pp5−11
    第一章 聖書について
一 〜 十
一.聖書による神の啓示
二.正典
三.外典
四.聖書の権威
五.聖霊の内的なみわざ
六.聖書の十分性と神のみたまの内的照明の必要性
七.聖書の明瞭性
八.聖書の確実性と翻訳する必要性
九.聖書解釈の基準
十.至高の審判者ご聖霊
引用資料
                       
                       本文
引用資料
5)宇田 進 著 総説 現代福音主義神学 (2002年10月1日)いのちのことば社pp219−246から
   T 第三章 キリスト教と神の啓示 第六節 福音主義教会における聖書に関する十二項
6)ウェストミンスター信仰告白 発行所 梶@新教出版社(1964)第一章 聖書についてpp5−11
7)ウェストミンスター 小教理問答書 翻訳者 日本基督改革派教会 信仰規準翻訳委員会 発行所  活水社書店 (1967年3月25日三版)
8)鈴木 昌訳篇 バプテスト教理問答書 聖書図書刊行会(1971)問1−問5
9)ウェストミンスター 大教理問答 訳者 日本基督改革派教会 発行所 梶@新教出版社(1970)

 以下、7)−9)の中の教理問答を関連教理問答と呼ぶことにします。
6)ウェストミンスター信仰告白 第一章 聖書について pp5−11 から

以下、 ウェストミンスター信仰告白 第一章 聖書についての問答です。

一.聖書による神の啓示
問109 第一の信仰告白は何ですか?
答:第一の信仰告白は次の通りです。
 「一 自然の光および創造と摂理のみわざは、人間を弁解できないものとするほどに、神の善と知恵と力とを表すとはいえ1、しかしそれらは、救いに必要な神とそのみ旨についての知識を与えるには十分でない2。従って主は、いろいろな時に、いろいろな方法で、ご自身の教会に対してご自分を啓示し、み旨を宣言し3、また後には、その真理を一層よく保存し広げるためと、教会を肉の腐敗と悪魔や世の敵意に対して一層確立し慰めるために、その同じ真理を全部文書に委ねることをよしとされた4。これが、聖書を最も必要なものとしているのであって5、神がその民にみ旨を啓示された昔の方法は、今では停止されている6。

  1 ローマ2:14、15、1:19、20、詩篇19:1−3、
ローマ1:32、2:1。
  2 Tコリント1:21、2:13、14。
  3 へブル1:1。
  4 箴言22:19−21、ルカ1:3、4、
ローマ15:4、マタイ4:4、7、10、イザヤ8:19、20。
  5 Uテモテ3:15、Uペテロ1:19。
  6 へブル1:1、2。」

聖句
 1 ローマ1:19、20、「1:19 なぜなら、神について知りうることは、彼らに明らかであるからです。それは神が明らかにされたのです。 1:20 神の、目に見えない本性、すなわち神の永遠の力と神性は、世界の創造された時からこのかた、被造物によって知られ、はっきりと認められるのであって、彼らに弁解の余地はないのです。」
2 Tコリント1:21、「1:21 事実、この世が自分の知恵によって神を知ることがないのは、神の知恵によるのです。それゆえ、神はみこころによって、宣教のことばの愚かさを通して、信じる者を救おうと定められたのです。」
3 へブル1:1。1:1 神は、むかし先祖たちに、預言者たちを通して、多くの部分に分け、また、いろいろな方法で語られましたが、
4 ルカ1:3、「4、1:3 私も、すべてのことを初めから綿密に調べておりますから、あなたのために、順序を立てて書いて差し上げるのがよいと思います。尊敬するテオピロ殿。1:4 それによって、すでに教えを受けられた事がらが正確な事実であることを、よくわかっていただきたいと存じます。」
5 Uテモテ3:15、「3:15 また、幼いころから聖書に親しんで来たことを知っているからです。聖書はあなたに知恵を与えてキリスト・イエスに対する信仰による救いを受けさせることができるのです。」
6 へブル1:1、2「1:1 神は、むかし先祖たちに、預言者たちを通して、多くの部分に分け、また、いろいろな方法で語られましたが、 1:2 この終わりの時には、御子によって、私たちに語られました。神は、御子を万物の相続者とし、また御子によって世界を造られました。」

問110 第一の信仰告白は何を述べていますか?
答:第一の信仰告白は、次のことを述べています。即ち、1.自然の光および創造と摂理のみわざによる神の啓示はある意味で不十分であり、2.神は全部文書(即ち聖書)により啓示することをよしとされた、3.この理由で聖書は神の民にとって最も必要性なものである、および4.今では、聖書は既に完結している。
問111 神が人類に聖書をお与えになったわけはなんですか?
答:神が人類に聖書をお与えになったわけは、あえて簡単に言えば、人類が聖書を最も必要としたということです。
問112 この第一の信仰告白の関連教理問答は何ですか?
答:この第一の信仰告白の関連教理問答はバプテスト教理問答書の問答2とウェストミンスター 大教理問答二です。
すなわち、バプテスト教理問答書の
「問2 神の存在をどのようにして知るか。
 答、人の本性の光と神のみわざは明らかに神の存在を示すが1、神の御言葉と御霊だけ
がわれわれの救いのために有効に神を啓示する2.
1 ローマ一・一八−二〇、詩篇一九・一、二
2 Uテモテ三・一五、Tコリント一・二一、二四、二・九、一〇」
および、ウェストミンスター 大教理問答の
「問二 神の存在は、どのようにしてわかるか。
 答 人間のうちの本性の光そのものと、神のみわざが、神の存在を明らかに示す1。しかし、神のみ言葉とみたまのみが、人間の救いのために、十分に、また有効に神を啓示する2。
1 ローマ一・一九、二〇、詩篇一九・一ー三、使徒十七・二八。
2 Tコリント二・九、一〇、Uテモテ三・一五−十七、イザヤ五九・二一。」です。

二.正典
問113 第二の信仰告白は何ですか?
答:第二の信仰告白は次の通りです。
 「二 聖書すなわちしるされた神のみ言葉という名の下に、今では、旧新約のすべての書が含まれている。それらは、次のものである。旧約聖書では、創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記 ・ ・ ・ ・ ・ ・ マラキ書。
 新約聖書では、マタイ・マルコ・ルカ・ヨハネによる福音書、使徒行伝、パウロのローマ人への手紙・コリント人への第一の手紙・ ・ ・ ・ テトスへの手紙・ピレモンへの手紙、へブル人への手紙、ヤコブの手紙、・ ・ ・ ユダの手紙、黙示録。これらはみな、神の霊感によって与えられており、信仰と生活の基準である1。
  1 ルカ16:29、31、エペソ2:20、黙示22:18、19、
Uテモテ3:16。」
聖句
1 Uテモテ3:16 「3:16 聖書はすべて、神の霊感によるもので、教えと戒めと矯正と義の訓練とのために有益です。」

問114 第二の信仰告白は何を述べていますか?
答:第二の信仰告白は、次のことを述べています。即ち、1.聖書には今では、旧新約のすべての書(正典)が含まれている、2.聖書はみな、神の霊感によって与えられている、および、3.聖書は信仰と生活の基準である。
問115 聖書すなわちしるされた神のみ言葉という名の下に、今では、旧新約のどの書が含まれていますか?
答: 聖書すなわちしるされた神のみ言葉という名の下に、今では、旧新約のすべての書が含まれている。それらは、39巻から成る旧約聖書と27巻から成る新約聖書です。
問116 この第二の信仰告白の関連教理問答は何ですか?
答:この第二の信仰告白の関連教理問答はウェストミンスター 小教理問答書の問答2、バプテスト教理問答書の問答3とウェストミンスター 大教理問答三です。
すなわち、ウェストミンスター 小教理問答書の問答2
「問2 私たちが、どうすれば神の栄光をあらわし、神を喜ぶことができるかを示すためには、神はどのような規準を与えられたか。
答 旧新両約の聖書にある神の言葉は一、私たちが、どうすれば神の栄光をあらわし、神を喜ぶことができるかを示す二ための、ただ一つの規準である。
一、テモテ第二、三16、
エペソ二20
二、ヨハネ第一、一3、4」
バプテスト教理問答書の問答3
「問3 われわれが神の栄光をあらわし、神を喜ぶにはどうするべきかを示すために、神はどのような規準を与えたか。
答 旧新両約聖書にある神のみ言葉は一、われわれがどうすれば神の栄光をあらわし、神を喜ぶかを示す二唯一の規範である。
1 エペソ二・二〇
  Uテモテ三・十六
2 Tヨハネ一・三、四」

ウェストミンスター 大教理問答三
「問三 神のみ言葉とは、何であるか。
答 旧・新約聖書が、神のみ言葉1、信仰と服従のただ一つの規準である2。
1 Uテモテ三・十六、
Uペテロ一・一九‐二一。
2 エペソ二・二〇、
黙示二二・一八、一九、
イザヤ八・二〇、
ルカ十六・二九、三一、
ガラテヤ一・八、九、
Uテモテ三・一五、十六[ 第二問2を見よ]。」です。

三.外典
問117 第三の信仰告白は何ですか?
答:第三の信仰告白は次の通りです。
 「三 普通に経外典と呼ばれる書は、神の霊感によるものではないから、聖書の正経典の一部ではない。従って神の教会内では何の権威もなく、ほかの人間的な文書と違ったどのような仕方ででも是認されたり使用されてはならない1。
   1 ルカ24:27、44、ローマ3:2、Uペテロ1:21。」
問118 第三の信仰告白は何を述べていますか?
第三の信仰告白は次のことを述べています、即ち、1.経外典(外典)は聖書の正経典の一部であるとは認められない、2.その理由は、これらは神の霊感によるものではないためである、3.従って神の教会内では何の権威もなく、ほかの人間的な文書と違ったどのような仕方ででも是認されたり使用されてはならない。
問119 普通に経外典と呼ばれる書は、正経典並に、是認したり、使用すべきですか?
答: 普通に経外典(外典とも呼ばれる)と呼ばれる書は、神の霊感によるものではないため、聖書の正経典の一部として認められませんでした。従って外典は神の教会内では何の権威もなく、正経典並に、是認されたり使用されてはなりません。
問120 この第三の信仰告白の関連教理問答は何ですか?
答:この第三の信仰告白の関連教理問答はウェストミンスター 小教理問答書の問答2、バプテスト教理問答書の問答3とウェストミンスター 大教理問答三です。
この第三の信仰告白の関連教理問答は、前述の、第二の信仰告白の関連教理問答と同じです。従って、その詳細は省略します。

四.聖書の権威
問121 第四の信仰告白は何ですか?
答:第四の信仰告白は次の通りです。
 「四 聖書がそのために信じられ服従されねばならないところの聖書の権威は、どのような人間や教会の証言にも依拠せず、(真理そのものであり)その著者であられる神に、全く依拠する。従って聖書は、神のみ言葉であるという理由から、受けいれられなければならない1。
  1 Uペテロ1:19、21、Uテモテ3:16、Tヨハネ5:9、
Tテサロニケ2:13。」
聖句
1 Uテモテ3:16 「3:16 聖書はすべて、神の霊感によるもので、教えと戒めと矯正と義の訓練とのために有益です。」
問122 第四の信仰告白は何を述べていますか?
第四の信仰告白は次のことを述べています、即ち、1.聖書の権威の拠り所は、その著者が神ご自身であることであり、2.従って聖書は、神のみ言葉であるという理由から、受けいれられなければならない。
問123 聖書は、どのような理由から、受けいれられなければならないのでしょうか?
答: 聖書は、神のみ言葉であるという理由から、受けいれられなければなりません。
問124 この第四の信仰告白の関連教理問答は何ですか?
答:この第四の信仰告白の関連教理問答はウェストミンスター 小教理問答書の問答2、バプテスト教理問答書の問答3とウェストミンスター 大教理問答三です。
この第四の信仰告白の関連教理問答は、前述の、第二、第三の信仰告白の関連教理問答と同じです。従って、その詳細は省略します。

五.聖霊の内的なみわざ
問125 第五の信仰告白は何ですか?
答:第五の信仰告白は次の通りです。
「 五 わたしたちは教会の証言によって、聖書に対する高く敬けんな評価へ動かされ、導かれることもあろう1。
また内容の天的性質、教理の有効性、文体の尊厳、あらゆる部分の一致、(神にすべての栄光を帰そうとする)全体の目的、人間の救いの唯一の方法について行っている十分な発表、その他多くのたぐいない優秀性や、その全体の完全さも、聖書自身がそれによって神のみ言葉であることをおびただしく立証する論証ではある。しかしそれにもかかわらず、聖書の無謬の真理と権威に関するわたしたちの完全な納得と確信は、み言葉により、またみ言葉と共に、わたしたちの心の中で証言して下さる聖霊の内的なみわざから出るものである2。
  1 Tテモテ3:15。
  2 Tヨハネ2:20、27、ヨハネ16:13、14、Tコリント2:10−12、イザヤ59:21。」
聖句
2 ヨハネ16:13、14 「16:13 しかし、その方、すなわち真理の御霊が来ると、あなたがたをすべての真理に導き入れます。御霊は自分から語るのではなく、聞くままを話し、また、やがて起ころうとしていることをあなたがたに示すからです。
16:14 御霊はわたしの栄光を現わします。わたしのものを受けて、あなたがたに知らせるからです。」

問126 第五の信仰告白は何を述べていますか?
第五の信仰告白は次のことを述べています、即ち、1.教会の証言(人間的な証言)によって、聖書に対する高く敬けんな評価へ動かされ、導かれることもあり得る、(しかし、聖書の無謬の真理と権威に関するわたしたちの完全な納得と確信には至らない。)2.聖書自身がそれによって神のみ言葉であることの論拠は沢山ある。それらの論拠は、内容の天的性質、教理の有効性、文体の尊厳、あらゆる部分の一致、(神にすべての栄光を帰そうとする)全体の目的、人間の救いの唯一の方法について行っている十分な発表、その他多くのたぐいない優秀性や、その全体の完全さなどである。(しかし、これらの論拠によっても、聖書の真理に関する完全な納得と確信には至らない。)
3.しかしそれにもかかわらず、最終的には、聖書の無謬の真理と権威に関するわたしたちの完全な納得と確信は、み言葉により、またみ言葉と共に、わたしたちの心の中で証言して下さる聖霊の内的なみわざから出るものである。

問127 聖書の無謬の真理と権威に関するわたしたちの完全な納得と確信は、どこから来ますか?
答: 聖書の無謬の真理と権威に関するわたしたちの完全な納得と確信は、聖書自身と聖書のみ言葉により、またみ言葉と共に、わたしたちの心の中で証言して下さる聖霊の内的なみわざから出るものです。

問128 この第五の信仰告白の関連教理問答は何ですか?
答:この第五の信仰告白の関連教理問答は、バプテスト教理問答書の問答4とウェストミンスター 大教理問答四です。
即ち、バプテスト教理問答書の問答4
「問4 聖書が神の言葉であることをどのようにして知るか。
答 聖書それ自体が、教理の天的なこと1、全部分の統一2、罪人を回心させ聖徒の徳を建てる力3によって神の言葉であることを確証しているが、聖書によって聖書とともにわれわれの心にあかしをする御霊だけが、聖書は神の言葉であることをわれわれに十分に納得させることができる4.」
とウェストミンスター 大教理問答四
「問四 聖書が神のみ言葉であるということは、どのようにしてわかるか。
答 聖書は、その権威1と、純正さ2、すべての栄光を神に帰する3、全部分の一致4と全体の視野、
です。罪人に罪を自覚させ、回心させ、信者を慰め、強くして救いに至らせる5、その光と力によって、自ら神のみ言葉であることを示す。しかし、聖書によって、聖書と共に、人間の心のうちにあかしされる神のみたまのみが、それが神のみ言葉であることを、十分に納得させることができる6.
1 ホセア八・一二、Tコリント二・六、七、十三、詩篇119・一八、一二九。
2 詩篇一二・六、一一九・一四〇。
3 ローマ三・一九、二七。
4 行伝一〇・四三、二六・二二.
5 行伝一八・二八、へブル四・一二、ヤコブ一・一八、詩篇一九・七‐九、ローマ一五・四、行伝二〇・三二。
6 ヨハネ十六・十三、十四、Tヨハネ』二・二〇、二七、ヨハネ二〇・三一。」です。

六.聖書の十分性と神のみたまの内的照明の必要性
問129 第六の信仰告白は何ですか?
答:第六の信仰告白は次の通りです。
「 六 神ご自身の栄光、人間の救いと信仰と生活のために必要なすべての事柄に関する神のご計画全体は、聖書の中に明白に示されているか、正当で必然的な結論として聖書から引き出される。その上には、みたまの新しい啓示によっても、人間の伝承によっても、どのような時にも何ひとつ付加されてはならない1。
 それにもかかわらず、わたしたちは、み言葉の中に啓示されているような事柄の救拯的理解のためには、神のみたまの内的照明が必要であること2、また神礼拝と教会統治に関しては、常に守られなかればならないみ言葉の通則に従い、自然の光とキリスト教的分別とによって規制されなければならない、人間行動と社会に共通のいくつかの事情があること、を認める3。
  1 Uテモテ3:15−17、ガラテヤ1:8、9、Uテサロニケ2:2。
  2 ヨハネ6:45、Tコリント2:9−12。
  3 Tコリント11:13、14、Tコリント14:26、40 」
聖句
1 Uテモテ3:15−17 「3:15 また、幼いころから聖書に親しんで来たことを知っているからです。聖書はあなたに知恵を与えてキリスト・イエスに対する信仰による救いを受けさせることができるのです。
3:16 聖書はすべて、神の霊感によるもので、教えと戒めと矯正と義の訓練とのために有益です。
3:17 それは、神の人が、すべての良い働きのためにふさわしい十分に整えられた者となるためです。」
3 Tコリント14:26、40 「14:26 兄弟たち。では、どうすればよいのでしょう。あなたがたが集まるときには、それぞれの人が賛美したり、教えたり、黙示を話したり、異言を話したり、解き明かしたりします。そのすべてのことを、徳を高めるためにしなさい。
14:40 ただ、すべてのことを適切に、秩序をもって行ないなさい。」

問130 第六の信仰告白は何を述べていますか?
第六の信仰告白は次のことを述べています、即ち、1.神ご自身の栄光、人間の救いと信仰と生活のために必要なすべての事柄に関する神のご計画全体は、聖書の中に明白に示されているか、正当で必然的な結論として聖書から引き出される
(聖書の十分性)。2.その上には(即ち聖書には)、みたまの新しい啓示によっても、人間の伝承によっても、どのような時にも何ひとつ付加されてはならない。3.それにもかかわらず、わたしたちは、み言葉の中に啓示されているような事柄の救拯的理解のためには、神のみたまの内的照明が必要である。(聖書の十分性を認めた上で)4.また神礼拝と教会統治に関しては、人間行動と社会に共通のいくつかの事情があり、これに対処するには、み言葉に基づき、自然の光とキリスト教的分別(人間的要素)を働かす必要がある。

問131 今在る聖書に対して、みたまの新しい啓示があった場合など、例外的にこれを聖書に付け加えることは許されますか?
答: 今在る聖書に対してどのようなもっともらしい理由があっても、どのような時にも何ひとつ付加されてはならなりません。

問132 み言葉の中に啓示されているような事柄の救拯的理解のためには、生まれながらの知能があれば十分ですか
答: み言葉の中に啓示されているような事柄の救拯的理解のためには、生まれながらの知能だけでは不十分であって、神のみたまの内的照明が必要です。

問133 教会生活全般や日常生活で聖書に具体的には記されていない事態に遭遇した時、どのように対処したらよいのでしょうか?
答: 神礼拝と教会統治に関しては、常に守られなかればならないみ言葉の通則に従い、自然の光とキリスト教的分別とによって規制されなければならない、人間行動と社会に共通のいくつかの事情があること、を認めた上で、教会生活全般や日常生活で聖書に具体的には記されていない事態に対しても、神礼拝と教会統治に関することに準じて聖書的原則に則って対処したら良いでしょう。たとえば、聖書には具体的に記されてはいませんが、麻薬は良いか、悪いかは、聖書的原則から判断できるでしょう。
問134 この第六の信仰告白の関連教理問答は何ですか?
答 この第六の信仰告白の関連教理問答はウェストミンスター 小教理問答書の問答3、バプテスト教理問答書の問答5 
  とウェストミンスター 大教理問答五です。
即ち、ウェストミンスター 小教理問答書の問答3、
「聖書はおもに何を教えているか。
答 聖書は、おもに、人が神について信じなければならないことと、神が人に求められる義務は何であるかを教えている一。
一、テモテ第二、一13
  テモテ第二、三16(問二の一)」
バプテスト教理問答書の問答5 
「問5 聖書は主としてどんなことを教えているか。
答 聖書は主として、人が神について信じなければならないことと、神が人に求めている義務とを教えている1.
1 Uテモテ一・十三、伝道一二・十三」と
ウェストミンスター 大教理問答五
「問五 聖書はおもに何を教えるか。
答 聖書はおもに、人間が神について何を信じなければならないか、また神が人間に求められる義務は何であるか、を教える1.
1 Uテモテ一・十三。」です。

七.聖書の明瞭性
問135 第七の信仰告白は何ですか?
答:第七の信仰告白は次の通りです。
「 七 聖書の中にあるすべての事柄は、それ自体で一様に明白でもなく、またすべての人に一様に明らかでもない1。
しかし、救いのために知り信じ守る必要のある事柄は、聖書のどこかの箇所で非常に明らかに提出され、開陳されているので、学識ある者だけでなく、無学なものも、通常の手段を正当に用いるならば、それらについての十分な理解に達することができる2。
  1 Uペテロ3:16。
  2 詩篇119:105、130。」
聖句
1 Uペテロ3:16 「3:16 その中で、ほかのすべての手紙でもそうなのですが、このことについて語っています。その手紙の中には理解しにくいところもあります。無知な、心の定まらない人たちは、聖書の他の個所のばあいもそうするのですが、それらの手紙を曲解し、自分自身に滅びを招いています。」

問136 第七の信仰告白は何を述べていますか?
第七の信仰告白は次のことを述べています、即ち、1.聖書の中にあるすべての事柄は、それ自体で一様に明白でもなく、またすべての人に一様に明らかでもない。2.しかし、救いのために知り信じ守る必要のある事柄は、聖書のどこかの箇所で非常に明らかに提出され、開陳されているので、学識ある者だけでなく、無学なものも、通常の手段を正当に用いるならば、それらについての十分な理解に達することができる2。(聖書の明瞭性)

問138 聖書はよく難しいと言われますが、救いのために知り信じ守る必要のある事柄についても、無学な者とってはやはり、理解するのが難しいでしょうか?
答: 確かに、聖書の中には理解しにくいところもあります。しかし、救いのために知り信じ守る必要のある事柄は、聖書のどこかの箇所で非常に明らかに提出され、開陳されているので、学識ある者だけでなく、無学なものも、通常の手段を正当に用いるならば、それらについての十分な理解に達することができます。
問139 この第七の信仰告白の関連教理問答は何ですか?
答 この第七の信仰告白の関連教理問答は、特にありません。

八.聖書の確実性と翻訳する必要性
問140 第八の信仰告白は何ですか?
答:第八の信仰告白は次の通りです。
「 八 (昔の神の民の国語であった)へブル語の旧約聖書と、(しるされた当時、最も一般的に諸国民に知られていた)ギリシャ語の新約聖書とは、神によって直接霊感され、神の独特な配慮と摂理によって、あらゆる時代に純粋に保たれたので、確実である1。それで、すべての宗教論争において、教会は最終的にはこれらに訴えるべきである2。
 しかしこれらの原語は、聖書に近づく権利と興味をもち、神を恐れつつ聖書を読みまた探究するように命じられているすべての神の民3 に知られていないから、聖書は、神のみ言葉がすべての者に豊かに内住して、彼らがみ心にかなう方法で神を礼拝し4、聖書の忍耐と慰めによって希望をもつために5、聖書が接するあらゆる国民の原語に翻訳されなければならない6。
  1 マタイ五:一八。
  2 イザヤ8:20、使徒15:15、ヨハネ5:39、46。
  3 ヨハネ5:39。
  4 コロサイ3:16。
  5 ローマ15:4。
  6 Tコリント14:6、9、11、12、24、28。」
聖句
1 マタイ5:18 「5:18 まことに、あなたがたに告げます。天地が滅びうせない限り、律法の中の一点一画でも決してすたれることはありません。全部が成就されます。」
2 使徒15:15、「15:15 預言者たちのことばもこれと一致しており、それにはこう書いてあります。」
5 ローマ15:4 「15:4 昔書かれたものは、すべて私たちを教えるために書かれたのです。それは、聖書の与える忍耐と励ましによって、希望を持たせるためなのです。」
6 Tコリント14:11 「14:11 それで、もし私がそのことばの意味を知らないなら、私はそれを話す人にとって異国人であり、それを話す人も私にとって異国人です。 14:12 あなたがたのばあいも同様です。あなたがたは御霊の賜物を熱心に求めているのですから、教会の徳を高めるために、それが豊かに与えられるよう、熱心に求めなさい。」

問141 第八の信仰告白は何を述べていますか?
第八の信仰告白は次のことを述べています、即ち、1.へブル語の旧約聖書と、ギリシャ語の新約聖書とは、確実である1。2.確実である理由の其の1は、聖書が神によって直接霊感されたこと、確実である理由の其の2は、聖書が、神の独特な配慮と摂理によって、あらゆる時代に純粋に保たれた。3.それで(聖書は確実であるから)、すべての宗教論争において、教会は最終的にはこれらに訴えるべきである2。4.聖書は、あらゆる国民の原語に翻訳されなければならない6。5.聖書を各国の言語に翻訳されなければならない理由の一つは聖書が記されている原語は、聖書に近づく権利と興味をもち、神を恐れつつ聖書を読みまた探究するように命じられているすべての神の民3 に知られていないから、理由のその二は、神のみ言葉がすべての者に豊かに内住して、彼らがみ心にかなう方法で神を礼拝し、聖書の忍耐と慰めによって希望をもつようになること。

問142 へブル語の旧約聖書と、ギリシャ語の新約聖書とは、確実なものですか?
答: へブル語の旧約聖書と、ギリシャ語の新約聖書とは、神によって直接霊感され、神の独特な配慮と摂理によって、あらゆる時代に純粋に保たれたので、確実です。
問143 この第八の信仰告白の関連教理問答は何ですか?
答 この第八の信仰告白の関連教理問答は、特にありません。 

九.聖書解釈の基準
問144 第九の信仰告白は何ですか?
答:第九の信仰告白は次の通りです。
「 九 聖書解釈の無謬の基準は、聖書自身である。従って、どの聖句の(多様ではなくて、ひとつである)真の完全な意味について疑問のある場合も、もっと明らかに語る他の箇所によって探究し、知らなければならない1。
  1 Uペテロ1:20、21、使徒15:15、16。」
聖句
1 使徒15:15、16 「15:15 預言者たちのことばもこれと一致しており、それにはこう書いてあります。 15:16 『この後、わたしは帰って来て、倒れたダビデの幕屋を建て直す。すなわち、廃墟と化した幕屋を建て直し、それを元どおりにする。」

問145 第九の信仰告白は何を述べていますか?
第九の信仰告白は次のことを述べています、即ち、1.聖書解釈の無謬の基準は、聖書自身である。
2.従って、どの聖句の(多様ではなくて、ひとつである)真の完全な意味について疑問のある場合も、もっと明らかに語る他の箇所によって探究し、知らなければならない1。

問146 聖書を読んでいて、たとえば、ある解らない聖句に出会った場合、それを正しく解釈するには、どのようにしたら良いでしょうか?
答: 正しく聖書を解釈する原則は、聖書自身に語らせることです。従って、どの聖句の(多様ではなくて、ひとつである)真の完全な意味について疑問のある場合も、もっと明らかに語る他の箇所を調べ,正しい意味を知るようにすべきです。
問147 この第九の信仰告白の関連教理問答は何ですか?
答 この第九の信仰告白の関連教理問答は、特にありません。

十.至高の審判者ご聖霊
問148 第十の信仰告白は何ですか?
答:第十の信仰告白は次の通りです。
「 十 それによってすべての宗教論争が決裁され、すべての会議・古代の著者たちの意見・人々の教義・個人の精神が検討されなければならないところの、またその宣告にわたしたちがいこわなければならないところの至高の審判者は、聖書の中に語っておられる聖霊以外の何者でもありえない。
  1 マタイ22:29、31、エペソ2:20、使徒28:25。」
聖句
1 使徒28:25 「28:25 こうして、彼らは、お互いの意見が一致せずに帰りかけたので、パウロは一言、次のように言った。「聖霊が預言者イザヤを通してあなたがたの先祖に語られたことは、まさにそのとおりでした。」

問149 第十の信仰告白と共に考えるべき信仰告白は何ですか?
答 第十の信仰告白と共に考えるべき信仰告白は、第八の信仰告白、特に「(昔の神の民の国語であった)へブル語の旧約聖書と、(しるされた当時、最も一般的に諸国民に知られていた)ギリシャ語の新約聖書とは、神によって直接霊感され、神の独特な配慮と摂理によって、あらゆる時代に純粋に保たれたので、確実である。それで、すべての宗教論争において、教会は最終的にはこれらに訴えるべきである。」の箇所です。

問150 すべての宗教論争の決裁、すべての会議・古代の著者たちの意見・人々の教義・個人の精神の検討に至るまで、何によって、これらを決し、そして従うべきでしょうか?
答: すべての宗教論争の決裁、すべての会議・古代の著者たちの意見・人々の教義・個人の精神の検討に至るまで、これを決するのは、聖書と聖書の中に語っておられ、そして聖書の言葉を私たちに正しく理解させてくださるご聖霊に他なりません。

引用資料
5)宇田 進 著 総説 現代福音主義神学 (2002年10月1日)いのちのことば社pp219−246から
   T 第三章 キリスト教と神の啓示 第六節 福音主義教会における聖書に関する十二項
6)ウェストミンスター信仰告白 発行所 梶@新教出版社(1964)第一章 聖書についてpp5−11
7)ウェストミンスター 小教理問答書 翻訳者 日本基督改革派教会 信仰規準翻訳委員会 発行所  活水社書店 (1967年3月25日三版)
8)鈴木 昌訳篇 バプテスト教理問答書 聖書図書刊行会(1971)問1−問5
9)ウェストミンスター 大教理問答 訳者 日本基督改革派教会 
発行所 梶@新教出版社(1970)
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